第8話 昔話

婆さんは懐かしそうに話す。

「ジヴァニア様を見ていると昔を思い出すねぇ。」

私は婆だけど昔はすごかったのよ?と一気飲み。


ジヴァニア様は母さんのウォッカ様にそっくりだ。

顔つきも人懐っこさも。といい昔話を始めた。


エンド討伐戦。

赤の国は3つの部隊で突入していた。

赤の国は左通路奥の転移装置攻略を任されていた。

私は第1部隊にいた。議長のアスティ様も

第1部隊だったよ。


転移装置まであとすこしと言う所ですでに

第2,第3部隊は壊滅、撤退をしていた。

私達第1部隊も半数は減っていた。


道中誰かが言っていた。

「指揮官は青の国の人間だ。

 エンド討伐を建前に赤の国に

 ダメージを与え国を奪うつもりだ。」と。


しかしアスティ様は言ったよ。

「信じる。」と。あいつは屑だが、

本物の屑だ。だから左通路を俺たちに

任せたんだ。俺達ならやれると。


アスティ様に迷いはなかったよ。

この婆ぁもホレちまうほどにかっこよかった。

そして奥の転移装置に着いた頃は

私達は6人だった。


エンドのいる間に行くには3か所同時に

転移装置を発動しなければならないと

バーボン様は言っていたので私達は

時間まで少し待っていた。

右転移装置は黄の国中心。


中央は、そうジヴァニア様の母さん、

ウォッカ様もそこにいたよ。

青の国と紫、他の国の連合隊。


時間になり転移装置を発動すると

全員がどこかに転移した。他の転移装置からも

やってきたよ。右から来たのはなんと5人だった。

中央からは4人。


アスティ様はバーボン様やウォッカ様に

「なんだてめえら、それだけか。軟弱だな

 他の国の冒険者は」と笑っていた。


少ししか変わらないじゃないか、と

全員で笑ったよ。エンドの広間の手前で。


その時に初めてウォッカ様にあった。

それはすごく綺麗な方で女の私でも

ホレちゃうほどだった。


ウォッカ様は私に気づくと

「男だらけで大変よね、臭いし。」と

笑いかけてきたよ。

「そうね、帰ったら女性3人で

 水浴びにでも行こうか」と紫の国の

女王も私に近づき笑っていた。


あら私も混ぜてよ、と他の女子たちも

集まってじゃあ水浴びの後に飲みに行こう。

女子会よ、とも言って笑ったねぇ。


たった15人でエンドと戦う。もうみんな

死を覚悟してたのかなぁと、今もそう思っている。


そして広間に入りエンドと対面だ。

私達はエンドと対話をしたよ。

この世界の真実を全員で聞いた。


そしてバーボン様と他全員。勿論私も。

全員相談してエンドの話に乗ることにした。

あのアスティ様も。黄の国のハジメ様も。


そして、


ウォッカ様と紫の国の女王は魔族となった。


私達はある意味、二人を人身御供にした。

いまでもそれでよかったのか私にはわからない。


ウォッカ様がエンドの眷属になる時は

「私しかいねぇな!そのおいしい所は譲らない」

と強がっていたけど、バーボン様見て


それはそれは優しく、

女神のような顔で微笑んでいたよ。


紫の国の女王サンテミリオン様も

「ウォッカだけおいしいとこもっていくの?

 ダメよ、ダメダメ」と言っていた。


バーボン様はうつむき、泣いていたよ。

それを見てウォッカ様はバーボン様を抱擁して

「大丈夫。どうなるかわからないけど

 ジヴァニアをよろしくね」と言っていた。


私は何もできなかったよ。

自分の意思で魔族になるなんて無理だった。


エンドはウォッカ様に一振りの剣を与え

サンテミリオン様には武器とは違う、そう

なにかでっかい鍵の様な物を渡した。


そしてエンドは封印された。というか

自分から封印されていったよ。


その後新たな作戦をアスティ様とバーボン様は

立案し、ハジメ様も納得した。

全員、私も含め、やらなければならないと。


そして今、平和な世の中の完成さ。

と、婆さんは一気飲み。


全員が話を聞いていた。

美香すらも真剣に。


「私は母様のように強くなれるかな。

 母様のようにイイ女になれるかな・・・。」

と呟く。


婆さんは美香に

「私が保証するよ。あんたはイイ女になれるよ」

と笑う。全員プロージットだった。


そしてやんややんやの大宴会。


「なぁジヴァニア、

 この子を連れて行ってくれないか」

と婆さん。


強くなるには強いものの中に居ないといけない。

この子は才能がある。

もしこの婆の願いを聞いてくれるなら

この婆の全てをやろう。と。


「わかったわ!もちろんよ、私も気に入っている。

 でも一つ頼みがあるわ。私達を

 コロッセウムに出れるようにして。

 この国の議長と仲いいんでしょ?忖度してよ」

と言いながら一気飲み。


「そんなもん、ダンに言えばいいじゃないか。

 というかダンから族長の座を奪っちまえ」

と笑いながら言う。


少し酔っぱらっている美香は言う。

「ダン!勝負よ!私と族長の座をかけて!」

と肉が刺さっていた串をダンに向ける。


「おいおい、族長は簡単には変わらねえよ。

 俺が死ぬか、おれが譲るかだ」と。


「じゃあ死ね!今すぐ死ね!」というと

美香は一気飲み。全員が大笑い。


「コロッセウムに出たいならいいぞ。

 俺たちの部族代表で、でるか!」とダンは

一気飲みをしながら美香に言う。


美香とダンは拳と拳を合わせる。


そしてリスボアに言う。

「私達と一緒に来なさい。何も教えられないけど

 あなたが自分で考えて強くなりなさい。」と。


リスボアは婆さんを見る。

婆さんはウンウンと頷く。


私は何をすればいい?と婆さんは美香に聞く。

美香は

「たまに来るからその時はまた話を聞かせてよ。

 あ、それとさ、ここに温泉作って?」と言った。


温泉とはそれほどまでに美香を虜にするものなのか。

全員が温泉の話を美香から聞く。

これは出るかもしれない。立地的に。

そう、お湯が。地面から!

金の匂いがする!とダン。


婆の話では赤の国の首都とには温泉があるらしい。




アスティ様肝いりの施設だと。


























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