第37話 ソミュール対スコティ

因みに聞くけど・・・。

なんとなくわかるけどさ、

貴方とスコティさんの力の差は?

とソミュールが言うと


「そうですね、そこに転がっている

 石ころと月くらい違います」と

バフォメットは言う。



そして次鋒戦の銅鑼が鳴る。


突っ込んでくると思いソミュールは

大きく後ろに飛び、杖ではなく

薙刀を構えた。


「大丈夫にゃ。突っ込まないにゃ。

 魔法攻撃でくるにゃ」とスコティは言う。


ソミュールは眉間がピクリと動くと

杖に持ち替える。

バフォメットも不思議に思っている。

「どうやら力を吸われていません。」

と言うとやる気満々で

全ての魔力を消費し3重の魔方陣を描く。


持って1分です。とも付け加えた。

ソミュールは唱える。


ゼロ・アブソル・ブラスト


詠唱と同時にスコティは右手を引き

力を貯めている。そしてその右手は

赤く光り、その光は大きくなる。


氷の塊が青白い閃光となり、そして

一時溜めてから稲妻の様な光を纏いつつ

スコティに向かって放たれる。


同時にソレを殴るスコティ。

青い閃光がスコティを中心に二つに割れる。


一時すると、スコティの後ろの観客席から

悲鳴が上がる。


「回復!早く!全員回復!もう総出だ!」

と慌てながらアスティ。

ダンもあわてて走る!バーボンも走る!


「バーボン!魔方陣を頼む!」とアスティ。


「わかった!」と言うと走りながら

胸のアイテムボックスから槍を取り出し

魔方陣を描く。


描き終わると槍が金色に光る。同時に

バーボンは魔方陣の中心に投げる。

「全員回復魔法を槍に向けて唱えろ!」

と言う。


全員の回復魔法が槍に吸い込まれると

更に槍が強く光りだす。

そして一気に拡散する。


「多分間に合った。もう大丈夫だ」と

バーボンは言う。


二つに分かれた閃光が観客席を直撃し

阿鼻叫喚の地獄絵図となったのだ。


「あにゃ」とスコティはつぶやくと

冷や汗がダラダラ出ている。


ソミュールも目を見開き

スコティの倍ほどの冷や汗がダラダラ出ている。


審議だ!というより!説教だ!

とアスティは言う。


ソミュールとスコティは正座をし

説教を聞いた。


そして再開。

「ソミュール。

 私に向けて初級魔法を打つにゃ。

 バフォメットの力無しで。」

とスコティは言う。


ソミュールは言われるがまま

自身で魔方陣を描き、ロックダーツを放つ。


スコティは右手でカンカンと全てを弾くと、

「次は中級魔法にゃ」と言う。


ソミュールは頷き、今度は炎系の攻撃をする。

スコティに向かって炎は走る。が、

スコティは右手で掴むと炎は消えた。


「いいにゃ、いい魔法攻撃にゃ」と言うと

「次はエアリアル・デッド・ショットを

 打つにゃ」と続けた。


「そ、それは、打ったことがありません。

 それに知りません。その魔法」

とソミュールは言う。


「大丈夫にゃ、バフォメット、手伝うにゃ」

とスコティが言うと

「え、あ、あの・・・。もう魔力が。」

とバフォメット。


「しぼりだすにゃ!」とスコティ。


「な、なんか残ってる気がします!魔力!」

とバフォメットは言うと何か唸っている。


杖が「ゼェゼェ」と何かの音を発すると

目の前に魔方陣が現れる。


ソミュールは想像力で魔法を打ってるにゃ。

ならば想像するにゃ。

とスコティは言うと続けて


眼を閉じ感じなさい。

体の周りにある空気を。そして

その空気をよく見るのです。


それは幾つもの物質の集合体。

それを一つずつ把握するのです。

今はそれが何であるか知る必要は

ありません。


それを把握したらそれを球体とし

魔方陣へと送り込みなさい。

そして唱えるのです。


エアリアル・デッド・ショット と。


ソミュールは目を閉じている。

私の周りの空気。無色透明。

あれ?違う。色々な色が見える。


精霊?ではない。どちらかと言うと

鉱物。とも違う、それに似た何か。


あぁ、これか。これを魔方陣へ誘導。


全部入ったかな?入ったよね。

よし。


エアリアル・デッド・ショット


ソミュールがそう唱えると

魔方陣から様々な色の閃が絡まり合い

一つに紡がれながらスコティに向かう。


スコティは左手を前にし、つぶやく。

「ディフェーサ・ペルフェット」


スコティの前に魔法障壁が現れる。

ソミュールが放った魔法が直撃すると

それを吸収し魔法障壁が砕け散る。


「ちょっとムラがあったけど

 神式攻撃魔法を初めてで

 打てただけでも合格にゃ」

とスコティ。


ソミュールは魔力を膨大に消費したのか

そこに倒れ込もうとする。が、片膝で

何とか踏ん張っている。


スコティはトコトコとソミュールに近づく。

そして語り掛ける。


「今度は私の頭をコツンとするにゃ」

とスコティ。

ソミュールは左手でスコティの頭を

コツンとした。


スコティは倒れ込む。

「やられたにゃぁ。痛いにゃぁ。

 降参にゃぁ」とそこに倒れた。


その場にいる全員が呆気に取られている。

「早く宣言するにゃ、アスティ」と

横になりつつ言うスコティ。


「しょ、勝者ソミュール」

とアスティは宣言した。

スコティはトコトコとソミュールに

近づき、そして語り掛ける。


ソミュール、吸血族の魔法士よ。

精進するがよい。ひたすら真っすぐに。

お前の魔力は美しく、穢れがない。


そのような魔力を持つ者が

この大地に居ることが私はうれしい。

妖精と人族との懸け橋となるのです。


それは吸血族だから出来るのです。

まずは私の元に来るのです。

待っていますよ。


「ということにゃ。よかったにゃ、

 ソミュール。これから頑張るにゃ」

とスコティは笑う。


勝った?私が?何故。ただ単に

魔法を教えてもらっただけなのに。



そしてソミュールは

魔力を使い果たしていたのだろう。

・・・その場に倒れ込んだ。


カティ族1勝目
























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