第16話 バフォメットの杖

全員が一気飲み。

さて食うぞ!とバローロ。


そして私とリスボア、美香しか

答えの知らない何かの遊戯が始まる。

当たったら死に直結する遊戯。


これを私はカティ・サークレットと名付けた。

これが武器を使わない運の決闘として

公平な決闘として世に出た瞬間だった。


なんだこのドキドキ感は。と私。

リスボアを見るとやはりドキドキワクワク

している。


美香は飲んでいる・・・。


ダンが「当たり」に手を伸ばす!

が!取らない。その横の肉料理。

今度は!サモス!・・・が手前の

黒パン。


うおぉ!親方!あんたは仕事がある!

と思っていたら「当たり」の奥の

串焼きへ。


バローロが手を伸ばす!当たりの皿ごと

取った!そして口にかき込む!

男だ、いや漢だ!


「なんだこれ?めちゃくちゃうまいな」

と。少しピリッとして旨辛だな。

酒に合う。なんか癖になる味だ。


な、なんだと?ありえない。と私。

しかし3分後。突然倒れるバローロ。


大変だ!バローロが呼吸をしていない!

治癒!早く治癒!回復魔法を!

と大慌ての私。

ダンとサモスが二人がかりで回復をする。

「だめだ!意識が戻らない!」

「もう一度だ!」


そして何とかバローロは意識を取り戻す。

どうやら死んだ婆ちゃんの夢を見たらしい。


河見たいな所で・・・。立ってたそうだ。

婆ちゃんが。


やっぱ危ないからと言って捨てた。リスボアが。


そして一日が過ぎ

2日目の昼。私達は鍛冶屋に向かう。


「こんなもんでどうだ?少し細いが

 かっこいいだろう」とニヤニヤしながら親方。


私は受け取る。感触を確かめる。

中が空洞な分軽い。しかし、悪くない持ち心地。


私達は広間を借りて精霊合体をする。

まず精霊を各属性ごとに2体づつ顕現させる。


それを私が覚えている通りに横一列に並ばせる。

私は美香にバーボン様が書いた魔方陣を

紙に書いて渡した。


「こんなもんでいいの?」と美香。

私もそう思う。が、問題は色だ、とも言う。


濃いのだ、魔方陣の色が。

とりあえずやってみるわ、と美香。


美香は魔方陣を描く。丁寧に、適当な魔方陣を。

書かれた魔方陣はバーボン様の色と比べ

薄い。というか逆だ。とてつもなく薄い色。


そして精霊合体を行っていく。

最後の二体、合体が終わる。


魔方陣から何かが顕現する。


私はバフォメット。

よろしくお願いする。と美香に言う。


全員ユキツーを見る。

「お見事です、美香様。れっきとした

 妖精です」と言った。


その気配はフシャスラ様か。久しいですね。

また会えるとは思えませんでした。

とバフォメットは畏まる。


「すまないがその杖に付与されてはくれないか」

とユキツーが言うと

「私の主、美香様が望むならそうしましょう。

 しかし可能ならば統合がいいですね。

 私の魔力を込めるより、私自体が杖となる方が

 何かと便利かと思いますが」とも付け加えた。


なるほどな、成長する杖か。おもしろいな。

と何か考えると、美香に伝える。


「美香。私と同じようにその杖にバフォメットを

 付与ではなく統合してくれ。」と言うと


美香は返事をし、妖精を杖に統合させる。

杖の色が変わる。黒みがかった色の杖となり

私が持つと重さを感じた。


「バフォメットの杖」ユキツーは言った。

誓約をかき込め、美香。


誓約とは?と美香が尋ねると

「まぁお前の命令みたいなものだ。そうだな、

 ソミュールの命に従え。でいいと思う。

 お前が固定式魔方陣を描き込む要領で

 文字を刻め」と答えた。


そして美香は言われたとおりに誓約をかき込む。

再度持つと重さは感じなくなっていた。


「ソミュール様、お手柔らかに」

うぉ!杖が喋った!と少し驚いた私。


ユキツーが杖になった感じか・・・。と全員。



そして私達は冒険者ギルドへ行き適当な依頼を

受ける。試し打ちの為だ。


近場の街道に出る魔獣の討伐。

私は魔方陣を描こうとすると

「不要です。私が居りますゆえ」と杖の中から

バフォメット。


私は魔力を注ぎ魔法を放つ。

「あれ?すごく楽だ。」と私。

そして初級魔法が

中級魔法以上の威力となっている。


「なんと美しい凛とした魔力。そして流れ。

 それでいて濃厚。いいですねぇ」と

ご満悦な感じでバフォメットは言う。

いや、杖が言う。


なるほど杖の中で私の魔力を制御している感じか。

それならば、と私は変則的に量を違えて魔力を流す。

しかし、どんな流れでも一定以上の火力がある。


試しているのですか?と杖。

そうよ・・・と私。


微弱な魔力の時は私が補完しております。

なのでどんな状況でも、貴方が魔力枯渇に

なっても、ある程度はあなたの意思で

魔法を打てますよ。


この杖の素材がもう少し良ければ、さらに

私の魔力で補完できるのですか・・・。


全員顔を見合わせる。

「ねぇ、ほんのちょっとさ、使おうか。アレ」

と美香。

ユキツーも「ですね、ほんの少し・・」と。


鍛冶屋に戻り親方に言う。

「じゃあ一旦、バフォメットを分離しな」


美香はバフォメットを分離すると杖を親方に。

親方はアースドラゴンの結石を丁寧に

5分の1ほど割る。


そして合成。

「うぉ、なんじゃこりゃ。すげえな、おい」

と親方。

魔法伝導性が凄く高い。それでいて耐摩耗性、

そして靭性に優れている。


これはどんな状況下でも、過酷な状況でも

安定して魔力を維持できるぞ。

もう杖の為の素材だ、あの結石は。


その鉱石は何なのです?とバフォメット。

「アースドラゴンの結石よ。」と私は言う。


バフォメットが動揺したのが分かった。

それを見てユキツーは

「ははは、ソミュールが直接貰ったのだ。

 それほどソミュールは強いってことだ。

 だから安心して委ねろ、バフォメット」

と言った。


「なるほど、アースドラゴン様に。

 理解しました。全てをソミュール様に」


そして再び統合される。

「なんと居心地がよい。もう私の空間。

 私だけの、そう部屋!」

なんか変に喜んでいる。


そしてギルドへ行き、先ほどの依頼を報告し

さらに依頼を受けた。





















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