第十六話 長針と短針
五月二十八日 土曜日
カウベルが鳴り、客が入ってくる。見覚えのある長身に少しだけ砕けた口調で
「いらっしゃい、
昼の忙しさも落ち着いて、少々時間を持て余しているところだった。久しぶりに見る男友達の顔は何だか少し冴えないような気がした。
涼子はカウンター席に着いた諒に水を出す。
「うぃー。えーっと、オムライス大盛りにアイスコーシーね」
「はぁい、今日はオフ?」
「あぁ。たまには暇な時間作らねーと死んじまう」
諒は苦笑して煙草に火を点けた。
「かなみ姉は?」
「両替。何かついでに買い物もしてくるって」
「んじゃ涼子ちゃん一人か、今」
「うん。元気そうでがっかりしたでしょ」
笑顔になって涼子は言った。自分を皮肉っても意味がないことなど判ってはいた。こんなものは偽悪でしかない。
「いや、案外タフなんだな、とは思ったけど」
「実はそうでもないんだけどね」
「だと思ったよ」
「ま、人んとこ言えた義理じゃねぇけど、お互い不器用で苦労してるよな」
「……そうだね。どっちかがもう少しだけでも器用に立ち回れたらね、良かったのに」
自分が、でも貴が、でも器用に立ち回ることなど想像できないが。
「言うだけでできりゃそれこそ苦労はねぇわな」
「だね」
フライパンを火にかけて涼子は苦笑した。
「あ、ケチャップたっぷりね」
「判ってるって」
「その後、どうなの」
店内に流している有線放送から
「……別にね、もう触られて戻しちゃう、とかそういうことは全然ないよ」
「そいつぁ良かったよ」
それは事実だ。あれは神経までもが痩せ細ってしまった一時的なものだった。今諒に触れられたとしても、何の拒絶反応もないはずだ。今涼子に触れる機会のある男性といえば父親と
「私はね、貴は勿論そうなんだけど、諒君とか
死のうとさえ思った時にも、救いになってくれた。男が欲望のためだけに女を欲する生き物ではない、と信じさせてくれた。
「そりゃあ違うんじゃねぇかな」
心の底から男に恐怖を抱いていた自分を救ってくれた、本当に自分に近しい男の友人達のおかげだと思っていた。しかし、諒の言葉は涼子の思いを覆すような言葉だった。
「あ、いや、その考え方自体がどうのってことじゃねぇんだ。確かにさ、オレとか貴がバカやってるところとか、そういうのって安心できると思うんだけど、それは貴と涼子ちゃんの関係にどうの、とかそういうことじゃねぇと思うんだよなぁ」
「どういうこと?」
手際良くフライパンを動かしながら涼子は言う。歯に衣着せぬ物言いをするこの男友達が、神妙な言い回しをするその意味は何か。
「んー。涼子ちゃんはさ、ま、そういった、男同士の間での貴を長いこと見てきた訳じゃん」
「うん」
「でも男同士のそういう部分ってって、惚れた女と二人きりになった時って、中々出せないと思うんだよな」
「それは、そうだね」
そういう部分、稚気に溢れた貴を見てきて、貴を好きになったのも正直な気持ちとして確かにある。
諒の言葉はつまり、男同士としてのやりとりではなく、自分の恋人を異性として求めてしまう、男同士の間柄では決して見ることのできない、女としての涼子を求める気持ち、そういった男の気持ち故のやりとりが生まれるということだろう。それは当たり前のことだと、涼子も頭では判っている。
「そういうのって、戸惑わねぇ?」
「最初は凄く戸惑ったよ。でもそれ以上になるとね、貴の方がきっと戸惑ってたと思う」
「……だろうなぁ。でもさ、今はいいのかよ?」
「ん?」
「貴に、女として求められることに戸惑ったりしねぇのかなーって」
軽く火を通した卵に、先に炒めたチキンライスを乗せ、フライパンの片側に寄せる。手際よくフライ返しを添えてひっくり返しながら皿に乗せる。
「戸惑うよ、やっぱりね……。私はね、求められても、それに応えられない女だから……」
「あ、悪ぃ、そんなつもりじゃねぇんだ」
「判ってる。でも致命的でしょ、そういう女って」
特性のソースとケチャップをかけて涼子は諒にオムライスを手渡した。
「ん……。相手が貴なんだとすると、一概にそうだとは思えないけど」
諒が腰かけるカウンターテーブルにオムライスを置いて、涼子は諒の顔を見る。諒は言い淀むように言葉を止めた。
「諒君ストップ。冷めないうちに食べちゃってね。こんな話題の後じゃちょっと美味しくないと思うけど」
苦笑して涼子は言う。折角のオフの日に態々涼子のオムライスを食べにきてくれた諒に悪いことをしてしまった。
「そんなことねぇって。涼子ちゃんのオムライスはどんな時でもうめぇんだ!」
「友情はこもってるけど、愛情はこもってないわよ、残念ながら」
愛情は夕香に求めてね、と付け足すと、冗談めかして涼子は言う。
「じゃあ夕香に料理ってもんを教えてやってくれよ。んじゃ、いただきまーす」
スプーンを持つと、物凄い勢いで諒はオムライスを食べ始めた。貴もそうだが、諒も大輔も本当に美味しそうに食べてくれる。オムライスに於いてはその限りではないが、貴は好物を最後に残すような食べ方をするが、諒はその逆だ。どちらにしても上手な食べ方だとは言えないな、と涼子は苦笑した。
「ん?」
オムライスを頬張って諒は視線を上げた。
「いつもながら凄い勢いだなぁって思って」
「オレみたいな仕事やってるとさ、まぁ今は少なくなったけど一番最後に食い始めて一番最初にはスタンバってないといけねーこととかあってさ。自然と早食いが身についちまったんだよなぁ」
口の中の物を飲み込んでから諒は言った。貴がアシスタントディレクターの仕事をしていた頃に、全く同じことを言っていた。折角美味いものを食べられる機会があったとしても、ゆっくり味わえない、と良く嘆いていた。
「身体に良くないよ、そういう食べ方」
「だってうめーんだから仕方ねぇじゃん」
そう、貴とまるで同じことを言って諒は再びオムライスをかき込む様に食べ始める。
「ありがと」
涼子は言いながらアイスコーヒーの準備を始める。諒はコーヒーを食後に飲む。オムライスを食べ終えるまで数分とかからない。できるだけ催促される前にコーヒーを出すのは涼子の中での決めごとだ。
「しっかしもったいねぇなぁ」
「ん?」
「こんなにいい女なのにさーって思って」
水を一口飲んで溜息とともに諒は言う。
「それはね、諒君がさっき言ったように私の女っていう部分を見てないからだよ」
少し、諒の言っていたことが理解できたように思う。例えば、諒が自分を好きになったとして、涼子の女の部分を見たらきっと引いてしまうだろうと思う。貴はそこで引かなかった。だからからこそ貴には安心をもらえたし、その部分で少なくとも貴に傷付けられるとは思わなかった。
「自分の女がセックスできないなんて無理でしょ、付き合うのは」
自嘲して涼子は言う。
「……」
諒の無言は涼子の言葉を少なからず肯定している証拠だ。
「だけど……」
「だけど、別にそういうことしなくても、って言うんでしょ?確かにそれはあるかもしれないけど、私達はそれじゃダメなの」
判っていて諒は言っている。他に言葉が見つからなかったから。
「そういうのはね、お互いがそう思ってなくちゃ成立しないでしょ?私はね、貴に我慢して欲しくないし、私だってずっと貴に抱いて欲しいって思ってる」
「でもさ、貴は我慢っつーかそういうのナシでもいいって、思ってんじゃ……」
「そうかもしれないね。きっと貴は私に合わせて、そうやって本当の自分のカタチを叩いて、削って、無理矢理に変えてまで、そう言い出すかもしれない。……でもね、ダメなの。私が、貴に抱かれたいって思ってるんだから。残酷でしょ。男を受け入れないくせに、口では抱かれたいって、心から抱かれたいって、自分の男にそう伝えてるの」
「……」
諒は再び無言を返した。
「諒君も判るでしょ、そういうことが、自分の一番好きな人にどれほどの負担をかけるのか」
例えば夕香が自分と同じ立場にいたら。恐らくはそれを諒は考えている。
「そりゃ、男の責任だよな」
「違うよ」
苦笑して涼子は諒にアイスコーヒーを出した。
「違かねぇよ。てめえの女がそれほどに悔やんで悩んで、傷付いてんのに、何もできねぇ男の方が悪いだろ」
「違う。貴は精一杯のことをしてきてくれたよ。それでも私がダメだったんだよ」
自分の声が少し気色ばんでしまったことに涼子は気付き、少し声のトーンを落とした。
「……あのさ、自分のオトコ、何だと思ってんの?」
諒の言葉には、ほんの少し、怒気が孕んでいた。
「……え?」
瞬間、たじろいだ涼子は、何も言葉を返すことができなかった。
「もっと頼ってやれよ。もっと全身でよっかかってやれよ。……涼子ちゃんさ、決定的なところであいつのこと信じてねぇよ。キズ付けるだとかつ付けねぇだとか、御託並べてあいつのこと突き放してるだけなんじゃねぇ?」
諒が煙草に火を点けて言う。いつか誰かにも同じようなことを言われた。
「信じて、ない……」
(信じるからな)
貴はそう言ってくれた。
涼子はその貴の言葉を信じようと思っていた。信じていたはずだった。
それでも、傍から見える涼子は貴を信じているようには見えてはいない。それはやはりどこかで貴を信じていない自分の気持ちが出ているのか、それとも、そもそも信じるということがどういうことなのか判っていないからなのか。
「涼子ちゃんじゃなかったら、嫌なら判れちまえ、って言ってるところだぜ。ま、そもそもお互い好き合ってる相手に言える言葉でもねんだけどさ。わり、ちとキツイ言い方んなっちまった」
苦笑して諒は言った。
「何が、ダメなのかな」
「そりゃオレには判んねぇよ。涼子ちゃんが貴といる時、女になってる時にさ、何を一番求めてんのか、どういうのが気持ちいいのか、そういうのは本人にしか判んねぇじゃん」
言いながら諒は煙草の灰を灰皿に落とす。
「私が……?」
「んぁー、あんま良く判んねぇけどさ、二人でいる時、特にここ最近はさ、貴を傷つけねぇように、自分が傷付かねぇようにって、そればっか考えてんだろ?」
「うん……」
「ま、それしかできねぇの、判る気もすっけどさ……。だけど二人でいんのにピンピンに気ぃ張ってさ、ホントなら楽しいはずなのに、全然楽しくねぇだろ、んなんじゃ」
諒の言葉に涼子は頷く。
「もったいねぇよなぁ……。おかしくなる前の涼子ちゃんと貴はさ、見てて羨ましくなるくらいだったんだぜ」
「……そうなの?」
考えもつかなかった。
それは涼子がいつも夕香と諒、香奈と忠のようになりたい、と願っていたからだ。四人はもちろん性格が違えば付き合い方も違う。
それでも仲睦まじい親友達の姿は涼子の胸に強烈な羨望感を抱かせた。しかしそれは諒も、恐らく夕香も同じだったのかもしれない。
隣の芝生が青く見えているだけなのかもしれないけれど、それでも知らずの内にお互いに良い刺激を与え合っていたということもあるのだろうか。
「あぁ。だからさ、みんなで集まった後って強烈に愛しくなんだよ、夕香が」
中てられてたんだな、と諒は付け足す。
「ま、だからってんじゃねぇけど、早く二人には前に進んで欲しいって思うぜ」
何が足りないのかはまだ判らない。けれど、何を望んでいたのか、今は何を望んでいるのか、少しだけ判ったような気がした。抱かれたい。抱かれることで浄化されたい。そればかりを望んでいたのはきっと間違っていた。そんなものなどなくとも、自分は貴の女だと、とっくに判っていたはずなのに。
「ありがとね、諒君」
不器用な男友達に心からの礼を述べて、涼子は笑顔になった。
「んじゃ、今度はオムライスに少量の愛情も混ぜてもらうかな」
「かしこまりっ」
(結局、私は自分の気持ちを盾に、たかを責めてたんだ……)
自室のベッドに腰掛けて、涼子は考えていた。ほんの少し会わない間に、貴は二度も倒れた。一度は大輔といる時に。一度は仕事中に。病気などではなく、心労から来るストレスなのだろうことはすぐに判った。
(自分の気持ち)
貴を思う気持ちに偽りはない。本当の自分の気持ちだ。しかし、貴の気持ちが重いことが何度もあった。今は、判らない。
(判らない?)
嘘だ。
言い訳だ。本当は全て判っている。
貴と会うのが辛かった。顔を合わせるのが怖い、と思うこともあった。自分の気持ちがそれに反応して形を変えてしまうことが、何より一番怖かった。
相手がいることで成立することだというのに、反応があって、それが呼吸をすることと同じように自然なことなのに、貴を目の前にしないで、眼を逸らして貴を想おうとしていた。
有り得ない。
気持ちを、感情を抜きにした世界など有り得ない。結局、逃げていただけだ。貴が好きだと言う気持ちだけを漫然と抱えて。貴の気持ちを全く考えていなかった。
幸せになりたい。
貴に抱かれたい。
自分独りでそう思っていた。確かに貴も同じことを考えていたことは判っていた。判ってはいたが、二人で同じ気持ちを持っていたことが、二人で一つの気持ちを持っていた、ということではなかったのだ。諒に教えられた。
「!」
部屋のドアがノックされた。
「涼子、いい?」
次いで聞こえてきた姉の声。
「うん」
晶子は涼子の返事を聞いた後にドアを開けると、部屋に入ってきた。
「ちょっと付き合わない?」
母、
「いいね」
笑顔になって涼子は答えた。
「今の気持ちって、どうなの?」
晶子は唐突に訊いてきた。
「今の、気持ち……」
判らない、というのは言い訳でしかない。
「あたしね、思うんだけど」
「うん」
「涼子がね、貴君と付き合って、ずっと一緒にいてくれたらなぁ、って涼子の気持ちをね、無視してそう思ってる」
「無視?」
口をつけようとしたグラスを目の前で止めて、涼子は晶子の目を見た。
「そ」
「どういうこと?」
「無理ならこのまま離れちゃうのも仕方ないかな、って。そう、そう思うように、なったの」
ゆっくりと、確認するように晶子は言った。
「え……」
全身が一気に粟立った。軽い眩暈すら覚えて、涼子は呆けたように口を開いた。
「あたし達はね、涼子と貴君の気持ちを汲んで、今まで色々と世話を焼いてみたりしてきたんだけど、でも、それって本当に良かったのかな、って」
コク、と喉を鳴らして晶子は一息ついた。涼子は何も言うことができなかった。
「いいんじゃないかな。縁とか、出会いとか……。そんなのって、いっぱいあるんだし」
「私、そうなのかな」
言い訳ではなく、判らなくなってしまった。
「それは涼子じゃないとね。ただあたしは、あたし達が言ってきたことで、涼子が迷っちゃってるって、そんな気がしたから」
晶子は困惑したように言う。その自分の言葉で、また涼子が迷っていることを判っているのだろう。
「あたしとか夕香みたいに癇が強いのが勢いに乗っちゃうと、ね……」
「そんなこと、ないと思うよ」
今度は一口、果実酒を呑んで、涼子は言う。誰のせいでもない。結局、決めたのは涼子自身だ。
「判らないけどね。あたし達が気持ちを押し付けちゃったのかも、って少し心配と反省はしてるんだ」
「……」
そう言われてみると、急激にこみ上げてくる。本当の気持ちだ、これが。
「会って、みようかな……」
勝手な、酷い言い草だ。
それを自覚しつつも、涼子は敢えて口に出した。一度そう思ってしまうと、今までの気持ちが嘘のように、何でもなかったかのように思えてくる。
(会いたい……)
無邪気な笑顔の貴の腕にじゃれつきたい。
些細なボケで軽くおでこにチョップをしてもらいたい。
その手でぽん、と頭に手を乗せてもらいたい。
手を繋いで一緒に歩きたい。
そんな気持ちが溢れ出てくるようだった。
「何にせよ、自分の気持ちに正直に、ね」
「そしたら、今会いたいって思ってる私の気持ちは、正直な気持ちかな」
確認するように、ゆっくりと涼子は言う。
「それはね、涼子にしか判らないよね、うん」
嬉しそうに晶子が言う。
「そうだね」
晶子達の気持ちも、自分の気持ちも、貴の気持ちも同じならば、今会うべきなのかもしれない。でも、と涼子は思う。
「勝手だね」
「気持ちばっかりはね。仕方ないって思うし」
ゆっくりと胸元に手を当てて、晶子は言った。
「貴君はね、そういうこと、全部許しちゃうんじゃないかな。勿論今すぐって訳にはいかないかもしれないけど。でもね、貴君がずっと涼子を必要だって思ってたのと同じように、今、涼子が貴君に会いたい気持ちっていうのを、貴君にちゃんと伝えれば絶対大丈夫だと思うんだ」
やや間を置いて、晶子は続けた。
「貴が、私を?」
「誰が見たって判るでしょ」
涼子のキョトンとした顔を見てか、晶子は苦笑した。
「会いたい、ってそういうことなのかな」
「一概にそうだとは言い切れないけど。でも、傍にいたいって、そういうことなんじゃないのかな」
あたしはそう思ってる、と晶子は笑う。
「……」
貴に会いたいという気持ち。何故会いたいのか。改めて考えてみる。
(好きな人と会いたいって思うのは当たり前だし……)
何故好きな人と会いたいのか。
何故傍にいたいのか。
(全部、全部当たり前のことだし、自然なこと)
貴が与えてくれるから。
(私が本当に好きな人を想うという気持を私に与えてくれる)
これほどまでに貴を愛している、と。
「難しく考えすぎなんじゃないの?……なぁんて最初からそっか、涼子の場合は」
晶子は言ってから苦笑した。恐らくは自嘲だろう。
「多分、触れて欲しいとか、キスして欲しいとか、抱いて欲しいとか、きっとそういうことだけじゃないのかもしれないね」
「うん。それはそうだと思うよ」
「まだちょっと整理はできてないけど、手紙、書いてみる」
小さく頷いて、涼子は言う。
必要なのは涼子の方だ。相手の想いが重圧となって、そこから二度も逃げ出してしまったというのに。
「それがいいかもね。いきなり電話とか、涼子の方が抵抗あるだろうし」
「うん」
「へへっ、んじゃ折角だしもっと呑もうよ。今まで貴君の話、あんまり聞けなかったし。色々聞かせてよ」
貴と初めて夜を共にしたあの日の前日も、こうして晶子と二人で呑んだ。あの時はこんなことになってしまうなどとは夢にも思っていなかった。それでも晶子はあの日と同じように、暖かな視線で涼子を思ってくれている。
そして、二人で約束した。
(もちろん、あたしだって幸せになるけどね!)
(そうだね、一緒にね!)
大切な、大好きな姉と交わした約束。
絶対に、涼子から破る訳にはいかない約束。
「うん、判った」
姉の優しさに胸が暖かくなる。涼子は晶子のグラスに果実酒を継ぎ足すと、もう一度グラスを軽く合わせた。
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