第9話 剣士誕生

翌朝、冒険者ギルド。


総勢17名 ほぼ全員ランクS

リスボアもいるが頭数に入れていない。


あつまったわねぇ、と美香。

ダンは選りすぐりだ。多分このギルドで

トップクラスを集めた。これ以上は無理だ。

と言う。


十分よ、と美香は言うとダンと拳を突き合わせる。

美香は集まった冒険者に言う。

「私達は魔獣の核はいらない。それがあなた達への

 報酬。多くもなり少なくもなる。あんたたち次第。」


「だからと言って調子に乗ってやりすぎないでね。

 油断大敵よ!私も全力で戦う。」といい出発する。


今日だけは精霊使いに戻る、と美香は言った。

本気だった。・・・包丁の為に、ユキツーの為に。


作戦は?と私が聞くと、そんなもんはない!と

偉そうに堂々と言った。聞いた私がバカでした。


鉱山に入る。

遠目からでもわかる。うじゃうじゃだ。

行きは極力戦闘をしないで進むこととした。

帰りはガンガン中央突破する。


行きは遠回りになるが退路を確保しつつの

安全行動だ。マーキングも行う。

それでも結構な戦闘を繰り返す。


美香も精霊を召喚しつつ低級魔法を放つ。

親方の為に矢回収部隊のグノームも使役している。


魔獣が少ない所を通っているが

なかなか戦闘が辛くなっていく。


イフリートを召喚する!守って!と美香。

美香は召喚するために魔方陣を描く。

そしてイフリートが顕現しようと

体半分出てきたところで何か、右往左往している。

・・・イフリートが。

何かに掴まれて出てこれない感じだ。


そして引っ込む。・・・。そして代わりに

「俺様、登場」とミノタウロスが出てくる。


全員唖然。


出てくるや否や魔獣に突っ込む。大暴れ。

ある程度の魔獣が片付き、小休憩ができる様に

小規模結界を張る。


ミノタウロス、久しいな。とユキツー。

ミノタウロスは振り向き

「お、その気配はフシャスラ様じゃねえか」


妖精は個体こそ違うが意識は一つらしい。


何やってんだ?そんな体で。とも言う。

カクカクシカジカだ、と言うと

「お前こそ何やってるんだ」とも聞く。


そりゃもう、面白そうだから?と答える。

ミノタウロスは言う。


呼び出されている精霊を見て

「ばっかじゃないの?人間に。」と思っていたら

なんか面白そうな、興味を引く気配。


ウォッカ様の気配に似た感じ。気になって

見ていると娘さんらしいじゃねえか。

面白そうだから一回手伝ってやった。

そしたら、本当に面白かった。


だからタイミングを見て来ちゃったよ。俺。

と、ミノタウロス。


この娘、精霊使いのくせになかなか

精霊召喚しないんだよ。

そしたら何だろう・・・。逆に顕現したくて

ずっと待ってた感じ?


イェーイ、と

美香とミノタウロスは拳を突き合わす。

そこに居る全員それを見て、というか

ミノタウロスを見てヒソヒソ話し。


ハーピィも呼ぼうか?とミノタウロスが言うと

「そこまではいいだろう。戦力は十分と思う」

とユキツー。


「そりゃ残念。」とミノタウロス。


俺が中央で敵を引きつけるからお前ら

人間共は両脇から囲め。と指示をする。

全員歓喜。


休憩が終わるとガンガンとイケている。

もう冒険者も懐が温かい。


「気を引き締めて、油断したらダメよ」と美香。


「そうだ、些細な油断が死を招く。どんな者であれ。

 こういう時こそ気を引き締めろ」とダン。


全員気合いを入れなおす。

そして坑道入り口。ユキツーが先に坑道に入る。

一時して戻ってきて「魔獣はいない」と。


親方は数人を連れて中に入る。

私達は交互に食事をすることとした。


後ろから安全な所でついて来ていた

リスボアは言う。

「俺、ミノタウロスが出てきた時、ホッとした。

 戦う事を忘れていた。多分、それが油断だ。」


「多分、親父も母ちゃんも何かそんな感じで

 油断したんだ。何かを忘れて。

 親を殺した魔獣は勿論憎い。でも油断した

 親父たちも悪い。」と、涙を浮かべ言う。


リスボアの頭をわしゃわしゃしながらダンは言う。

「おまえ戦ってないじゃないか。」と笑いながら言う。


帰りはリスボアも戦いなさい。私がフォローするわ。

と美香。リスボアは緊張感を覚え、でも高揚しつつ

「わかった!」と返事をした。


大変だ。と親方は言いながら戻ってきた。

全員が親方を見る。親方は

「持ちきれねぇ!あと2,3人来てくれ」


全員歓喜。


帰りは中央突破で最短距離を行く。

ミノタウロスを先頭に両脇を前衛が固め

ガンガン突き進んでいく。


リスボアは左舷後方で前衛が見逃し、深手を負った

魔獣に向かい剣を振る。


最初はがむしゃらで剣を振っていたが、回数を

重ねるにつれ動きがよくなり、普通に戦えている。

・・・才能かもしれない、と私は思った。


「どうよ、俺すごいだろ!」とリスボアは言う。

その顔の横からロックダーツが後方に飛んで行った。

そして魔獣に当たる。


「油断するな、リスボア」と美香は真剣に言う。

リスボアは唇をかみしめる。


そしてさらに気合いが入ったように戦う。

美香は私を見て片目を閉じ少し笑った。

ウインクと言うものらしい。


ガンガン進む。美香はリスボアの後ろから

彼を守るように立ち回る。

一時すると、途中からはそれを止めた。

彼が剣士になったと認めたのかもしれない。


リスボアが冒険者、剣士になった瞬間。

・・・成人してないが。


そして鉱山出口。最後の敵をリスボアが討ち取った。


ミノタウロスは大きく手を振り魔方陣の中に

帰っていった。・・・いい奴だった。


数名が集めた魔獣の核の鑑定を行っている。

「うぉおおおおお」と歓喜する。

「が、概算だが核だけで総額金貨80枚相当だ」と

計算高い魔法士がつぶやく。さらに歓喜。


依頼主達を抜いて一人当たり約6枚!

もっと歓喜。じゃあ一人6枚にして

残った金で居酒屋で全員で飲もうとなった。


ギルドに戻りダンが換金をする。

金貨82枚銀貨6枚。

美香の世界の価値で826万円。

1人金貨6枚ずつ渡していく。



余った金貨4枚を使い

居酒屋で打ち上げだ!

























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