第14話 開かないドア【蓼科博士の研究所】2
腹ごしらえも済んだ。なのでダンジョンに潜る。
ダンジョンの入り口まで向かう通路。タイルカーペット張りの廊下。壁は白い。照明が
ザ・オフィスビルって感じだ。冒険者とかいう自営業者なので、見慣れてなくて珍しく感じる。冒険者むけのお店の看板があったりとか、他の冒険者とすれ違ったりするからこの先にダンジョンがあるってなんとか信じられた。
「ここです」
「めっちゃ普通のドアだ」
さっき通り過ぎた別のオフィスのドアと同じだった。ドアノブがあって手前に引くタイプね。同じフロアの人が間違えて入るでしょこれ。
「ボスまでどのくらい時間かかるのここ?」
「順調に進んで4時間くらいはかかると思います」
「ダンジョンにしちゃ短い方だけど、研究所にしては異常に広いねぇ」
「
常識は通じません、そもそもダンジョンですし、と橿原ちゃんはドライに言った。それと同時に装備をロードしていた。
「入ります」
「おっけー」
なにげに初めてのダンジョンだ。さて、どんなものか。
「散らかりすぎだろ……」
ダンジョン内部は散らかり放題だった。
機械の部品、工具、腐った何か、段ボール、散乱する書類、コンビニ弁当の
空間はかなりある。天井はどこも高い。
廊下があってその両側に事務所っぽい部屋がある。先に進むと実験室的な部屋とかが現れる。倉庫っぽい部屋もあるね。部屋の広さはまちまちだ。エネミーは適時出てくるね。
でもどこもガラクタだらけだ。光源が外から差し込む光だけで薄暗いなと思っていたけど、逆に良かったかも。明るかったら見るに堪えないぞたぶん。
率直に言ってひどい有様だ。蓼科博士は相当いい加減な人物らしい。
「……オレの部屋も酒の空き缶ばっかりだけどこれよりはマシだなぁ」
「今度片づけに行きます」
「えっ」
「コレと比較する時点で論外です」
「えっ」
あ、これオレの部屋に来る口実とかじゃなくて本気で片づけるために来る気なやつだ。でも男の一人暮らしの部屋ってそんなもんじゃないの? ……え? 一緒にするなって? そんな……。
という具合に若干ショックを受けながらダンジョンを進んでいたら、例のドアのところに辿り着いていた。橿原ちゃんに「ここです」と言われて意識が戻った。
「これかぁ」
「開くと思うんです、このドア」
「確かに」
金属でできたドアだ。おそらく左右に分かれるタイプの自動ドア。真ん中にジグザグの継ぎ目あるし。
見るからに開きそうだ。ほら、RPGとかでよくあるじゃん。「これゲームクリア後に開くやつだな?」みたいなドア。あんな感じ。
逆にいえば力づくでは開きそうにない。何かしらのギミックがありそうだ。
「橿原ちゃんここのボス倒したことある?」
「5回ほど」
「このドア、他にもある?」
「はい。いくつか」
「うーん……カードリーダーとかも無いしなぁ」
あとは鍵穴とか。
「リーダーがあったとしてもこのゴミの中からカードを探すのは嫌ですね」
「でもダイダラボッチの土みたいなパターンもあったからなぁ」
敵が何か落としたりするのかなぁ?
でもイロカネダンジョンの時はある程度あたりが付いてたからやれたんであって、そうじゃなかったらあまりにも
「薄暗いので余計
「……橿原ちゃんもう1回言ってくれるいまの?」
「? 何かを探すなんて?」
「その前」
「薄暗いので?」
「それじゃない?」
橿原ちゃんが天井を見上げる。
照明はあるけど点灯していない。
「ここのエネミーってバッテリーとか落とすんだよね?」
「そう……ですね」
「ボスって」
「排ガス出しますね。たぶん内燃機関的なもので動いてます」
「「……」」
このダンジョン、停電してない?
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