第46話

 大夫に伝える日の前に、文化祭があった。

 すっごく盛り上がった!


 おれたちのつくったわりばしでっぽうやくす玉の賞品も、残念賞のしゅりけんも、みんな喜んでくれた。特に、一年生や二年生の子たちがうれしそうに紙ぶくろに入れて持ち帰るようすを見ていると、おれもあんなふうだったなあってなんだか懐かしくなった。


「宝物にしてくれるといいね」

 とジュンが言ったので

「おれたちみたいにね」

 とこたえた。


 おれたちはいっしょに他のクラスをまわった。

 特に、六年生のクラスは楽しかった!

 来年、こういうお化け屋敷やりたいねって、ジュンともレイアちゃんともユウコちゃんとも話した。

 いろいろ回って、自分たちの教室に戻るとき、レイアちゃんがおれの服をひっぱった。


「あのね。これ」

 レイアちゃんは景品やおみやげを入れる紙ふくろから、くす玉を取り出した。

 それは、緑系の色でつくられた、きれいなくす玉だった。

「これ、カズキくんにあげる」

「え?」

「あのね、じょうずにできたから、もらってほしいの」

「あ、ありがとう!」

 レイアちゃんはにっこり笑った。


「タチバナ! そろそろ係の時間だぞー」

「う、うん、わかった!」


 おれはレイアちゃんにもらった緑のくす玉をそっと、紙ぶくろに入れた。

 なんだか、すごくどきどきしたんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る