第26話 カッツ族との戦い②
バローロは横になっている。
「すまねぇ、つい油断した。
あれだけリスボアに言ってたのに
俺がやっちまうとは」と言う。
美香を見る。
なんとイライラしていると思ったら
「すごいわね!棍って!あの人が
薙刀持ったらどれだけなんだろう!」
と興奮している。
おい、そいつは敵だ・・・。
次鋒戦 回復対竪琴の
開始の銅鑼が鳴る
ダンは鎖鎌を手に鉄球を振り回している。
相手は竪琴を左手片手で持っている。
というより、ぶら下げている。
戦う気があるのか?と私は思っていると
何か右手に待っている。よく見えないが
たまにキラッと光る。
「弦か!」と私は気づく。
ダンは鉄球を相手に向けて放つ。
チェスキーは横に飛ぶと同時に
右腕を下から上に振り上げる。
ダンが歯車で鎖を引くと鎖は
チェスキーに向かって一直線に
宙に浮いている。
「私も弦の先に鉄球着けようかしら」
とチェスキーは笑いながら言う。
なめるなよ!こっちは鎌付きだ!と
ダンは鎌を構え相手に突っ込む。
鎌で横なぎをするが空振りになる。
しかしすぐに返しの横なぎ。
しかし左手に持った竪琴を鎌の刃に
ぶち当てる。
お互いの腕が後ろに、はじけ飛ぶ。
「何その刃!カチカチじゃねえか!
普通折れるぞ!」と驚きが隠せないチェスキー。
「めっちゃしびれた!腕!」とダン。
バカ・・・いうなそんな事。
チェスキーは右腕を何か泳がすようにすると
腕を押さえて少し前かがみになっているダンの
膝を踏み台にダンを回転しながら飛び越え
背中と背中を合わせしゃがみこむ。
ダンが首に両手をやり、もがき苦しむ。
「参ったしないとあなたの首は体と離れ離れよ」
とチェスキーは左指を弦に添えつつ言った。
「ヤバい!アスティ!宣言しろ!」とエルセブン。
アスティ様はあわてて
勝者チェスキーと宣言した。
「あの状態でダンが少しでも
動くと大変なことになってたわ。
というかの竪琴使いの指が
動くだけで飛んでいた、首が。」
とエルセブン。
カッツ族 2勝目
返ってきたダンを見ると首に赤い線の様な物が
グルっと出来ていた。
「首輪みたいね」と笑う美香。
おいおい。
「す、すまねえ。」と落ち込んでいるダン。
大丈夫よ、反撃開始よ!と美香は言うと
リスボアの背中を叩く。
「楽しんでらっしゃい、リスボア。」
といいリスボアを見送る。
「任せとけ!師匠!」と前に出る。
気負っていないか?と私が美香に言うと
大丈夫よ、少し気負っていた方が
あの子はいい動きをするわ。と美香。
運命の中堅戦
開始の銅鑼が鳴る
リスボアは両足を広げる。
「これくらい、いや、もうすこし。うん」
「腕はこれ位曲げて・・よし」
そう言うと剣を両手で持ち構える。
「ほう、様になってるな。これは楽しみだ」
とアスティはつぶやく。
「な、なんだこの小僧。隙がねえ」とバンチウ。
ジリジリと詰め寄るバンチウ。
リスボアが飛び込む。
「それはさっき見てたぞ!」と言うと
後ろに飛ぶバンチウ。
しかしさらに踏み込み飛び込むリスボア。
が、バンチウは前に盾を構える。
盾がある事などお構いなしにリスボアは
剣を振り回す。ガンガンと盾に当たる。
全ての攻撃が盾に阻まれる。
「リスボアの勝ちだ」とウォッカは言う。
「なぜ?まだ戦いは始まったばかりだろう。
それにすべて防がれている」
とアスティ。
「なんだ?お前、剣から離れすぎ
なんじゃないのか?
そんな事じゃお前もあの子に負けるぞ」
とウォッカは呆れたようにアスティに言う。
「だな、明日に備えて今日の夜にでも
素振りしとくよ」と笑いながらアスティ。
とにかく振り回すリスボア。
「いいかげんに・・・しろ!」とバンチウは
見えないのに剣を横なぎに振る。
剣が右から左へ、ふり抜き止まる一瞬。
リスボアは剣の刃に向けて握手を渾身の力で
ぶち当てる。そして相手の剣が折れる。
「俺思っていたんだ。なんで敵の腹に当てるのに
握り手が削れているのか。多分、本当は
相手の武器破壊に使ってるんじゃないかと」
「親方に見てもらったんだ。そしたら握手の
部分がレア素材で出来ているほどの
超硬度となってるって」
そう言いつつも剣を振るのを止めない。
盾が変形していく。そして盾の上の方が
千切れていく。
既に盾の形にはなっていない。
攻撃を続けるリスボア。
そして盾が粉砕される。
「ぬおおおおお」とバンチウは
リスボアを掴みに向かってくる。
リスボアは2歩ほど後ろに素早く飛び
そして3歩で敵の懐に入る。
水月を握手で突く。・・・相手が止まる。
水月をついた時の姿勢のまま
少し下がり、横一閃。
鮮血が飛び散る。
「回復!早くだ!」とアスティ
審議!とも言う。
「おいおい、あれで審議か?」とウォッカ。
「形式的に言わないといかんだろう」とアスティ。
少し間を開けて
勝者リスボア とアスティは宣言した。
カティ族 1勝目
リスボアが戻ってくる。
時間にして6分、その間ほぼずっと剣の
連撃をつづけたリスボア。
「もう腕上がんねえ」とリスボアは言うが
凄く嬉しそうに、すごい笑顔で
美香と拳と拳を合わせる。
会場がざわめいている。
どうやら番狂わせだったらしい。
そりゃそうだ、まだ15歳。
ついこの間まで学び舎で素振りをしていた
少年。そう、ずっと攻撃の為の素振りを。
ダンに聞いたことだが、10年間
朝から晩まで素振りをしていたらしい。
そしてランクSの依頼が初の実戦。
上級魔獣討伐を幾度となく行う。
強くなるには強いものの中で。
なるほど、言いえて妙だ。と私は思った。
そして才能。
「やられたな、族長。」と
剣士の肩を叩きながらテージョ。
「もう後は祈るしかねえな」とチェスキー。
相手から余裕が消えた。
そして私の出番だ。全力で行く。
・・・いや、少し抑えよう。
副将戦が始まる
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