俺は勇者じゃない、暗殺者なんだが
暗殺者ラクーンは、毎日が生き地獄だった。
殺したくもない人を殺さねばならず、暗殺者ギルドのギルドマスターとは折り合いがつかない。
かと言って暗殺者として育てられてきたため、それ以外の生き方も知らない。
遂にラクーンは暗殺をしくじり、ギルドから追放されてしまう。
もう血を見るのすら嫌気が差していたラクーンは丁度いいとすら思い、ナイフを首に当て、川へ身を投げようとした。
だが――そんな彼の前に〝神〟のような少女が現れる。
『……ごめんなさい、あなたは選ばれた』
『……戦って。あなたは世界を救う者となる』
――その瞬間から、最低な人生を送っていたラクーンは全てが変わった。
神の加護を得たチート武器、【神器】を手にしたラクーンは【勇者】と呼ばれるようになり、人々を殺すためではなく救うために力を振るうようになる。
しかし、ラクーンに授けられた【神器】は最低のＥランク。
【神器】を持つ【勇者】は、全部で１０８名。
最弱の勇者となったラクーンでは、大した活躍もできないはずだったが……。
これはかつて暗殺者だった男が、本物の勇者へと成長していく物語。
「おい、俺は勇者じゃなくて暗殺者なんだが？」
