第13話 【神器】⑥
「ふ、ふぇ!? どうしてそう思うんスか!?」
「いや、だってどう見てもそうだろ。このグラフ、Eでマークが一つ、Cでマークが三つ付いてる。しかも攻撃速度以外が全部Eとか、これが弱いってことくらい俺にだってわかるぞ」
ズバリ言い当てるラクーンと、激しく取り乱すチャット。
きっと彼女は、ラクーンがグラフの意味するところを理解できると思ってなかったんでしょうね……。
「い、いや~、気にしない方がいいっスよ! 所詮ランクなんて区分に過ぎないんでスし、ウチはどのランクの【神器】も好きで――!」
「……つまり、俺の【神器】は最弱の一角ってことか」
察した風に言うラクーン。
チャットはカクッと肩を落とし、
「これまで確認された戦果だけを見るなら、でスけどね……。このグラフは今までの〈
「【神器】には六段階のランクがあります。全部で〈S〉〈A〉〈B〉〈C〉〈D〉〈E〉の六つ。ラクーンの【神器】は一番下のEランク、となりますね」
流石にチャットに言わせるのは不憫と感じ、代わりに私が残酷な事実を打ち明ける。
正直【神器】という存在をランク分けするという行為自体があまり好きではないのだが、高ランクの物ほど圧倒的な戦力を持つのは紛れもない事実。
【神器】や【勇者】に憧れる者ならば、誰もがSランクやAランクを渇望する。
かつては【神器使い】となれたことで狂喜乱舞したのに、自らのランクを知って絶望・発狂してしまった者までいたらしい。
だからあまり言いたくはない――と思っていたのだが、
「そうか。そういうことならいい」
ラクーンは、あまりに素っ気ない声でそう言った。
その様子に、私とチャットは驚きを隠せない。
「……あ、あれ? おにーさん、なんでそんなリアクションなんスか……? もっと残念そうにするとか……」
「別に構わん。そもそもコレは俺からすれば十分過ぎるほどに強力だし、強すぎる武器など貰っても逆に目立って邪魔だ。俺にはこれくらいが丁度いい」
「……なるほど、
思わず感心してしまった。
そうか、彼のあくまで
大事なのは武器の強さ・威力などではなく、自分のスタイルに合った使い方ができるか否か。
どれほど強力だったとしても、剣や槍では持て余してしまう。
……ダークナイフの神が彼を選ばれたのも、なんだか納得してしまうかもしれません。
「で、なにか他に聞くことはあるか?」
「え? あ、ありますあります! 〝
「待ってチャット、説明は一旦このくらいにしておきましょう」
私は喋り続けようとするチャットを諫め、再びラクーンを見据えた。
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