第34話 決勝戦②


薙刀を構えながら私は深く深呼吸する。

美香とテージョの戦いで行われた事

それを思い出す。


先に動いた相手の軌道を読み取り

それよりも早く返しの一手を撃つ。


どうやら相手の剣士も同じの様だ。


「なんなんだ、あの武器は。

 槍の様で槍ではない。棍の様で

 棍ではない。相手に打たせるか、先に」

と剣士はつぶやく。


ルエダは太もものえぐれている所に

初級回復魔法で治療を行う。

「痛てぇな、まだしびれてる。

 あの剣士は面白いなぁ。多分、

 今回のマン・オブ・ワンだな」


後でサインをもらいに行くか。

お近づきになって食わしてもらうか。

そうだ、女を傷物にしたんだ。

当然だな。と呟いていた。


そして右足を前に腰を深く落とし

突貫の構えをする。


そして気が付くと美香の後ろ遠くにいる。

美香の刀が半分のあたりからポトリと落ちる。


そして美香はその刀をあきらめる。

角度がダメだったのね。ごめんね。


と武器に謝る。そしてルエダの方を向き

もう1本を同じように構える。


これは母様の剣と同じ素材で作られた刀。

失敗は許されないわ。と言うと

腰を落とし目を閉じる。


ルエダがつぶやく。

手がしびれてる。何だあの武器。

硬かったなぁ、・・・折ったけど。


アイツらなんなんだ。

わけわかんない武器と

すっげえ装備。・・・くれ。

そして売ってやる。


そして再度対峙する。


ルエダは構える。

そして消える様に美香に迫る。

キィイィィンと音がする。

が、今度は美香の背後にルエダがいる。


「ずどん」とルエダは言うと

爪を美香の背中に突き立てた。


「・・・あれ?」とルエダは言うと

離れる。遅れて、

美香の振り向きざまの一閃。



と同時に美香の後ろに

何かがボトボトと落ちる。


ルエダの爪刃が4本。


「ちょ!ナニコレ!

 これ高かったんだけど!?」

と激おこのルエダ。


しかたねぇなあ、とっておきだ。

と真顔になり予備らしい爪をはめる。


そして三度対峙する。が、


「ふと思ったんだけど。

 このままお互いが対峙してたらさ。

 時間切れ引き分けってないのかな」

と記録係に聞くルエダ。


ないない、と手を振りながら

記録係は言った。


残念。でも相手がその気なら

私も一撃に込める。

と、ルエダは構えたまま動かない。


美香は察すると、

じりじりと、そう足の横幅くらいずつ

ルエダに近づく。


同時に美香を囲んでいる魔方陣も動く。


一時して魔方陣の淵がルエダに架かる。

そしてお互いが動く。


ルエダの腕が大きく後ろに弾かれる。

「ぶっ!」とルエダ。


そして返す刀で一閃。

刀がルエダの首を捕らえる。

今までと違い美香はそのまま振りぬく。


そして一言。

「峰打ちじゃ、安心せい」と。


ルエダは気を失っている。


「まだ対峙してるの?こっちは終わったわ」

と美香は私の所へきて言った。


相手の剣士はルエダが負けたことを

信じられないという顔をしていたが

気絶しているルエダを見て一言いった。


「参った」と。


優勝 カティ族 とアスティが宣言した。


「いてて、首飛んだと思ったよ」とルエダ。

と同時に美香に近づき

「その剣?硬いだけじゃないんだな。

 この爪で折れなかったのは初めてだ。

 何で出来てるんだ?」


美香は説明する。刀についても説明する。


「異世界のつくり方で鍛えた代物か。

 面白いなぁ。それにこの爪と同じ素材。

 そりゃ弾かれるわ」と

 ヤレヤレのしぐさをするルエダ。


「この爪をはめた時に

 慢心したのかもしれない。

 確実に破壊できると。

 弾かれた時に動揺して攻撃を

 忘れてしまった。

 まだ修業が足らないな」と笑いながら

美香の背中をポンポンと叩いた。


全員回復を終え集まってくる。

ダンは男泣きをしている。

バローロも泣いていた。


リスボアは屈託のない笑顔を浮かべる。

「今回のMVPはリスボアね」と美香が言う。


えむぶいぴーとは?と私が聞くと。

「最優秀選手よ。一番の功労者ね」


「魔獣との戦いとは違って絶対に死なないんだ。

 楽だよ。美香にお願いされた時は

 少し嫌だなぁと思ったけど、俺は剣士だ。」


「みんなを守り攻撃の手助けをするのは

 当たり前だ」とリスボアは鼻息荒く言った。


それにスキル「我慢」を使ったしな!

と笑っている。


・・・そんなスキルはないぞ、リスボア。

気のせいだ、お前の。

と私は思ったが言わなかった。


ルエダはリスボアに近づき言う。

「お前のせいで負けたよ。私の

 動きが半分くらいに削られた。

 お前歳はいくつだ?」と。


「15歳だ、まだまだこれからの

 新鋭剣士だ」と笑いながら言う。


「15歳かぁぁ・・・」と

ルエダは言うとなにかとても

残念そうな仕草をした。


「若いとは思った、あぁ、若いと。

 くううううう。よし、待とう。」


「いいか少年。女子を傷物にしたら

 養う義務があるんだ。頼むぞ!」


と笑いながらルエダはリスボアの

肩を叩き頬にキスをした。

リスボアは真っ赤になる。


そしてアスティが登場する。

そして会場全体に長ったらしく語る。


今回も白熱した戦いだった!

今回の指定対象は

カティ族 リスボア

同じくカティ族 ジヴァニア


そして次回の優先族はカティ族だ


「ねぇ、指定対象って何よ」と美香は

ダンに聞く。


あ、言ってなかったな。個人には

あるんだよ、恩賞が。


一年間、赤の国で無銭飲食ができる。



アスティは続ける。

この後夕刻より特別戦を行う。


対戦方式は個人戦だ、組み合わせは



先鋒 精霊使いバローロ対短剣使いシャルル

次鋒 魔法士ソミュール対爪職スコティ

中堅 回復魔法士ダン対竪琴使いエルセブン

副将 剣士ジヴァニア対剣士ウォッカ

大将 剣士リスボア対剣士アスティ


なお勝敗に関係なく大将戦まで行う。

しかし褒美としてカティ族が勝ち越したら

次回の部族戦で優先族と指定する!



アスティは「はい解散」と手を叩き

締めの言葉を発した。



なぜかバローロが精霊使いとなっていた。







 

 

 























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