紫の国 第3章

erst-vodka

第1話 二人の冒険者

美香、刃渡り約80センチの包丁を

振り回す女。

見た目明らかに剣なのだが包丁である。

刀身にはダマスカス鋼特有の模様が

入っている。

美香が自身の包丁に勇樹の包丁を素材として

付与をした自称逸品である。


ソミュール、美香にウォッカを探すアシスト

として同行している。魔導士である。

杖には美香の閃きで生まれた固定式魔方陣が

仕込んである。これにより通常よりも早く

魔法を撃つことができる。

なお現在、薙刀の訓練中。物干し竿で。


黄の国の首都に着いた時、

冒険者ギルドの受付に

ウォッカの手がかりとなる情報をもらう。


ウォッカがとある情報屋をシバきたおし、

教会の鐘に括りつけたという。

首都から馬車で3日ほどの距離にある街、

サボルチ。


どうみてもその街には、すでにいないと考え

この首都の冒険者ギルドで依頼をこなしつつ

他の情報を手に入れようと二人は相談する。


美香もソミュールも

ランクSクラス1である。

ある程度の依頼ならば頻繁に声がかかる。

様々な冒険者と依頼をこなす。

そして必ず問う。

「白っぽい桃色の髪の二刀流女剣士を

知らないか?」と。


中々それらしい情報が集まらない中、逆に

強い剣士と魔法使いが居ると噂になってしまう。

もうこの冒険者ギルドで二人を知らないものは居ないほどに。


逆に言えば、もう首都の冒険者ギルドでは

情報は集まらないと思い、

二人は別の街に移る。


そして今、サボルチの街に居る。

美香がランクSになった街であり

斬撃丸と名付けた包丁を作った街だ。


そしてウォッカが情報屋を鐘に

括りつけた街。


二人が冒険者ギルドに顔を出すと一人の男が

近づいてくる。その男は美香の前に立つと


「あの時はすみませんでしたぁぁ!」と

約45度の角度で腰から綺麗に頭を下げる。


「あら、今日は飲んでいないのね」と

笑いながら美香。

そう、この場所で美香があごの下から

タングステンのタクトを突き刺した男。


「姐さん、勘弁してくださいよ、あの時は

 ろくなことが無くて

イライラしてたんだよ」


「姐さんが来る前に4人組の、そうあの後、

 姐さんたちが仲間にした二人もいた。」


「その中の一人が綺麗なお姉さんだったので

 声かけたら、いきなりボコられて。

それ以来なんかやることなす事

うまくいかなくて。」


その女性の特徴は?と美香が聞くと


「白っぽいような桃色っぽいような髪の

 二刀流の剣士です。

ウォッカと呼ばれてました。」


昔ここでしたリアスの話の中の剣士と

ウォッカが合致した瞬間だった。


ここにはウォッカと一緒に居たスコティが

働いて?いた居酒屋もある。美香たちは無論

ここを拠点にすることを決めた。


宿屋に行き1週間分の宿代を払い、

とりあえず何か食べようと、

その居酒屋に行くこととした。


店に入ると大賑わいだった。

美香たちが開いてる席を探していると

「お、あの時の姉ちゃんじゃねえか!」と

声がして店主が出てきた。


「もうあの、マヨネーズのおかげで

大繁盛だ。席は準備するから

ゆっくりしてってくれ」

と満面の笑顔で私達は言われた。


美香と私はビールっぽい何かを注文し

プロージットと声を掛け合う。

そこには何故か、顎タクト男もいた・・・。


「その顎タクト男っていうの

止めてください」と男は言うと

「サモスです。

 こう見えて私スティック使いなんですよ」


「え、その体つきはどう見ても武闘家、

 いや爪使いでしょ」

と笑いながら美香。


「いやいや、そりゃ私だってそうありたいで

すよ、喧嘩みたいな殴り合い好きですし。

 あ、姐さんには負けましたけど。

でもねぇ、

 スティックなんですよ、私の加護。」

と少し涙目で一気飲み。


「サモス、私の事剣士と思ってるでしょ。

 私は精霊使いよ?

タクト持ってたでしょうに。」


は?と驚きながら美香を見るサモス。

美香は、使っているのは包丁であって

剣ではない。

とも付け加えた。


3人で飲みながら武器について話をした。

サモスは少し思い当たることがあるらしく

美香に聞いてほしい話があるという。


昔冒険者になる前に

鍛冶師のまねごとをしていた。


鍛冶をしている時につける手袋。

あれには鉄板が貼ってあるんですよ。

ある時に職場がトラブルに巻き込まれて

いきなりゴロツキどもが乱入してきて

もう全員殴り合いですよ。

勿論俺も参加です。大好きだし、

そういうの。

その時に手袋をつけたまま喧嘩しちゃって。

すごい破壊力でした。


でもその時は「そりゃそうだ」と

思っただけで戦闘、そう魔獣討伐に

使うなんて思いませんでした。

だって私はスティック使いの

回復魔法士ですから。


もしかして俺、

さっき姐さんが言った武闘家ってやつに

成れるんですかね、

その手袋を戦闘用に改造したら。


じゃあやってみよう、と美香は言うと

「どうせソミュールの薙刀も作るんだしね」


あぁ、忘れてなかったんだ。

ただのアホの子と思っていたが、

違った・・・。と私。


そして翌朝、日用雑貨屋に3人して向かう。



そこはパン屋になっていた。



そりゃそうだ、

店主と職人はクレマンに居る。


だったらってことで、サモスの紹介で

鍛冶屋の所に向かった。


「親父、邪魔するぞ」とサモスはいい

ズカズカと入っていく。


「お、サモス、

 冒険者辞めて鍛冶師に戻る事にしたか」と

笑いながら親方が出てきた。












 

 








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る