第47話 其々の進路

翌朝、何事もなかったように

美香の借りた借家で全員食事をとる。


「この家も手狭になったな」と

何故かバーボンが言う。


約8畳ほどの広さの中に

数えると・・・18人いた。


「おい、ダン。団子持って来い」

とルナティアを見ながらウォッカは言う。

「勘弁してください。勘弁してください」

と涙を流し懇願するダン。


というか全員立食。そして

今後の予定を話し合う。


ルナティアとグラーブはさっさと

部屋を後にする。


帰り際に中指を立て誰かに向ける。

「今度会ったらぶっ殺してやる。」

と言いながら。・・・神なのに。


「美香・・・俺。」とうつむきながら

何かを話したそうにリスボア。


察したように

「リスボア!頑張んなさいよ」と

背中を叩きながら笑う。


「美香が窮地に陥ったら俺が

 颯爽と駆けつけて助けてやる!」と

リスボアは言うとアスティと出てゆく。

・・・何故かルエダも。


アスティは「使えないと思ったら

送り返すから期待しとけ」と笑う。


鍛冶屋に顔を出してから帰る

とも言うアスティ。


「目的達成ね。契約終了~。

 親子仲良くね」と

手をウォッカに出すシャルル。

ウォッカは金貨の入った袋を渡す。

「またよろしく。」と言いながら出てゆく。


「行くぞ!残り4匹だ。」とエルセブンは

チェスキーを連れて出ようとする。

ウォッカはもう1袋を投げる。


「また何かあったら別荘にでも来なさい」

と受け取る。


美香はテージョに尋ねる。

「一緒に行かないの?」と。

テージョは少し笑いながら言う。


憧れの竪琴使いと会えて同行できるんだ。

止める事なんてできない。まぁ

半分は釣り目的だろうがな。と。


あんたはどうするの?と

美香はさらに尋ねる。


「そうだなぁ、自分探しの旅にでも出るか」

というとジェニエーベルが近づく。


「テージョさん。いく当てがなかったら

 うちに来ませんか?人手はほしいです。

 それが強い人だったらなおさらです」


そう言うと青年はさわやかな笑顔を出し

テージョの手を握る。

「い、いきゅ・・・。」とテージョ。


残った全員がジェニエーベルを見る。

「たらし・・・。」と呟く。


「じ、自分の意思だし!?」とテージョ。

まぁ居候するのもいいか。とも思う。


「ただで飯食えると思うなよ」と

バーボンはボソっと言い悪い顔をしていた。


家を出ようとするジェニエーベルを

呼び止めるウォッカ。

「お前は待て。話がある。」と。


「じゃあ先に帰るのでゆっくり帰ってこい」

とバーボンはジェニエーベルに言うと

ウォッカを見る。少しの沈黙の後


「美香ぁ、お父さんは先に帰っとくね。

 ジェニは弱いから守ってね。」

と大きく手を振る。2メートルの距離なのに。


そしてバーボンとリアス、テージョは

部屋を出た。


ダン、バローロは昨日から戻ってきていない

親方とサモスが心配だと言う。

差し入れをでもすると言うとアスティ達を

追っかける様に鍛冶屋に向かった。


「美香にゃん、ソミュールを借りていくにゃ」

「すぐに送り届けるにゃ。」とスコティ。

ソミュールも美香を見る。

「ちょっと行ってくる。先に戻ってて」と

笑うと美香の肩をポンポンと叩く。


「ゆっくりしてきていいわよ?」と

笑いながら美香は言う。

そしてソミュール達は部屋を出る。


残った3人は食卓の椅子に座る。

「やっと座れたな」というと

また立ち上がりウォッカは

何か飲み物を準備しようとする。


「じ、自分がします!」と速攻で

立ち上がるジェニエーベル。


「飲み物でもヤヴァイと俺の何かが

 ささやいている・・・」と心の中で

思うジェニエーベルであった。


3人はお茶をすする。


「聞きたいんだろ?ミネルヴァの事」

と目を閉じお茶を飲んでいるウォッカ。


「はい。」とそれだけを言うジェニエーベル。

ウォッカは飲んでいたお茶を机に置く。


何処から話そうか。・・・そうだな。





「おーい、待ってくれ。俺達も行く」と

先に歩いているアスティ達に声をかけるダン。


「多分、折れた剣を見て凹んでいると思ってな。

 頑張って直そうとしているんだろう。」

と言うとアスティは続ける。


「だから教えてやろうと思って向かっている。

 リスボアの剣は直るかもしれないが、姐さんに

 斬られた剣は直らないってね」と。


「あ、そうだ。ついでに私の爪も

 直してもらおうかな、高かったし」とルエダ。


「何故直らないんです?」とリスボアは聞く。

「そりゃぁお前、神器で斬ったんだ。

 あの神器だけが持っている能力だ」と答えると


神器には個々に能力がある。

姐さんが持っているのは単純に

「斬る」と言う能力。


人間以外はなんでも斬れる。

ウォッカが「斬る」と思えば斬れる。


「なんで人間を斬れないんですか?」と

リスボアは問う。


そりゃお前、作ったのが

創造神エアストだからさ。


青の国は神エアストを強く信仰している。

因みにウォッカは青の国では

「討伐」対象だ。


「と、討伐って。魔獣扱いですね」

とリスボア。しかし何故か納得していた。

ルエダもウンウンと頷く。


ちょっと前、青の国行った時に

俺もその場にいたが、

姐さんが神器を持っていると知って

ルナティアはそりゃあもう

笑えるほどに動揺してたよ。


「なんかすごくウォッカさんと

 仲悪るそうでしたけど」とリスボア。


「まぁ犬猿の仲だ。昔色々あってな」

とアスティ。


そう話しながら鍛冶屋に着く。


5人は鍛冶屋の扉に近づく。と、

ルエダが爪を手にハメる。

アスティも剣に手をかける。



「お前らは下がっとけ」とアスティ。






















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