今、ひとたびの夢を

作者 葛城2号

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★★★ Excellent!!!

 昨今の馬(ウマ)ブームで、競馬を題材とした作品はかなり増えたと思うが、その中でも間違えなく傑作と言える作品。
 現実の競馬も名馬と言われる馬には必ずストーリーがあり、それを追い求めるロマンを楽しさとして認識されているが、そのロマンをフィクション作品として様々な表現で凝縮し、楽しく面白く、時に涙なしには語れない展開に仕上げたことは本当にすごいと思う。
 ただひたすら強いだけではないホワイトリベンジの魅力に、もっと多くの人がハマってほしい。

★★★ Excellent!!!

 順風満帆の成り上がり物ではなく、要所要所で苦しいことがある。読むのが辛くなったときもある。だけどそれでも諦めない主人公と言葉も通じないけど信じて夢を賭けてくれる周囲に何度も泣きながら一気読みしてしまいました。

 もうホワの経歴が書かれるだけで涙が出ちゃう、何度泣いたかわからない。ポンポコのエピソードだけで何度笑ったか分からない。
 コロナで身も心も弱っている中で読んだら泣きすぎと笑い過ぎでマスクがダメになりましたw
 こんなに心を揺さぶれる小説に出会えてよかったありがとうございます。

ps
 ハメの日の神様の方から来たのですが掲示板ネタの雰囲気もとても好きです。追ってきてよかった。

★★★ Excellent!!!

生きる為に立った。恩人の為に走った。勝つ為に全力を出した。もう一度立つ為に辛抱した。負けない為に頑張った。そして今、ひとたびの夢を見る為に──

これは常に"なにか"の為に、レースを走るお馬さんとお馬さんを取り巻く人々の想いの軌跡だ。

馬のことをよく知らなくても、競馬が分からなくても、作中で大雑把にではあるけど解説されているのですんなりと読める作品になっている。

★★★ Excellent!!!

牧場を支えてくれていた功労馬のラストクロップ(種牡馬の最後の世代の子)。
引退を決意していた騎手。
廃業を予定していた馬主。
三者が交錯したとき、その物語は始まった。

立ち上がれ、何度でも。
幾度敗れようと、その心燃える限り。
さあ、最後の花を咲かせよう。
そして、追い求めよう。今ひとたびの夢を。

★★ Very Good!!

転生物と言うのは、何処か浮ついていて現実感を感じられ無い物が多いが、馬については例外が多いと思う。
古来より騎馬は戦場に伝令にと騎手とやくめをそして生死を共にしてきた人類の特別なパートナー。
その流れから生まれた競走馬は、経済動物として、食用や労役用の家畜とは異なる、生命を繋ぐための戦いに身を投じる特別な立ち位置。
そのドラマを表現する上で、馬が人語で読者に語る話よりも、人の魂を懐いた馬である話の方が分かりやすく受け入れ易い側面は確かにあり、競走馬として生きる『現実』を、馬への転生は感じやすい手法だと思う。
常に死と隣り合わせの競走馬の世界で、己が運命に干渉出来る手段がレースでの競争のみである立場で、如何なるドラマが語られるのか?
期待の作品。