第六話 静かな一歩
九月一九日 日曜日
『あら
何年かぶりに電話したというのに、相変わらず涼子の母親はのんびりとした感じだった。
どう感じたのだろうこの人は。涼子の、大切な娘の不幸を。
そして
そんな貴の思いを余所に、電話の向こうで涼子と良く似た声が聞こえた。
『貴君?代わって、代わって』
涼子の双子の姉、
「あぁ、ども。お久しぶり」
貴は冴えない声で挨拶した。
『涼子ね、何か今日は随分と思い詰めた顔で出てったよ。……多分近くをふらふら歩ってるんじゃないかな。こんな雨降ってるのに……』
判っているのだろうか。自分が、涼子の触れてはいけない部分に土足で踏み込んでいるということが。
「あぁ、そうですか。……じゃあ、帰ってきたら電話もらえるようにお願いできますか?」
『うん、判った。でもねぇ貴君、前にも言ったでしょ、同い年なんだから、敬語はやめてって。じゃ、涼子には伝えとく』
後ろめたさからか、つい敬語になってしまっていた。随分前にかなみの店で偶然会った時にも同じことを言われた。晶子の態度は以前からずっと変わらないように思える。きっと気を遣わせてしまっている。その晶子の気遣いにも応えるように貴は短く答えた。
「うん、ありがと。それじゃ」
貴はそっと受話器を置くと嘆息する。思い込みかも知れないが晶子の言いようは探してくれ、と言っているように思えた。
いや、きっと思い込みなどではない。妹思いの晶子のことだ。この雨の中、涼子がふらふらと出て行った理由など当然判っているはずだ。涼子の親友の一人、香奈からも忠にあんな情報がもたらされたのだ。貴と再会した後に、涼子の心がどうなってしまうかなど、きっと想像もできていたはずだ。恐らく、すべてではないにしても貴が涼子の不幸の根幹に関わっていることくらいは晶子も判っている。
貴は立ち上がり、上着を着た。
思い込みだとか本当のことだとか、そんなことなど今はどうでも良い。
伝えなければならないことがある。
このまま待っていれば電話はくるかもしれない。
そんなことは判っている。
それでも貴は家を出て走り始めた。涼子を探すために。
外は昨日の星空を裏切るような激しい雨が降っていた。貴は傘もささずに涼子を探し続けた。この雨の中を一人で出歩くなど、やはり涼子の精神状態が普通ではないことの裏付けにしかならない。
急激に襲ってくる不安感を振り払って、貴は走り続けた。
子供の頃、よくヒーローごっこをして遊んだ公園。
中学生の頃、初めて隠れて煙草を吸った、公園の裏道。
あの夏の日、涼子の唇を奪ったあの橋。
どこを探しても涼子の姿は見つからなかった。
それでも貴は探し続けた。
――このまま、時間なんて止まっちゃえばいいのに――
激しい雨が止み、陽の光ががさし始めた頃、貴の求めた小さな、細い影があった。
高校時代、何度も通った河川敷。
時にはバンドの練習帰り、ギターやブルースハープを演奏したり、隠れて煙草を吸ったりした、大きな国道の橋梁の下。
貴は乱れた呼吸を整え、びしょ濡れになった髪を払いながら、その影に近付いて行った。
「
貴は涼子から五歩ほど離れた所で呼びかけた。
びくり、と涼子の肩が揺れた。
泣いている。その細い肩を振るわせて。
「どした?」
慎重に、静かに貴は言った。何か、今の涼子は触れるだけで粉々に砕け散ってしまうガラス細工のようにも思えた。
「水沢君……」
涼子はゆっくりと貴の方へと振り向いた。高校時代よりもいくらか大人びた涼子の顔。
その頬には、涙。
「全部、聴いた」
貴は言葉を選ばずに、そのままに言った。誤魔化しなど今は無用だ。
瞬間、涼子の目が驚愕に見開かれた。
そして俯き、両手で顔を覆ってしまう。
「みずっ、水沢君には、知って欲しくなかったのに!」
嗚咽交じりの声。
涼子の全身にひびが入った。そんな気がした。砕け散る寸前の様に。
「おれに黙ってて、ずっとおれが知らないままだったら、それで満足か?」
判っていたのではないのか。自分にことの真相が伝わる、ということが。
特に、自分が今でも涼子のことを想って止まないことを知っている人間に話せば、伝わらないはずがない。口止めをしてさえいても。
本当は涼子自身、感付いていたはずだ。
それでも、女である涼子がこんなことをかつて好きだった男に言える訳もないということは貴にも痛いほど判ってはいたのだ。
それでも、今まで犯してきてしまった過ちを繰り返さないためにも、ここですべてに決着をつけるためにも、このままにはしてはおけない。
貴にとっても、恐らく、涼子にとっても。
「ごめ、ごめんなさい」
言葉を詰まらせた涼子は小走りに貴の胸へ飛び込んだ。貴はそのまま黙って胸を貸す。
急激に涼子を抱き締めたい衝動に駆られる。この細い肩を護りたい。涼子を泣かせる全てから。
抱きしめて、髪をなでて、大丈夫だ、と言ってあげられればどれほど良かっただろう。
(でも……。駄目だ)
貴にはその資格がない。
涼子の唇を無理矢理奪ってしまった。あの時と同じことを繰り返す訳にはいかない。思うがままに涼子に触れて良い道理など、あるはずがない。
そして今、涼子を泣かせているのは自分自身だ。自分が不甲斐ないばかりに、涼子は泣いている。
貴は自分を呪いたくなった。こんな自分に涼子を護る資格など有りはしない。
「普通だったら、抱き締めてやるんだろうな、こんな時。……でも、おれはそこまで優しくもないし、また、昔と同じことしそうで、駄目だ」
言い訳じみていたかもしれない。しかし、それは自戒でもある。涼子が筆舌尽くし難い傷を、心にも、身体にも負ってしまったことを知れば尚の事。
「……ごめんな」
知らず口を突いて出た。言いたかった言葉。
そして、今なら、言える。
ずっと三年間、胸にしまい続けた思いを。
貴はポケットから雨が染み込んでしまったハンカチを出して、そっと涼子の頬に当てた。
「ずっと、悔やんでたよ。どうしてあんなことをって。何でちゃんと言いたいことも言わなきゃいけないことも言えずに、って」
それが一つ目の思い。
ずっと、ずっと、長いこと言えずにいた。
ハンカチを持つ貴の手を涼子の小さな手が優しく包んだ。そのまま貴は涼子の小さく、冷えてしまった手にハンカチを渡す。
「……ありがと」
涼子の言葉に貴は一度だけ首を横に振った。
「本当は、泣きたくなんて、ないのに」
俯いたまま、そう涼子は手渡されたハンカチを口元に当て、嗚咽混じりの声で言った。
「いいよ。今日くらいはさ、思いきり泣いた方がいい。おれなら、一緒にいるから」
それくらいしかできないけれど、泣ける時には泣いておいた方がいい。
抱き締めてあげることは、できないけれど。
「……知ってるよ」
ややあって、不意に涼子が口を開く。
「水沢君も、知ってる。半年くらい前から、何回も、ニュースで、やってたから」
途切れ途切れの涼子の言葉。まさかあのニュースが涼子の一件だったなどとは思いもしなかった。
「あ、あぁ」
何を答えれば良いのだろう。こんな時。
塞がりかけた傷口を自らの手で再び広げてしまう様な、そんな痛々しい言葉を吐く涼子にかける言葉を何一つ見つけられない。
「私、ほら、昔からとろくさいから、仕事も遅くって……。一人で残ってやってたの。そしたら、見回りの人が一人、残ってて……」
「言うなよ、そんなこと」
貴の静止の言葉は涼子には届いていなかった。
「それでね、着替えの時に、更衣室で、頭殴られて、意識がなくなって」
「やめろって!そんなこと!」
聞きたくもない。貴は涼子の肩を掴んだ。それでも涼子はハンカチで口元を押さえたまま、話し続けた。アスファルトを殴りつけた貴の手を包んでくれたあの時の涼子も、こんな気持ちだったのだろうか。
「気付いたら、手も足も縛られてて……」
がくん、と涼子が崩れ落ちそうになった。貴は腕を掴んで涼子を支えた。その途端、涼子は貴の背に腕を回し、力を込めた。
「ま、舞川……」
貴は涼子を自分から離そうとしたが、涼子は背に回した腕を解こうとしなかった。
「いやっ!」
涼子の腕に更に力が込もった。昔の記憶のままの、涼子の香りに貴は包まれた。
一瞬の後、涼子は貴から離れた。
「ごめんなさい……。本当は嫌だって、判ってる。こんな、ボロボロに汚れた私なんて」
涼子が自分の抱擁を欲していることは痛いほど判る。しかし、誰のせいでこんなことになったのか、涼子は考えなかったのだろうか。
すべてはこの、何もできなかった、好きな女を傷付けることしかできなかった自分のせいだというのに。そんな涼子のことを汚れているなどと、どうして思うことができるだろう。
一言、好きだと言えていればこんなことにはならなかったかも知れないのに。男不信のノイローゼにまでなったというのに。
貴は、貴自身の不甲斐なさのせいで、一番大切な女性をどん底に叩き落としてしまったというのに。
しかし、それでもまだ、突き放せるだけの強さも、冷たさも、持つことはできない。何の決断も下すことができない。
意地汚いほどに、残っている想いが消えることなく燻り続けている。
「……違うんだ。おれが、悪いんだよ」
涼子は無言で貴を見た。何を言っているのか良く判っていない顔だ。
貴は構わず話し続けた。
「ずっと、好きだった。……今でも、な。だけどあんなことしておいてどの面下げて好きだなんて言えば良かったのか、おれには判らなかったんだ……。ずっと言えなかった。お前が東京へ行く時にも。……二度と会えないかもしれないって時になっても」
それが二つ目の想いだった。六年間胸にしまい続けてきた、昨日までの自分には言うつもりなどなかった、もう一つの、思いではない、想い。
言えなかった。ただそれだけで全てを最悪にしてしまった。
許されることのない失態。
(何、言ってんだ、今更……)
貴は言ってから後悔した。自分自身を殴りつけたい衝動に駆られる。涼子は、そんな貴をただ見つめている。
「は、ははっ。何言ってんだろうな、おれ。ばっかみてぇ」
涼子の視線に耐えられなくなった貴は、視線を不自然に外して苦笑した。今、この時にその言葉を口に出しても、手遅れという事実は何一つとして変わらない。傷付いた涼子の身体も、心も、癒してやることなどできやしない。
断罪になどなり得ない。そんなことは判っていたはずなのに。
もしも、あの時に言えていれば――
忘れようがない。あの時から幾度もその言葉が、思いが、貴の中を駆け巡っていたのだから。
悲壮感に酔っていた。自分の後悔だけだ、と。
自分だけが辛いのなら、それで良い、と。
何も知らなかったくせに、一人で、勝手に理解したつもりで全て背負い込んでしまっていた。
「違う。違うよ、そんなの全然判らないよ。だって、私だって、水沢君に言えなかった。好きだって。……だから違うの、水沢君のせいじゃない!」
「!」
そうだ。
いつもそうだった。
何も知らないくせに、涼子がどんなに苦しい思いをしたかなど、少しも知らずに涼子の不幸までも自分で背負い込もうとして、悲劇の主人公を演じて……。どうしようもない、救いようがない愚かさだ。
けれど、一つだけ判ったことがあった。
涼子を想う気持ちだけは六年間変わらずに持ち続けた自分がいて、
それはきっと愚劣で、愚直だ。だけれど、その自分がどんなに大切だったのか、ほんの僅かでも知ることは、いや、思い出すことは、できた。
この一瞬で。
「だから、そんな風に水沢君が、私のことで悩むかも知れないって思ってたから、だから、水沢君には知られたくなかったんだよ……。そんな、あの時みたいな水沢君、もう二度と見たくなかったし、それに今でも、水沢君のこと、大好きだから……」
自分の恥や傷などよりも、大切な人のことを考える。
偽善だと笑う人間は、いるかもしれない。自分のことだけを考えて何が悪い、と言う人間もいるかもしれない。それが間違ったことだとは言えないけれど、今、貴にとっての本当のことは、そんな利己的なことではない。
涼子の言葉に、その思いやりが一番足りなかった、と貴は思い知る。
何故あの時、後悔や自分への怒りではなく、涼子の傷ついた心を思ってあげられなかったのだろうか。
何故、泣いている涼子に背を向けてしまったのだろうか。
自分自身を許せなかった自分。
悲壮感に酔っていた自分。
素直になれなかった自分。
すべて、人を思いやる気持ちが足りなかった。
一番大切な仲間達、一番大切な女性を思いやる心が。
独りで、自分の後ろだけしか見えていない、何もかも勝手に理解したつもりで、全てを背負い込んだつもりの、貴自身一番嫌いだった大人に貴はなっていた。
自分でいる、ということが難しくて、いつも誰かみたいになりたい、と思っていた。
今の、周囲を丸ごと理解できるような、涼子の様になりたかったのかもしれない。それはきっと、涼子自身が苦しんで苦しんで、知らず身に付けた心の礎だ。もう少し時間が経てば、あの頃より強くなった、と実感できるほどに、涼子は自身でも気付かない内に変わっている。
だから、誰かみたいになりたい、などと上辺だけなぞっている貴には、涼子と同じ強さなど得られるはずもなかったのだ。
「強いな、お前は。それに比べておれは……」
「そんなことない、そんなことないよ!」
涼子は声を高くして反論してきた。
「強いとか、弱いとか、そんなことじゃないよ……」
震える涙混じりの声で涼子は続ける。
貴の目を見つめて、一瞬も視線を外さない。
「再会してから、明らかに昔と違うの、水沢君には判ってたでしょ?」
貴は無言で頷いた。
「だけど水沢君は何も言わないで、自然に接してくれたよね。何か言ったら折角の再会した雰囲気が壊れちゃうかもしれない、私が何か言いたくないことを心にしまってるのかもしれない、きっと、水沢君はそんな風に思ってた」
涼子の洞察力に貴は驚きを隠せなかった。
辛いことがあった、一人きりの世界から戻ってきて、最初に顔を合わせたのが恐らくは一番顔を合わせ辛かった貴であったというのに、何故そこまで理解できているのだろう。
「私、ノイローゼになった時ね、男の人の全部が嫌になったの。どんな男の人でも顔を思い浮かべただけで吐いたりしてたんだよ」
貴にもそれは判る気持ちだった。人の顔を思い浮かべるだけで、何度吐きそうになったことか。心が、神経が痩せ細れば大げさではなく誰にでも起こることだ。貴自身、涼子ほどではないかもしれないが、今後そうなる可能性は高い。だから、僅か、欠片ほどでしかないかもしれないけれど、涼子の言葉は理解できた。
「男の人が怖くて外に出られなかった。死んじゃおう、って思ったことなんて何回もあったよ。でもね、それでも水沢君の顔を思い浮かべた時、大切なことを思い出すことができたの」
こんな自分を思い浮かべて。
(いや……)
「高校の時、周りにいたみんなだけは絶対に違う、って」
それだけを強く信じて、涼子は戦い続けたのだ。自分自身と。
涼子はゆっくりと確かめているかのように、一つ一つ貴に伝える。
高校時代、あの夏の日からの貴を涼子は見ていることができなかった。
ひどく弱い水沢貴之を。
自分の内に全てしまい込んで、相手に辛い思いをさせないために、強がった悲しい笑顔をする貴を、涼子はまた見てしまった。
あんな貴はもう二度と見たくはなかったというのに。
そうして気付いてしまった。あの時に、貴に背を向けた自分こそが、その悲しい笑顔の元凶なのだ、と。
そして、その悲しい笑顔が貴の不器用な優しさだということは、忠も、諒も、皆知っていた。
だからこそ、彼らは貴と共にあって、自分もそんな貴が好きなのだと涼子は、信じることができた。
そう涼子は言い、貴の胸元に手を当てた。
「私だって、逃げてきたんだもん。みんなに会いたくて」
また一つ思い違いをするところだった。
結局、急に大人になった訳じゃない。
子供のままだ。
背伸びして、大人になろうとしていたのはきっと自分だけだった。
「おれ、ほんっとにばかだなぁ」
誰に言うでもなく、そう貴は呟いた。
苦笑交じりに。
「そうだよな。逃げても、情けなくても、カッコ悪くても、別にいいんだよな。ガキだなんて言われても、ガキで結構だ、って言ってやりゃあ良かったんだよな」
昔の強気だった自分を思い出しながら貴は言う。涼子に伝えなければならない言葉を発する前に、気付くべきだったのだ。忠と話した後に、それに気付くべきだった。
(そうだ、あの時は何もかもが最高だったんだ。怖いものなんて何もなかったはずだろ)
忘れてはならない、涼子や仲間たちと過ごした大切な日々。
それにすがって生きてきた。
そうではなく、それを糧に、常に前へ。
それを礎に、常に高く。
ほんの少しずつでも進んで行ければそれで良い。それで良かったのだ。巧く回らない現状に、視野が狭くなって行くことに気付くことさえできなかった。
「うん……」
涼子の優しい笑顔。
もう一度、許されるのなら、もう一度やり直そう。
あの高校時代の、夏霞のように揺らいだ思い出を、大切に胸にしまって。
あの頃にできなかったことを、もう一度。
まだ完全に壊れてしまった訳ではないのだから。
だから貴は、今、本当に言うべき言葉を口にする。
「舞川、今すぐ返事聴きたい。おれは、おれはお前のことが、好きだ」
貴は目の前にいる涼子の瞳にそう告げる。
涼子は、微笑みながら貴の首にそっと腕を回して、胸に額を預けた。
「さっきの私の言葉、聴いてなかったの?……大好きって言ったのに」
「じゃ、じゃあ付き合ってくれるか?」
吃音が混じった貴の言葉にくすりと小さく笑って涼子は頷いた。
(……やっと戻れた、かな)
『前向きな水沢君』も、演じることはもうないだろう。
どんなに身を切る思いをしても、つらいことがあっても。
涙は乾き、いつか傷は癒える。そして、二人は僅かに強くなる。
涼子は不意に瞳を閉じ、背伸びをして貴の唇に自分の唇を重ねた。
一瞬だけのキス。
貴は驚いて、悪戯っ子の様な涼子の瞳を見た。
「あの時の、仕返しだから」
涼子はくすくすと笑いながら言うと貴の胸に顔をうずめた。
どんなことがあっても守り抜こう。
涼子をたった独りで戦わせてしまった、淋しい思いをさせてしまった、その償いに。
自らの、有りったけの強さを掲げて。
涼子の肩に手を置いて、貴は涼子に優しく呼びかけた。
「涼子、還ろうか」
あの頃の自分達には戻れはしない。だけれど、気持ちだけは、想いだけは、還すことができる。
「……うん」
涼子は顔を上げて嬉しそうに言った。
そして二人は静かに、力強く最初の一歩を踏み出した。
とても静かな一歩を。
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