アサシン崩れの最弱勇者でも

プロローグ01

　遠い昔、遥か天上の世界にて〝戦争〟があった。

　〈神魔大戦（レギオンズ・ウォー）〉。

　かつて世界を統べていた〝神々〟と、それに仇なす〝魔族〟の戦い。

　神々の住まう『天界（アッパー・レギオン）』にて繰り広げられた神魔の戦いは１００年も続き、ついに神々は魔族との争いに勝利する。

　神々は魔族を『深淵（ジ・アビス）』と呼ばれる仄暗い地底へと封じ込め、二度と陽の光を浴びれぬようにした。

　しかし長きに渡る戦いで神々も傷付き、弱り果てていた。

　既に世界を統べる力を失った神々は、『天界（アッパー・レギオン）』と『深淵（ジ・アビス）』の間にある可能性の世界――『地上（グラン・ワールド）』へと降り立つ。

　多くの神々は自らの肉体を変化させ、『地上（グラン・ワールド）』を豊穣なる大地へと変えた。

　そうして最後に残った１０８名の神々だけが残ったが、彼らは話し合う。

〝我らは次なる世界を統べし者を手助けするため、『天界（アッパー・レギオン）』から見守ろう〟

〝もしその子らに危機が迫れば、その時こそ我らは姿を変えよう〟

　最後の１０８名の神々は、『天界（アッパー・レギオン）』に残る決意をする。

　そうして幾億年の月日が流れ、〝人間〟が世界を統べるようになっても、１０８名の神々は『天界（アッパー・レギオン）』から『地上（グラン・ワールド）』を見守り続けてくれている。

　もし、私たち人間という種が存続の危機に立たされたならば、きっと１０８名の神々が助けてくれるであろう。

　故に、私たち人間は敬虔でなくてはならない。

　故に、私たち人間は信仰を忘れてはならない。

――トマス・サンプソン著『神魔大戦』より一部抜粋

※一気に50話まで上げていきます。

　お付き合い頂ければ幸いです。