第20話 再会

居酒屋のドアの前に立つ3人。

ウォッカはシャルルに言う。

「どうしよう、なんて言おうか」と

眼をウルウルさせてシャルルに聞いた。


「本当にかわいいわね。いつものように

 ドーンといけばいいんじゃないの?」と

少し呆れてように言う。


「わ、わかった」と何故か剣を握りながら

言うウォッカ。


「ちょ、何戦おうとしてるのよ!」


「だっていつものようにドーンと行けって

 いったじゃねえか!」


と、やり取りをする2人を見てリスボアは思う。

紛れもない、この人は美香の母様だ。と。


らちが明かないのでリスボアはドアを開ける。

「あ、いた。あそこだ」とリスボアを先頭に

シャルルが続きウォッカが最後についてくる。


「大盛り上がりね、久しぶりね、美香」と

シャルルは美香の肩に手を置き顔を覗き込み

頬にキスをする。

「飲んでいるからって後ろを簡単に取られるのは

 よくないわよ」とも続けた。


「シャルルさん!おっひさー。」と上機嫌の美香。

「シャルルだったら仕方ないわよ」と笑う。


「いい人を連れてきたわよ」とシャルル。


再会は突然に訪れる。


美香は後ろに立っている剣士を見る。

その剣士は下を向いている。


「す、すまん。20年も放っておいて。」

「一生懸命探したつもりだったが探しきれなかった」


ウォッカは既にボロボロと泣いている。

美香を見ると・・・ボロボロと泣いていた。


「ウォッカはね」とシャルルは言うと

話をつづける。


黄の国でバーボンが探すならと、赤の国を

探していたわ。黄の国はまだいいけど

この赤の国は幼児が一人では

絶対に生きて行けない。


ベルジュラックが一緒に居たとしても。

魔法士にはきつい環境なの。だからウォッカは

徹底的に探したわ。特に治安が良くない所はね。


ただでさえ悪目立ちするのにお構いなしで

奴隷を生業にする者達とか、潰したりもしたわ。


何処に行こうが貴方の事を色々と聞いて回ったわ。

でも誰も情報を持っていなかった。

洞窟にも行ったわ。もうこの国で行っていない所は

無いと言うほどに。

精霊や妖精の里にも、鬼人の里にも。

そんな所はウォッカしか入れない。


でも、残念ながら・・・。やり方が悪いのよ。

極端なのよ、あんたの母さん。

貴方を探しているって事を知っているのは、

ほぼ犯罪者や無頼漢たち。


もう裏の社会でウォッカとジヴァニアを

知らない人はいないわ。それに加えて貴方は

美香と名乗っていた。

ウォッカはその名前を知ったのはつい最近。

私が教えたわ。


そして何故か色々な情報は

後手、後手となっていたわ。

・・・まぁ、心当たりはあるけどね。


「それでも探しきれなかったのは私のせいだ。

 もっと強かったら・・・」とウォッカ。


それ以上強くなったらあんた

第3の神になっちゃうわ。

無頼漢や犯罪者の神ね。とシャルルは笑う。


「つ、強さ関係ないんじゃ?」とリスボアは思うが

口にはしなかった。


美香は立ち上がると

「母様、私生きてるよ、ちゃんと生きて戻ってきた。

 おばあちゃんのおかげで。みんなのおかげで」

そう言うと泣きながら言う。


私、母様の悪い噂しか聞いてこなかった。

乱暴でむちゃくちゃな人だって。

でも、とっても強いって。だったら私も強くなれば

どこかで噂になって会えると思ってた。


そしたらこの国の対抗戦に出るかもって聞いて

私も出ることにした。


いろいろ想像したわ、私が戦っている所に

颯爽と母様が現れ私と戦うとか。

再会は剣で語ろう。とか言っちゃって。


そして私は構えるの。

お前も二刀流なのか、とか母様を驚かすの。

あれ、私何言ってるんだろう・・・。


ウォッカは美香に近づき、そして抱きしめる。

「お帰り、ジヴァニア。そしてごめんね。

 ゆるしておくれ。」


こりゃあ乾杯しかねえじゃねえか!と親方は

涙目で言う!

そうだ、ここでこそ全員でプロージットだ!


シャルルは大声で言う

「みんな!20年ぶりの親子の再開だ!

 みんな飲んで祝ってくれ!おごりだ!

 議長アスティがおごるってよ!」と言う。


いいよな?アスティ?とシャルルは言う。

「バレてたか、しかたねえな!全員俺のおごりだ。

 飲みまくれ!」と変装を解きながらアスティ様。


「アスティいつから居た!」とウォッカ。

「そんなもんジヴァニア達とほぼ一緒位に

 入ったぞ?俺が居るって気づいてなかったのか。

 おまえが?やはり弱点はそこだったか。」

と笑いながらアスティ様。


アスティ様の号令で全員プロージット!


ウォッカと美香は別の席で話をしている。

ウォッカ様は何かを淡々と語っていた。


時折微笑みながら。ウォッカ様は

凄く美しく、慈愛に満ちていた。

それはまるで苛烈さと慈愛を併せ持つ

地母神。

その言葉が似合うほどに。


周りが騒がしく上手く聞こえない。

時折、美香も何かを聞き返していた。


止そう、今は二人にしとけばいい。と私は思った。


「少年、いい剣を持ってるな。その剣は

 この世界で2番目に強い男が持ってた剣だ」

 お前はその剣をどこで手に入れた。」とアスティ様。


「これは婆ちゃんから貰った剣です。」と

緊張を隠せないリスボア。

そりゃそうだ。憧れの人が話しかけてきたのだ。


「そうか、イエクラが渡したのか。お前は孫か。」と

アスティ様。そして続けて言った。


その剣に恥じぬように強くなれ。と。


「今度こそ俺たちは勝ち抜くぞ!」と酔っ払いのダン。


「誰かと思ったら縁起物のカティ族のダンじゃねえか」と

笑いながらアスティ様。そして言う。


「じゃあお前たちは優勝しろ。そして俺達と戦え。」

「出来るよな?出来ると言え!返事は!?

 イエスか!?はいか!?どっちだ!」と

わけわかんない言葉を使いながらダンに言い放つ。

そして一気飲み。


そして真顔になり言った。



「見たいだろ?お前たちのヒロインと

 俺達のヒロインとの戦いを」と。























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