第27話 カッツ族との戦い③

「カラタユド、ちょっと・・」とテージョは

短剣使いに声をかける。


何とか長引かせろ、攻撃をする必要はない。

その間に考える、と。

「なんか策はあるの?」とチェスキー。


「ないな、とりあえず考える。個人戦にしたのが

 裏目に出たかなぁ。ちょっと後悔」と答える。


副将戦の銅鑼が鳴る


左右に移動しながらカラタユドはソミュールに

近づこうとしている。

ソミュールの前に魔方陣が現れる。

移動をしながらロックダーツを放つ。


「ちょっと待て!あの魔法使い詠唱をしていないぞ!」

とチェスキー。

「それ全員知ってるぞ・・・。お前見てなかったのか」

とテージョ。続けて

「いや、それよりもあの魔方陣だ。・・・消えない。」

「カラタユド、打たせ続けろ」と声をかける。


「開始2分しても魔方陣が消えない。そして

 打ち続けている。なにかおかしい」


ダメもとでやってみるか。とテージョは言うと

族長の所へ行く。

「代表戦に持ち込むぞ、私があの精霊使いとやる」

と言うと何かを伝えている。


そしてソミュールが中級魔法へ切り替える。

それを感じて杖は魔方陣を描き替える。

そしてウィンドカッターを連射する。

攻撃範囲が広い中級魔法。

短剣使いは回避しようとするが

スピードが速く回避しきれない。


1発当たると徐々に回避できなくなり

全弾が当たる。


相当削られカラタユドはその場に座り込み

動けない。


「もういい、戦いを止めろ」とテージョは

族長に言うと、「参った」と族長は宣言する。


勝者 ソミュール とアスティが宣言すると


「ちょっと待った審判だ!」と族長が言う。


「あくまでもダメもとだ、期待するなよ?」

とテージョは言うと記録係の所へ向かう。


「あの魔法使いは自分で魔方陣を作っていない。

 どこからか第3者が発動しているのではないか」と。


「それであればこちらの反則勝ちだ。調べてくれ。

 この闘技場内だけでいい」とも続けた。


記録係は「審判開始」と言うと10人ほどの

監視員を呼ぶ。

そしてアスティもその審判に加わる。が、

何故か後ろからスコティとウォッカがついてくる。


「どうした、何か問題でも発生か?」とアスティ。

「第3者の介入の可能性です。今この闘技場の

 魔法の痕跡を調べています。」と伝える。


「そんなもん探してもないにゃ。その杖自体が

 魔方陣を描いてるにゃ」とスコティ。


「スコティ様、お久しぶりでございます。ご健勝で

 何よりでございます。そしてウォッカ様も

 お久しぶりでございます」と杖。


「うを!杖が喋ってるし!」とテージョ。

「ってウォッカさんですよね!覚えています?

 一緒に依頼をした棍使いです!」とも続ける。


「ああ、覚えている。あの時は大変だっただろ。

 後始末が。すまなかったな」とウォッカ。


「元気そうだな。で、なんだ?

 勝てそうにないから難癖付けてるのか?」と

 笑いながら続ける。


「ですです、難癖付けてます。」とテージョも笑う。

「その杖の中に妖精がいるにゃ」とスコティ。


「それは精霊使いが使役してるんですよね?

 それは個人戦においての第3者の介入です。

 って!妖精かよ!精霊じゃなくって!」と

冷静なのか焦っているのかわからないテージョ。


「使役と言えば使役ね。でも今は・・・

 幻の秘宝!しゃべる杖よ!」と鼻息荒い美香。


・・・なんだそれ。と私。


そして第3者の介入か幻の秘宝しゃべる杖かの

論争が繰り広げられる。


「美香はその杖に指示は出してないにゃ。

 その杖の意思で戦ってるにゃ。どちらかと言うと

 幻の秘宝しゃべる杖の方に近いにゃ」とスコティ。


「ちょっとまって!お願い!わかった!

 それでもいいからさ!引き分けにしよう!

 そうしよう!」とテージョ。


次の試合はどうせジヴァニアが勝つ。だったらさ!

盛り上げよう!この対抗戦を!


代表戦にしよう?2体2ってことにして。


とむちゃくちゃな言い訳をして食い下がるテージョ。


「だ、だめだ・・・。むちゃくちゃだ」と

チェスキーは頭を抱える。


「だってずるいじゃないか!個人戦なのに

 2体1だぞ!」さらに食い下がる。

と、もう惚れ惚れするほどに。


ウォッカは美香を見る。

美香もウォッカを見る。そして頷く。


「この問題は持ち越しだ。2体1なのは

 事実だ。無効試合だな」とウォッカ。


「さすがウォッカさん!」とテージョ。


「いいのか?まぁ盛り上がるからいいか」と

アスティ。そしてダンに向かって言う。


「実際、妖精も戦いに参加しているんだ。

 2体1である事には変わりない。

 この試合は無効でいいな?

 反則負けよりいいだろう」と。


カッツ族 ゴネ徳


「この試合は無効試合だ。やり直しも考えたが

 カッツ族の短剣使いは戦闘不能だ。

 その為に無効とした」

とアスティは宣言する。


片膝をついていた短剣使いは何かを察し、

そこに寝そべり、意識不明の真似をした・・・。


ウォッカは美香に近づくと


「ジヴァニア、あの棍使いは強い。お前よりも。

 力量はお前より上だ。しかし、

 活路を見いだせ。お前は私の娘だ。

 出来るな?」と、微笑みながら言う。


「わかったわ!任せて?私は母様の娘よ?」

とウォッカに抱き着く。

ウォッカも笑いながら美香を抱きしめる。


・・・年甲斐もなくいちゃこらしやがって。

と私。ふとテージョを見ると

・・・何か燃え上っていた。


「ジヴァニア、私のウォッカさんと

 イチャイチャしやがって。

 ウォッカさんもウォッカさんだ。」


「 ・・・ジヴァニア。

 どこかで聞いた名前だ。どこだっけ。

 まぁいい、ぶちのめしてやる」


「そして!お前弱いんだから、私が守ってやる!

 そう!お前は私の親友だ!」と言ってやる!


「そして私もウォッカ様に抱擁してもらう!」


と何か脳内で考えていることが駄々洩れだった。


そしてほどなく大将戦の銅鑼が鳴る。

開始の合図とともにカッツ族の回復魔法士は

「参った」と言う。



カティ族2勝カッツ族2勝 


そして代表戦が始まる。








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