第45話 嵐の予兆

そして顔を真っ赤にして

「や、やめろってば」と言うが

まんざらでもない15歳の少年が

そこに居た。


「しかし、お前本当に15歳か?」と

アスティが聞くと

「はい。魔獣を討伐したのも美香達と

 一緒になってからです」と

緊張しながら話すリスボア。


「俺がやったあの攻撃はな、

 合気道ってやつだ」とアスティ。

そして話をつづける。


おれは異世界から来た人間だ。

こっちに来る前に、その合気道と言う

まぁ柔術だな。ちょっと違うが。

それを習っていた。


こっちに来た時に魔獣に囲まれてな、

その時に発動したのがアレだ。


気合を込めて、構えて、

「こいや、バカ野郎!」と思い

相手に俺の気合いをぶつけたんだ。

そしたら、あんな感じ。


というとアスティは一気飲み。

リスボアもルエダが飲ませて一気飲み。


「あの拘束する奴はな」というと続ける。


相手が俺に対して完全に飲まれた証拠だ。

しかしお前は何故かそれを解いた。

・・・何故だ。と。


「お,俺はただ、アスティ様と戦えた、

 戦えていることがうれしくて。」

とリスボアは言うと話をつづける。


最初は怖かった。でもルエダさんが声を

掛けてくれて。その時に頭に何か閃いて。

そしたらなんかすごく楽しくなって。


もう怖いってことはなかった。

そして考えたんです。

ウォッカ様が言ってくれた通りに。


多分あの壁は弱さを見せた方が作った

壁なんじゃないかと。アスティ様が

作ったんじゃなく俺が作っていたと。


それを聞いてアスティは言う。

「80点だ。お前も使える様に

 してやる。俺につけ」と。


「まぁた、姐さんかよ。俺の邪魔するの」

と言うとウォッカを見た。


ウォッカは美香と笑っている。

時折テージョが何か身振り手振りで

話しているのを見て。


「しかし娘さんと会えてよかったですね!」

とテージョは一気飲み。

美香は笑う。

「その娘の側頭部をぶち抜いたわよね!」

と笑いながら美香は一気飲み。


「私は何であそこでキメをしなかったんだろうなぁ」

とテージョは少し残念そうに言った。


「なにか邪念が入ったのだろう。ククク。」と

果実で割った酒を・・・、この世界では

ツワモノしか飲めないと噂の強い酒を

ガンガン飲みながらウォッカは言った。


「・・・。確かに。私はその時に

 もしかしたらウォッカさんに強くなった

 自分を、かっこよく勝つ自分を、

 見せたかったのかもしれない」


「こんなにもあの時の体上担当が強く

 なったんだよ!」って。

「真似しちゃったんだと思う。

 ウォッカさんの・・・」とテージョ。


「私はあんな風にしてたか?」と笑いながら

口から炎の様な幻影を漏らしながら

ウォッカは言うと

「そりゃあもう!」とテージョは一気飲み。


「詳しく聞かせてよ!」と目を輝かせながら

 一気飲みの美香。


「おいおい、母ちゃんの前でそんなに

 飲んでいいのかよ。」とテージョは

言うとまた、身振り手振りで話し始める。

美香は笑いながら話を聞く。

すでに最終的な何かの化身となっていた

ウォッカも笑いながら聞く。


「そして体下担当はいっつもさ」と言うと

チェスキーを見ながら笑い、話を続けた。


「エルセブンさん。握手して下さい」と

真顔で言うチェスキー。

「あ、はい。うん。どうぞ」と

手を差し出すエルセブン。


「実は私、釣り好きなんですよ。

 その界隈ではエルセブンさんは

 超有名です。」とチェスキー。


眉がピクっとするエルセブン。

「ほほう、どれくらいだ」と肘を机に

手を口の前で握りながら問い返す。


チェスキーは言う。

「あと、この大陸で釣っていないのは

 20くらいです」と。


エルセブンは目を閉じ、そして

右手の親指を手の平側に曲げ

4本の指を広げ突き出し言う。


「私は後これだけだ」と。


チェスキーは絶句する。

「さ、さすがです。私を弟子に

 してください!師匠!」と言うと

話をつづける。


実はですね、とある情報屋から

虹色に輝く出目金の話を聞いたんです。

前人未到の秘境に居るとの事です。


一緒に釣りに行きましょう!と。


エルセブンは少し目を閉じ言う。

「よく考えろ。前人未到の秘境なのに

 なぜそいつは知ってるんだ」と。


「そう言ったやつに限って地図とか

 準備してるんだ。前人未踏なのに」

とも続ける。


そういった話に引っかかるのは

バカだ!バカな脳みそに金の事しか

考えていないバカだけだっ!


と・・・力説する。


「他、確かに。危なく騙されるところでした。

 ついこの間、偽物の屑杖をつかまされた

 ばっかりだったのに」と

ソミュールを見ながらテージョは一気飲みする。


「そうよ、槍が一番星になったじゃない」

とソミュール。


「アレは笑ったな!」と一気飲みをしながら

シャルルは言う。


赤面しながらソミュールは

スコティを見ながら言う。


あの時は何で「にゃ言葉」

じゃなかったんです?と。


「ソミュールは気に入ったから言うにゃ」

とスコティは前置きをして言う。


スコは只の人形にゃ。動かしているのは

エルピスにゃ。妖精女王にゃ。

・・・にゃ?でもエルピスが

動かしてるっていう事は

スコがエルピスにゃ?とシャルルに言う。


「そんなことわかんないわよ」と

笑いながら一気飲みのシャルル。


口から酒が駄々洩れのソミュール。


「そ、そのエルピス・・・様が私を」

とソミュールが言うと


「呼んでいるにゃ」とスコティ。

「人間と仲が悪いんですか?妖精。」

とソミュールは言うと


「まぁ、悪いわね」とシャルル。

「でも、賭け橋って・・・」と

ソミュールが言うとスコティが言う。


私が仲を取り持ってほしいのは

ジェニエーベル達。

それ以外はどうでもいいわ。


あの時、ウォッカとミネルヴァ、

そしてまだ幼いジェニエーベルが

里に来た時に約束をした。

だからそれを守るのは当たり前。


ソミュールは驚く。そして

「もしかしてミネルヴァ様と

 ジェニエーベル様をあちらの世界に

 転移させたのは・・・」と言うと


私は少し力を貸しただけよ。

それに足る事をミネルヴァとウォッカは

してくれましたし。


それを聞くとソミュールはウォッカを見る。

そこには・・・。うん。


不合理な生命体が居た。














 



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