第28話 カッツ族との戦い④

どっちが強いんだ?とアスティ。


「強さで言えばテージョだな。

 踏んできた場数が違う」とウォッカ。


「おいおい、いいのか?娘負けちゃうぞ?」

とアスティ。


「大丈夫、ジヴァニアは私の娘だ。

 何とかするさ」とウォッカは言った。


「美香、無理はするなよ。アイツは

 強い。冒険者ギルド専属だ。俺は

 ここまで来たら十分だと思ってる。」とダン。


「強いなんてわかってるわ。

 ここで無理しないで何時するのよ。」

とサークレットをはめながら美香は言う。


「なんだそれ?」とダンが聞くと

「頭装備的な何かよ?あんなの頭に食らったら

 頭がぶっ飛ぶわ」と笑いながら言う美香。


そして代表戦の銅鑼が鳴る。


お互いが無防備に近い感じで歩み寄る。


「すまんな、ゴネて。私達は勝ちたいんだ」


「いいよ、私だってそうするわ」


そうお互いが言うと武器を前に

出し武器を合わせて挨拶する。


と同時に美香が踏み込み左の刀で一閃。

しかしテージョは後ろに飛ぶ。


「精霊使いなのに剣士とか。反則だろ」

と棍をクルクルさせながらテージョは言う。


「ちがうわ、これは刀と言う武器よ。

 剣なんて使えないわ」と美香。


「へぇ、面白いな。これが終わったら

 ゆっくり聞かせろ、武器の話」


とテージョは言うと棍の後ろ側で美香の

右手の刀を弾く。

美香は弾かれると同時に体を回転させ

弾かれた反動で勢いがついている右手の刀で

横なぎをする。


テージョはしゃがんで避けると、

そのまま美香の足を払おうとするが


美香が思い切りテージョを蹴り倒す。

テージョは転がりながら後ろへ下がる。


「おもしれえな!ジヴァニア!」と

すくっと立ち上がり棍を構える。


既に美香は突っ込んでいる。両手で連撃を

くり出す。交互に、テンポよく。


が、テージョは棍の両側で

全てをはじき返すと、突き一閃。

美香は後ろに飛ぶが少し体が沈む。


「水月に入れたんだが立ってられるんだな。

 装備のおかげだ、装備に感謝しな」

とテージョは言う。


美香の攻撃は一度も当たらない。

「ふぅぅ。強いわね!」と美香。

「出来るかな!私!出来ると言え!私!」

と美香は言うと・・・


左足を前に出し左の刀を前に、

右の刀を少し後ろに引いて構える。


「ほう、様になってるじゃねえか。

 そんな構え初めて見た。ゾクゾクする」

とテージョ。

「望み通り突っ込んでやる。」と言うと

その言葉通り突っ込む。

そして棍の向けている反対側で下から

カチあげる。


が、美香は「強く!早く!」と言うと

左手に持った刀をそのまま下に向けて

振り下ろす。甲高い金属音が響く。


と同時に石を投げるような感じで

真上から右手の刀を振り下ろす。

が、テージョは避ける。しかし、

テージョの装備が大きく斬られている。


「あっぶねえな、少しでも回避が遅かったら

 体真っ二つだぞ。死んじまうじゃねえか。

 その攻撃は反則だ」とテージョは不気味に笑う。


「ジヴァニア、それな、残念ながら足らない。

 先に足を動かすんだよ。いや、動いたと

 見せかけるんだよ」と美香に教える。


「なんて言えばいいのかなぁ。

 こんな感じだ」とテージョは言うと


右足を前に棍を構える。そして

突っ込む。美香はカウンターを狙い

左の刀で棍を受ける・・・が、そこには

棍はなかった。


美香には見えたのだ。攻撃をするために

突っ込んできたテージョが。

しかしテージョは動いていなかった。


美香は動かされたのだ。美香は左腕を

上げているために体半分が無防備になっている。


そこに体を反転させながら棍の横なぎが

くり出される。が、美香は後に避ける。

しかし避けるのが少し遅かったのか

先端部分が肋骨に当たる。


「あっぶな。その攻撃は反則よ。」

と美香が言うと

「それ避けるのかよ、お前何者だ」

とテージョ。


城内はずっと静まり返っている。


「らちが明かないので殴り倒す」と

テージョ。

「そうね、切り倒す」と美香。


お互いが突っ込む。

美香の攻撃を全て受ける。

テージョの攻撃を美香はすべて避ける。

お互いが一度離れるが

すぐに近づき打ち合う。が、

徐々に美香の刀の回転が速くなる。


テージョは受けきれないと思ったのか

後ろに下がる。が、美香は

それよりも早く前に出る。


そして懐を取る。が、近すぎる。

すると両方の刀の握手の部分で

渾身の力でテージョの胸骨の部分と

左のあばらの所を突く。


鈍い音がすると口から血を吐き

テージョは体が沈む。

そして美香は右の刀を横なぎ一閃。


しかしそれでもテージョは棍でその

右の一閃を受ける。


が、美香は畳み込む。

右と左の刀を交互に、早く、そして強く。

テージョも棍で全てを受けているが

棍は刀の強さに負けて、刀に当てるのが

精一杯のように見える。


そしてテージョの体が沈み始める。

美香の連撃に完全に押されてしまっている。

しかし、美香の刀は一度たりとも

テージョに当たっていない。


ならばと美香は体が沈んでいるテージョに向けて

右の刀で突きを繰り出す。

頬をかすめる。その突きさえテージョは避ける。

・・・頬から血が流れる。


「おいおい、死んじまうじゃねえか・・・」と

笑みを浮かべる。


それでも美香は攻撃を止めない。

完全にとどめを刺すまで止めないつもりだ。


避けた反動か、どうかはわからないが

棍棒を右手のみで、上腕を支点にし持っている。

左手側が開いているのを確認すると美香は

両方の刀で、左手に持っている刀も右側へ

回し2本で横なぎをする。


崩れた態勢でテージョは体を反転し

棍の後ろ側で2本の刀を受ける。


その受けた反動を利用し、今度は体を

逆に回転させ、そして強く地面を蹴る。


棍の横なぎ一閃。

美香の側頭部に当たりサークレットが砕け散る。




「くそ、いいもん付けてやがる。しかしな、

 ・・・手ごたえありだ。決まりだ。」とテージョ。













 















 

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