第43話 リスボア対アスティ
美香の治療に付き合っていた
ウォッカは、ほぼ回復した美香を
ダンたちに預けるとリスボアの所へ行く。
そして何かを呟く。
頷きながら聞くリスボア。
「ひでえな、どっちの味方だよ」
と笑いながら言うアスティ。
「そりゃぁリスボアだ。」と
凄く当たり前のようにウォッカは言う。
「お・・・、おい。」とアスティ。
アスティは目を閉じる。
そして何かを探っているような、
何かを感じているように
ブツブツと独り言を言う。
この少年、リスボアは・・・。
・・・そうか。
いい、すごくいい。
そして目を開き言う。
「気に入った!本気で相手をしてやる」
大将戦開始の銅鑼が鳴る。
「気負うなよ!リスボア!」とダンが
声をかける。頷くリスボア。
そして両手でしっかりと剣を持ち
右下に構える。
アスティは無防備に右手に剣を持ち
リスボアに近づく。
距離が2メートルとなった所で
リスボアが後方へ吹っ飛び転がる。
何が起こったかわからないという
顔をするも、再び剣を構え対峙する。
が、また吹っ飛ぶ。
アスティは無防備に剣を右手に持ち
ぶら下げている。
「あいかわらず嫌な攻撃をする」とウォッカ。
「そりゃそうだ、アイツにかなうのは
お前位だ。俺も負けてるしな」と
バーボンは言う。
「今やればお前の方が強いだろう」
と言われるが
「いや?どうかな。俺は負ける可能性が
少しでもある戦いはしない」とバーボン。
「それは勝てるって言ってるようなもんだ」
とウォッカ。
「くそ、なんだこれ。わけわからない」
とリスボアは思う。そしてまた飛ばされる。
「冷静に戦え。なにが起ころうとも。
考えろ。考えて考えて、そして
強い気持ちで立ち向かえ」
リスボアは戦う前に言われたことを、
ウォッカに言われたことを思い出す。
そしてリスボアはふと気づく。
「俺はどこに攻撃を受けているんだ。
体のどこに・・・」と。
そしてまた吹っ飛ぶ。
起き上がるとリスボアは突っ込んでみる。
「スキル!我慢!」と言いいアスティに
突っ込むと何か壁を感じ体が衝撃を受けた。
「ぐうううう」と踏ん張る。
「さて、どうする?リスボア君」
アスティがそう言うとリスボアは
またしても吹っ飛ぶ。が、
バランスよく踏ん張ると剣を構えたまま
後ろへ飛ばされる。
「ダーリン!足を我慢させろ!」と
背後の観客席から大きな声が聞こえた。
「おいおい、俺はこの国の議長なのに
いつの間にか悪者だなぁ」と
苦笑いをするアスティ。
「わかった!」と言うと
我慢・・・。そう我慢だ。
このまま我慢してそして思いっきり
突っ込んでやる!とリスボアは思うと
頭の中に何か閃く!
後ろに引いた足が強く溜めている。
足が、足そのものが行くのを我慢し
溜めを作っている。
そしてそれが放たれると
リスボアは前へ!
壁の様な物にぶち当たる。が、
耐えた。しかし、
壁の向こうには行けない。
再度距離を取る。
「もっとだ、もっと溜めるんだ。
我慢して溜めるんだ」と。
そして頭の中に閃く。
今度は両足とも行くのを我慢させる。
リスボアの体の重心が低くなる。
そして右足は地面を蹴る。続けて
左足も蹴る。
壁に当たるが何かを壊したような
感じが分かった。
そして右下段からの切り上げ。
しかしアスティは左側に避けると
勢いよく振ってきたリスボアの体に
剣を合わせる様に横なぎ一閃。
歯を食いしばるリスボア。
そして2歩で大きく後ろへ下がる。
「壁だ、壁が飛んでくる。」
「防御ににもなっている。」
でも・・・壊せた!
「いいねぇ。いいよ、リスボア君。」
じゃあ俺がこのまま攻撃しちゃうと
どうなると思う?
とアスティは言うと突っ込んでくる。
飛ばされる!と踏ん張るリスボア。
しかし、その場で拘束されたように
動けなくなる。
「歯を食いしばれ!俺!」というと
アスティの攻撃を、水月への
握手での攻撃をまともに食らう。
膝から地面へ落ちるリスボア。
左手を地面に着く。
しかし右手で持った剣は離さない。
「リスボアは剣を離さなかった・・・」
気が付き、その戦いを見ていた美香は
その光景を見ていた。
「お前とリスボアが今戦えば
負けるかもしれないな」と
笑いながらウォッカ。
アスティはリスボアを見ながら
近づいてくる。
リスボアは右足を引き、溜を作り
思い切り地面を蹴る。
そして横なぎ一閃。が、
アスティは剣で受ける。
そして再度、リスボアを拘束する。
「あ、わかった。謎解けた。」と
リスボアは突然呟く。
「え?」と驚きながら攻撃の手を
止めてしまうアスティ。
リスボアはアスティに突っ込む。
兎に角剣を振るリスボア。
早く!もっと!と
美香を彷彿させる攻撃。
アスティは防戦となる。しかし
再度リスボアを拘束しようとする。
が、出来ない。
「まじか!」と少し焦ったアスティ。
しかし思い切り踏み込み懐へ飛び込む。
再度握り手を打ち込もうとするが
そこにリスボアは剣を合わせる。
剣の刃がアスティの握手に食い込む。
しかしアスティは構わず押し込む。
リスボアの剣が・・・折れる。
アスティのソレはリスボアの体に届くが
威力が半減してしまいトドメには
ならなかった。
リスボアは折れた剣でもさらに
突っ込み、そして剣を振る。
袈裟切り一閃!がアスティの体を
撫ぞるだけでダメージは入らない。
アスティはどっしりと腰を落とし
右手だけで持った剣を上から
体の重さを乗せて打ち込む。
その動きを利用し一回転すると
更に同じ攻撃をする。
今度は返す刀で両手で剣を持ち
左下から切り上げると
同時に、すぐに剣を返し斬り下ろす。
4回の攻撃。しかしリスボアの体には
1本の切り傷。深い切り傷。
「以上、終わり」とアスティは言う。
その深い傷から遅れて鮮血が飛ぶ。
リスボアはその場に倒れた。
折れた剣を持ちながら。
そして動かない。
「治癒!早く!回復!」とバーボンは言う。
そして「審議!」とも言った。
アスティは少し額に冷たい汗をかいた。
そして言う。
「・・・あれ?やっちゃった?俺。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます