(2)文化祭いっしょにやろうよ、と新しい勉強法

第38話

「ねえねえ、ところでさ」と、ユウコちゃんが言った。

「うん」とジュンとレイアちゃんと、おれ。

「文化祭、あるじゃない?」

「うん」


「たいていさ、グループで何かやるから、あたし、このメンバーで何かやりたいな!」

「賛成!」

 ユウコちゃんの提案にみんな喜んで賛成した。


「文化祭とは、お祭りのことかの?」

 大夫たいふがくるくると回りながら言った。


「学校の中でね、クラスごとに出し物をして、当日はいろいろなクラスをまわるんだよ」とおれ。

「六年生になったら、お化け屋敷やるの、楽しみ!」とユウコちゃん。

「お化け屋敷は六年生って、決まっているからね」とジュン。

「五年生は何をやるかなあ?」とおれ。

「今度、話し合いをして決めるよね、きっと」とレイアちゃん。


「ほほう、楽しそうじゃのぅ」

「楽しいよ!」とおれとジュンは力強く言った。

 何しろ、運動が苦手な仲良しだから、こういうお祭りは大好きなんだ。


「あたし、紙袋を持って、景品とかおみやげをもらいながらまわるのが好き」

「わたしも! 楽しいよね」

 ユウコちゃんとレイアちゃんが言う。


「あ! あのさ!」

 おれはちょっとひらめいて、言った。

「あのね、おれ、景品やおみやげをみんなで作りたいかも!」

「楽しそう!」

 そうみんな、言ってくれた。


「クラスで何をやるにしても、景品やおみやげって、あったら楽しいものね」とレイアちゃん。

「あたし、一年生や二年生のころ、五年生六年生のクラスでもらった、おり紙とか、すごく嬉しかった!」とユウコちゃん。

「それ、分かる! ボクはわりばしでっぽうが嬉しかったな」とジュンが言って

「おれも!」と賛成した。


 低学年のころ、もらったわりばしてっぽうをだいじにしていた。

 そのあと、どんな景品やおみやげがいいか、みんなで話した。

 大夫はみんなのところを順番にまわって、頭の上や肩に乗ったりしながら、楽しそうにくるくると踊っていた。



「ところでさ、また漢字の五十問テストがあるよね」

 ジュンが言って、みんな悲鳴を上げた。


「ほほう、漢字テストとな?」

「大夫ちゃーん、あたし、今度はいっしょに勉強したいな」とユウコちゃんが言った。

「うむうむ、いいぞよ」と大夫が言い、

「みんなで勉強しよう!」とおれが言った。


「あのね、大夫ちゃん」とレイアちゃん。

「ほいな」

「今まで、ダジャレで漢字を覚えたり、呪文で覚えたりしたでしょ?」

「ふむふむ」

「他にいい覚え方、まだあるのかな?」

「ほほう」

「あたし、この間、背中の漢字一字を書くとき、意味を教えてもらってから、ゆっくりていねいに、美しく書くってやったのもよかったよ」とユウコちゃん。

「あ、それはおれも思った!」


 急いで書いて、くちゃくちゃな字を書いても全然覚えられないけど、ゆっくりていねいに書くことで、よく頭に入った。もちろん、大夫の漢字の説明もよかった。


「もしかして、まだ、何かいい方法、ある?」


 ジュンがそう言って、おれたちは期待を込めた目で、大夫を見つめた。

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