第36話 ユキツー対シャルル

闘技場に入ると既にアスティ達はいた。

私達が入ると開会のあいさつが始まる。


「話が長いと言われているので。」

と言うと「じゃあ始める!」と一言。


先鋒戦 バローロ対シャルル


お互いが前に進み開始の銅鑼を待つ。


「絶対5秒立っててやる。そして俺は

 金貨のお風呂に入る!」とバローロ。


そして開始の銅鑼が鳴る。

と同時にユキツーは青い閃光を数発放つが

既にそこにシャルルはいない。


ユキツーも光線を放つと既に移動をしていた。


距離を取りながら光線を放ち

大きく円を描くように移動するユキツー。


シャルルもそれを避けながらもユキツーを

追う。が、距離はつまらない。

それでも追うシャルル。

近づけさせないユキツー。


観客席から大きな歓声が上がる。


時折、光線の太さが違う。

紙一重とまではいかないがギリギリで

避けているシャルルに対して

避ける動きを大きくさせ

追う速度を少しでも落とすためだ。



因みにバローロは開始1秒で轟沈している。


シャルルは追うのを止める。

ユキツーも逃げるのを止める。

お互い、距離を取っての対峙。


「ねぇ、フシャスラ。その体になって

 移動速度上がってない?」とシャルル。


「だな、この後ろの羽根の様な所から

 空気を出すことでそれが可能となった。

 飛べるってすごく楽しいぞ?短剣使い。」

とユキツー。


「あら、名前で呼んでくれないのね?

 女性に対して失礼よ?」とシャルル。


「私は妖精だ。対象外だ」とユキツー。

「じゃあ数年前の借りを返すとしよう」

と続けて言うと


ユキツーはシャルルに向かって

左右に動きながら移動する。

ほぼ瞬間移動くらいの速さで。


そして唯タクトで眉間を貫こうとするが

シャルルは2本の短剣で挟み込み

防御をする。


と同時に腰を落とすと、そのまま

回転しながら蹴り上げる。

ユキツーは後方へ吹っ飛ぶ。


シャルルは追うがユキツーは

再度距離を取り青い閃光を放つ。


「何その体、硬いわねぇ。

 少し足が痛いわ」とシャルルは

 話しながらも追う。


「ちょっといい素材を合成した。

 どうだ、すごいだろう。因みに

 この体は美香様のお気に入りだ。」


「壊すと泣くぞ?ハハハ。」と笑いながらも

ユキツーは光線を放つのを止めない。


「大丈夫、アスティに直させるわ。

 あいつもそう言うの好きだし。

 というか声だけで笑わないで。不気味よ」

と答えるシャルル。


「らちがあかないわ」とシャルルは言うと

立ち止まる。


「フシャスラ?あんたよく魔力持ってるわね。」

と言いながら光線を避けるシャルル。


「いや、もうそろそろ近距離戦でないと

 持たないな」とユキツーは言う。



「なぁ、アイツら昔何かあったのか?」

とアスティはスコティに聞く。


「そうにゃぁ、フシャスラ配下の

 ミトラが人間に怪物として狩られる

 所を二人で助けたことあったにゃ」

とスコティ。


「じゃあなんで借りを返すとか言ってんの?」

とアスティはさらに問いかける。


読んで字のごとくにゃ。妖精は

一部を除いてむやみに、理由もなく

戦わないにゃ。ただの手合わせも

しないにゃ。


だからシャルルが望む、妖精との

戦いを受けたって事にゃ。


「そっちかよ、何かの因縁があって

 借りを返すとか思ったよ」とアスティ。


「あ、フシャスラが勝負を決め様と

 してるにゃ」とスコティ。


「シャルル、すまないが決めさせてもらう。

 時間もないのでな。既に魔方陣は

 描き終わっている。」とユキツー。


「そんなもの、貴方が逃げてる軌道で

 解っていたわよ、なめないでね」

とシャルル。


魔方陣が現れる。

シャルルを中心に直径10メートルほど

丸く地面が光る。


同時になぜかシャルルは2本の短剣を

手から離し、そして地面に落ちる。


「シャルル、お前を中心にしている。

 お前がいくら逃げようが魔方陣も

 付いてくる。」終わりだ。


いきなりその範囲のみ地面に凹凸ができ

飛び出た部分がさらに高く伸び

シャルルに向かって吸い付くように

集まる。


魔方陣はその集まった所に収束していく。

そしてその場所の地面から天に向かって

青く太い閃光が放たれた。


「もう魔力もすっからかんだ。

 短時間で済んでよかったよ。」とユキツー。


「あら、まだまだこれからよ?」と

シャルルの声がする。


ユキツーは探索する。

「上か!」と見ると同時に装備が

黒焦げになったシャルルは体ごと

ユキツーに当たる。


そして腕をつかみむしり取る。

「美香、ごめんね!後でアスティが

 修理するからっ!」と言うと


足も2本とも捥ぐ。


美香は両手で顔を隠し

・・・見ないようにしている。


「この部分も取らせてもらうわ!」と

いうと羽根も捥ぐ。


「なあ、教えてくれ、シャルル。

 どのようにあそこから出たのだ」

とユキツー。


「岩で潰すべきなのよ。

 アレは只の檻。魔法攻撃を確実に

 直撃させるための。でしょ?」

とシャルル。そして続ける。


魔法攻撃で岩が壊れると同時に

青い閃光に乗って一緒に飛んだのよ。

あ、その前に短剣を地面に2本置いて

その上に乗ってたわ。


私の短剣は魔法抵抗が強い。

魔法攻撃と反発しあって

私を飛ばしたって事。


因みに短剣の制作者はスコティよ。

と、言い終わると空から短剣が2本

振ってきた。


短剣の表面に若干溶けた跡がある。

それを見てシャルルは言う。


「・・・フシャスラ。短剣無しで

 受けていたら死んでいたわよ?私」


「手加減などできるか。でなければ私が

 殺られる」とユキツーは言う。


「しかしよくあの魔法を知っていたな。

 あぁ、そうか。エルピス様と共に

 行動しているのだったな。

 ・・・知ってて当然か。」とも続け


「降参だ。お前の勝ちだ」とも言った。


勝者 シャルル とアスティは宣言した。



アスティ率いるトロッケン族 1勝目














 






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