第1章
1.訪れた小さな変化。
「ねぇ、杉本くんって中学どこだっけ!?」
「同じ中学って、誰かいる?」
「いや青葉に進学したのは、ボク一人だったから……」
なんだ……?
なにが、どうなっているのだろうか。
ボクは周囲の女子生徒が、途端に話しかけてくるようになったことに驚いていた。色めき立って、それこそエヴィを見る男子のような視線を向けてくる。
しかし、その対象がどうしてボクなのか。それが理解できなかった。
首を傾げながら、助けを求めるようにヲタ仲間を探す。
「あ、エヴ――あれ!?」
だが、どうしたのだろうか。
彼女は頬を膨らして、教室を出て行ってしまった。
そうなると、助けを求めようにも人がいない。根っからの陰キャであるボクにはこれ以上、誰かを相手に話すなんて不可能に近かった。
「だ、だれかたすけてぇ……!」
少しでもエヴィの心に寄り添いたい。
そう思って一念発起、彼女のように容姿に気を配った。
その結果、こうなっているのが分からない。ボクはしばし、滝のような汗をかき続けるのだった……。
◆
「むぅ……」
女子に囲まれる拓海を見て、居ても立っても居られなくなったエヴィ。
彼女はいつもより少しばかり感情を表に出しつつ、廊下の窓から外の景色を眺めていた。美人が難しい顔をして、窓際に立っている。
その様子は、思いのほか絵になるのである。
そのため他の学生はみな、あえて声をかけることはなかった。
「もう、どうして……?」
しかし、そんな周囲の視線を気にする余裕もないらしい。
エヴィはそう口にして、自分の中の感情を整理した。どうして自分の気持ちは、ここまで波立っているのだろうか。
その理由を考えて、必死に考え続けて……。
「え、もしかして……」
彼女は一つ、ある可能性にたどり着いた。
その可能性を確かめるため、あえて彼のことを考えてみる。すると、
「ひゃぅ……!?」
小さく短い悲鳴を上げたエヴィ。
そして、その可能性の高さを感じて困惑した。
「え、え……? うそ……」
エヴィは赤らむ顔を手で覆い、周囲に見られないようにその場から逃げ出す。
降って湧いたような、とある感情の正体。
少女はそれを上手く扱えず、ただただ惑うのであった。
――――
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