第24話 脅し

2回戦の組み合わせが張り出される。

コアントロー対マルフス

マッカイ対カルーア

マリブ対カティ


控室に帰りながら周りを見る。

なにか忙しく走り回っている人たちがいる。


私が不思議そうに見ていると

「予想屋たちだ。大番狂わせがあったからな」

とバローロ。


マッカイの爪使いが族長と話していた。


「どう思うよ、カティ族。」と爪使い。

「強ええな、でも強いのはあの魔法使いと

 そうだな、ゴーレム。」と族長。


「あのゴーレムは確固たる自我がある。

 そう精霊使いの命令がなくとも

 自立して動いている。」


「ああ、多分最後に出てきた二刀流の女が

 精霊使いだろう」と族長。


「精霊使いなのに剣を振うのか?反則じゃねえか」


「なんだ、止められないのか?」と言われ

「問題ない、まぁ当たればだがな」と爪使い。


「そうだな、次のマリブは上級精霊使いが

 二人いる。ランクSSのな。

 まぁ、お手並み拝見だ」


2回戦からは出場者は控室から出れない

と言う決まりだった。


私達は控室で大騒ぎだった。というより

ダンとバローロだが。

「うぉおおおお!1回戦突破だ!」と

抱き合う二人。


「よかったね、これで5本の指に入る

 領地を持つ族長よ」と美香。

「うぉおおおおお!」と再度雄たけびを

上げるダン。


「美香からもらったこの装備、すっごく動きやすい」

とリスボアは言う。

「そりゃそうよ、そのコスはね」と言うと

なにかウンチクを美香は語っている。


リスボアは目を輝かせながら聞いている。

何だろう、英雄譚を聞いている少年の様だ。


因みに私のコスは?と聞くと

どうやらなにかのゲームと言う仮想空間の

魔族の魔法使いヒロインのコスらしい。


「次はマリブね」と美香は言う。


マリブは精霊使いが二人いる。

それに剣士が3人だ。とダンは言う。


回復が居ないという事は速攻型か。

と私が思っていると


精霊使いの一人が回復系精霊を呼ぶ。

もう一人は純粋に火力の高い精霊だ。


今回から剣を3人にしている。

強さはわからん。

と解説をしてくれたバローロ。



そうこうしていると親方がやってくる。

2回戦の1戦目の勝者はマルフスだ。

と伝えてきた。


魔法使いが地雷系の魔法を使うので

近づけない為に遠距離から

やりたい放題だったらしい。


一時して

「入場です」という声がした。


早いな、そんなに2戦目は一方的だったのか。

私は案内役に勝者は?と聞いた。


「マッカイ族です」と受付は言った。

あの爪使いの所か・・・。


私達は闘技場に入る。

正面にマリブ

お互いが歩み寄り族長が

戦い方を決める。

双方一致で全員戦と決まった。


開始の銅鑼が鳴る。


剣士3人が精霊使いを守る形の陣形

精霊使いが精霊を顕現するのを待つ私達。


敵がフェニックスを顕現する。

もう一匹はエキドナ。


「回復系で最強の精霊だな」とユキツー。

「フェニックスって、どれだけ魔力を

 消費するのかわかってるのかな」と美香。


確かに精霊使いがフラフラだ。

というか立ってるのもやっとだ。


「私でも魔力を5分の1くらい持ってかれるのに」

とも言った。そんなもんで済むのか、美香は。


フェニックスが襲ってくる。

全員がブレスに対して防御をする。

といってもただ踏ん張るだけだが。


ブレスがリスボアに直撃する。

が、リスボアは無傷だ。リスボアも驚いている。

多分装備のおかげだ。魔法耐性が恐ろしく

高いのだろう。


私は杖を前に向け魔法を放とうとする。

フェニックスがこちらに向かってくる。

魔方陣が勝手に前に現れる。

フェニックスがブレスを放つ。


せ、精霊にだったらいいわよね。

と自分自身に言い聞かせ魔法を放つ。


ゼロ・アブソル・ブラスト。


ブレスと私の魔法が正面から激突する。

が、ブレスをかき消し精霊を貫く。


フェニックスは地面に落ち転げまわる。

「バフォメット様、そりゃ反則ですよ」

と精霊は杖に向かって語り掛ける。


杖はケケケと笑い声を発する。


会場が静まり返っている。


そうしている間にダンの鎖鎌の鉄球が

剣士一人にぶち当たり、よろめく所を

バローロが突っ込む。

右側の剣士がバローロを切りつけようとするが

槍の三つ又の所で受け止め槍を少しねじる。


剣が・・・折れる。

そうして隙間が開いたところにユキツーが

突っ込む。

そしてエキドナの前に立つ。


リスボアが剣士一人と打ち合いをしている。

徐々にリスボアの手数が勝ってきている。

これが若さか・・・。リスボアの剣の回転が速い。

「か、回復だ!」と剣士は叫ぶが・・・。


しかし、エキドナは回復をしない。

ピクリとも動かない。

ユキツーが何かを呟いていた。


そして戻ってくるユキツー。

「何を言ってきたの?」と美香。


「何も言ってませんよ、

 名前を名乗っただけです」とユキツー。


どんだけ優位なんだ!妖精は!と私は

声に出してしまった。それに対して


「そうですね、黄の国の平民と13人衆

 くらい違います」と。


あ、でもエキドナは下議員クラスですよ?

とも付け加えたがフォローではないぞ、それ。

脅すっていうんだ、この世界では。


そして美香が歩みだす。

2本の刀を手にして。

剣士の前に立つ。左足を前に、そして


「スタァァァバアアアゥトォオ!スチョオオォ

 ・・・・・リムル!」と。

どうやらまた嚙んだらしい。


連撃。盾が金属片となる。

その勢いで隣の剣が折られた剣士の

盾すらただの金属片となる。


会場全体がずっと静まり返っている。

「ま、参った、降参だ」と相手の族長が

宣言した。


1回戦同様に会場の沈黙が

騒めきとなり、歓声と変わる。



2回戦 勝利

















 



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