第17話 開かないドア【蓼科博士の研究所】5
コンテナを開く。ピカーンッ! と光った後、コンテナの上の中空にウインドウが表示されていた。
[ アイテム”ゴールデンピークボアの味噌漬け(
[ アイテム”美顔機”を獲得しました ※初到達者の確定報酬です]
[アイテム”育毛機(脱毛機)”を獲得しました ※初到達者の確定報酬です]
「「……」」
名前だけでここまで嫌な予感をさせてくるアイテムってある?
「……放置しておくのも手だと思います」
「獲得しましたって書いてあるからもうストレージの中だと思うよこれ」
「……そうですね」
オレのストレージの中にも入ってた。自動入手だった。多少はどんなアイテムか分かるので確認してみよう。
”ゴールデンピークボアの味噌漬け(蓼科博士謹製)”
絶品として知られ高値で取引されるモンスター【ゴールデンピークボア】の肉を、蓼科博士の故郷の調理法である味噌漬けにしたもの。ダンジョンジビエ。
真空パックされているほか、博士の不明な技術—— 失礼な! お前らが理解できないだけだろう!—— により常温で長期間保存できる。ダンジョン探索のおともに。
”美顔機”
蓼科博士が製作・愛用していた美顔機、その同型。定期的な使用でお
”育毛機(脱毛機)”
蓼科博士が理論検証のために製作した育毛機―― のはずだったが、一定割合で反対の効果が発揮されるため脱毛機として使用すること。 注:育毛目的では使うな。私が真面目に忠告するってことはそういうことだ。
「「……」」
なんでアイテムの説明欄に干渉できてるのこの人……? 本気で怖いんだけど。
「……お肉がどれくらい保存できるのかとか、美顔機の推奨使用頻度とか、脱毛されてしまう割合とかは鑑定してもらえばわかるでしょう。数値によっては有用かもしれません。
というか、美顔機はとても興味があります。蓼科博士の技術は確かですから。他の蓼科シリーズが証明しています」
技術は、のところをそんなに強調しなくても。
「……私、もっと綺麗になってしまうかもしれません」
「え? いま以上に?」
「ええ。さらにモテてしまったらどうしたものかと」
「やっぱ美人には美人の苦労があるよねぇ」
「……今のうちにカノジョにしておいた方が良いと思うんですけど、私のこと」
「肉はまともそうだから今度はウチで焼き肉する?」
「ぜひ」
「その前に部屋
「お手伝いします」
「助かるぅ」
焼き肉する時は九尾も呼んでおけばいいだろう。あ、掃除も手伝わせよう。ホットプレートとかも買った方が良いかなぁ。
などと考えていた時。
――カチャ。
冷たくて硬い感触が背中に触れた。
「九尾は呼ばなくていいですから」
「……はい」
「よろしくお願いしますね」
読心術的なスキルがあったりするんだろうか科学系には。
その後オレたちは奥に進まずダンジョンから脱出することにした。
蓼科博士のノリに疲れたというのが1番の理由。もうゲッソリだ。
あと、どれくらい深いかも分からない新エリアに準備無しで入るのはさすがにためらったというのもある。というかエレベータのボタンの数から察するにかなり広いし。新エリアの情報を売って電気代の分を取り返せればいいかなとりあえず。
「お疲れー、鑑定良い?」
組合に戻ってきて鑑定ちゃんに鑑定を頼む。もうちょっと詳しい性能知りたいしね。
「お疲れ様ですー。大丈夫ですよー」
「ダンジョンの未発見エリア見つけちゃってさぁ、そこで手に入れたの」
「もー、
「お疲れ様です。未発見エリアを見つけたので情報提供します」
「本当ですか
鑑定ちゃんと橿原ちゃんは一緒に建物の奥に行ってしまった。
オレの鑑定依頼……。
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