概要
そこで繰り広げられる、あるいは語り継がれる、いくつかの物語。
物語に登場するのは、この世に降り立った神獣の現身(うつせみ)、狂気の絵師が追い求めた名もなき変怪(へんげ)、闇を身に纏う異形の男。さらには変怪に翻弄されたり、はたまたその噂から利をせしめんと欲する人々。
そして、変怪を目にしようと求める奇矯な有閑婦人。
夢か現かもさだかならぬ常夢(とこゆめ)の世の物語、是非ご笑覧あれ。
※ノベルアップ+と重複投稿になります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!流麗に語られる中華風ファンタジー叙事詩
世界が変わる瞬間は、和風だろうが洋風だろうが、ましてや中華風であろうが、どこでも興味をそそるもの。
本作は中華風ファンタジー絵巻とでもいいましょうか、神獣の夢とされる世界が舞台となっています。
その中での変革は、ほんの細微なものに過ぎず、しかし着実に積み重なっていて、思わぬ方向に転がります。
これが非常に面白い。
特に信仰に関しては、森羅万象のあらゆる事象(変怪)が、ひょんなことから偶像化されて崇められていく様は、裏事情を知る読み手にとっては滑稽にも思えたり、得心したりするものです。
その中でも龍はひときわ異彩を放つ存在で、人々は翻弄されていきます。
このお話はオムニバス形式で、中心となる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!常夢の世は誰がためか。神獣の舞う、めくるめく幻想の挿話たち
精緻な筆致で紡がれる、中華風の幻想絵巻です。
『神獣の見る夢』が形作る世界に生きる、その世の主役ではない人たちの在り様をオムニバス的に綴った本作。
さまざまな視点から見た『龍』の存在感が、『この世界』の形を徐々に表していきます。
まるで古典作品のような印象を受けますが、すっと頭に染み入ってくるように読みやすい物語です。
俗世の人々が『龍』に抱く畏れや憧れ、そこから成る信仰、実利的な物欲……どれも現代を生きる我々に通じるものがあり、説得力があります。
作者さまの物語に共通する魅力ですが、複数の人物が論議をするシーンが非常に面白いです。どれもすとんと腑に落ち、すっと胸が空く話の運びがお見事。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!野生の中島敦。ちょっと信じがたいレベルの麗筆。圧巻の耽美なる神話世界。
最初に1話目を開いたとき、『読ませる気があるのか?』と思いました。
Web小説にあるまじき改行の少なさ。極めて高い漢字率とルビ率(私も人のことは言えませんが)。
けれど、最初の一段落目を我慢して読み下し(そう、冒頭から漢文や擬古文を読むレベルの硬さがありました)、二段落目に差し掛かってから、第一話完結までの記憶がありませんでした。
あれ? と思って冒頭に戻り、読み始め、気が付くとまた第一話の終わり。
夢中になる、
――ということを、久しぶりに思い出しました。
語り口は優美にして端麗。世界観は驚くほど重厚。
中島敦の『山月記』や『名人伝』を思わせる、『耽美』としか言いようの…続きを読む - ★★ Very Good!!中国民話風な怪奇物語がすごくよかった!
物語の語りが素敵でした。
中国の怪奇話の雰囲気がすごく出ています。
妖怪についての解釈がかなり好みで、実際に民話として存在してそう。
セリフや語りの書き方がとても中国の民話、怪奇話風で本当に創作?と思ったくらいです。
世界観に浸れて読めてよかったです。
あと「常夢」という造語(だと思いますが?)もセンスがいいなぁと思いました。
文章がお上手で、きっと作品をいろいろ読まれているのだなぁと感じました。
どういう経緯で書かれたのか、どうやって発想したのか裏話も聞きいてみたい作品でした。
(まだ拝読途中なので読み終えたらレビューも加筆していきたいと思います)
拙いレビューでごめんなさい(汗)