第11話 賭け

なぁリスボアの婆さんって

何気にすごい人物だったな・・・とダン。


知らなかったのかとサモス。

そういった雑談をしながら進んでいく。


因みになんでポルスカの街に?とバローロ。

あれ?言ってなかったっけ?と美香。


「アースドラゴンの糞を取りに行くのよ。

 ペンデニウム地溝に。」と続けた。

ダンとバローロ、リスボアは目を丸くし沈黙。


「もしかしたら俺たちは歩んではいけない

 道を歩み始めたのかもしれない」と真剣にダン。


バローロは、可哀そうな子を見る目で

・・・リスボアを見る。

「すまんな、リスボア。今はそれしか言えない」

とも続けた。


リスボアは言う。

「何言ってるんだよ、だから俺はついてきたんだ。

 俺はもう冒険者だ。・・・成人していないけど」


お前十分成人だ。あれだけ魔獣を倒したんだ。

おれが、族長の俺が認めるよ、特別枠だ。

とダンは言った。


「でも師匠に援護してもらって、ユキツーにも

 援護してもらっていた。俺はまだまだだ」

とリスボアは言った。


師匠とは?・・美香の事か。それだけはやめろ。

全員を見ると、同じことを考えているらしい。


「よし、弟子よ!私に続け。頂点を目指すぞ」

となんか美香は立ち上がり空を指さしている。


リスボアも立ち上がり「わかった!」と言っている。

将来が心配な剣士がそこに居た。


道中、リスボアを前に陣形を組み魔獣討伐を行う。

全員でフォローする。


私も薙刀を扱ってみる。薙刀は受けだ。

私は反撃を狙う。そして魔獣と対峙する。

私も魔獣も動かない。・・・ずっと動かない。


そして・・・ずっと動かない。


トコトコと美香が歩いてきて左手に持った刀で

一閃。魔獣は煙となり灰を残す。


全員、沈黙。


ま、まぁこういう魔獣もいるよね。と美香。

ありがとう、察してくれて。


そして昼飯。リスボアはテキパキと準備し

調理を行う。そして、旨かった。


料理当番はリスボアに決まった瞬間。というか

リスボアがやりたがったので任せることとした。


そうこうする事3日。

私達はポルスカの街に着いた。


私達は宿屋を押さえ冒険者ギルドに向かう。

適当な依頼を探していると、後ろから


「ダンじゃねえか、久しぶりだな」と

なんかニヤニヤしながら言う男が居た。

この辺りの部族の部族長らしい。


「お、おう。久しぶりだ」何かダンが動揺している。


「お前らもうコロッセウムに出るの止めろよ。

 いっつも負けてるじゃねえか。

 去年は俺たちにぼこぼこだったしな」と

嫌らしい笑いをする男。


い、いかん、美香が突貫する。と全員思っていたら

「何?ダン。こんな弱っちいのにいつも負けてるの?

 私が鍛えなおそうか?」と笑っていた。さらに


「この国も大したことないのね、こんな弱っちい

 感じの男が強いの?あ。わかった!この国は

 女性が強いんだね!」と大笑い。


「言うじゃねえか、お嬢さん。今ここでやるか?」

と男は言うと、美香は


「あらやだ。コロッセウムまで待てないの?

 我慢の利かない子犬ちゃんね。リスボン、

 餌を雑貨屋で買ってきなさい」と続けた。


「私達が負けたらなんでもいう事聞くわ。

 というかダンの領地をあげるわ。」とも言った。


そのかわり、と続け

「あなた達が負けたらあんたの領土私によこしなさい」

と真顔で言った。

「面白いお嬢さんだな。わかった、その話乗った」

とその男は既に美香の術中にはまっている。


「ここに居る全員が承認だ!この戦い受けるぞ」ともその男は言った。

・・・言っちゃった。


適当な依頼を手に取り、冒険者ギルドを出る。

あの男ってそんなに強いの?と美香。


ダンは、違う。封印されるんだ、魔法を。

奴は扇使いだ。それも上級だ。

魔法使いは相性が悪い。回復も出来ない。と言った。


「それが何なのよ、私達は全員前衛じゃないの」と

美香は何の疑問もなく言い切った。


全員、ハッとする。そして

「そりゃそうだ!」と全員笑い合った。


依頼をこなしギルドに戻って報酬を得る。

そして居酒屋へ。


「なぁ、ペンデニウム地溝に行くのに

 何人募集するんだ?」とサモス。


「え?私達だけよ?」と美香は言うと

一気飲み。


おいおいおいおい。と全員、ハーモニー。


「だって、気に入られたらいいんでしょ?

 よくわかんないけど」と続ける。


「気に入られなかったら襲ってくるかもな」

とバローロは少しビビる。


その時はその時よ、と美香。



そして翌朝。


「あれ、なんか色違うね、ユキツー」と私。


「はい。皆さんが飲んだくれている時に

 宿屋で合成いたしました。自分で」とユキツー。

白い体がさらに白く、というよりよく見ると

本当にうっすらと青色になっている。


「私が言うのもなんですが、これだと本気さえ

 出さなければ体が溶けることはないでしょう。」

と言うと、ブンブン飛んでいる。というか

ほぼ瞬間移動くらいの速さで飛んでいる。


私達は美香の掛け声の元、出発する。

移動する事2日。

ペンデニウム地溝の入り口に着く。


そしてバローロとサモスが前衛で進んでいく。

が、敵が強く、魔獣に遭遇すると相当な時間がかかる。


前衛を増やす。美香を投入。

美香も敵が強いと知ってか二刀流を試したりはしない。

親方に打ってもらった刀で突っ込む。

両手でしっかりと刀を持ち切り倒す。


「なぁ、美香はなんであんなに強いんだ?」

とリスボア。


私は答えられなかった。・・・そう、

何故なんだろう。明らかに私達と出合った時から

強かった。会う前の精進なのか。いや、

酒の席で言ったのだ、美香は。


「向こうの世界での事をまねているだけ」と。


鍛錬をしなくても強いのか。

精進しなくても強いのか。



私は今更気づく。この女は何者だと。

























 



 





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