11.エヴィの夜、恋慕。







「はふぅ……」



 一方その頃、エヴィは風呂上がりの髪を乾かし終えてベッドに横になっていた。

 そして、今日の出来事を振り返る。斉藤が拓海に迫っていたのを止められたのは、彼女としても成長した部分だと思えた。

 その後には拓海と一緒に、恋人限定のスイーツを堪能。

 長年の夢を叶え、満足の一日だった。



「杉本くんも、楽しかったかな……?」



 そうやっていると、不意に思い返すのは彼のこと。

 エヴィは、すでに自分の気持ちを理解していた。助けてもらって、彼の思いや考えに触れて。傍にいると、あっという間に惹かれてしまっていた。

 でも、もしかしたら自分の独り善がりかもしれない。

 そう思って一歩を踏み出せない。そんなもどかしさを胸に、エヴィは呟いた。



「拓海、くん……」――と。



 そうすると、途端に胸の奥が熱くなる。

 羞恥心や焦燥感。そういった複雑な感情が、火照った身体をさらに熱くした。



「うぅぅ……!?」



 アニメキャラの描かれた抱き枕に、顔を埋めるエヴィ。

 まだまだ、下の名前で呼ぶのは難しいようだ。自分の気持ちを抑えきれなくなるから、と。彼女は深呼吸を重ねてから、あえてこう口にした。



「杉本くん、杉本くん、杉本くん……はふぅ……」



 そうすると、羞恥心よりも安心感に満たされる。

 頭がぽーっとして、ふわふわして、とかく心地良いのだった。



「杉本くん、好きな人いるのかな……?」



 でもすぐに、不安なことも顔を出す。

 彼の気持ちを確認していない以上、彼に他の想い人がいても不思議でなかった。もしそうだったら、自分はどうするのだろう。

 身を引くのか、それとも……。



「うぅ~……!」



 ――で、焦燥感に戻ってしまった。

 いつかは確かめなければいけないと、分かってはいる。

 それだとしても、今はまだこの時間を満喫していたいとも思うのだ。だから、




「まだ、だよ。まだ、我慢……!」




 純粋な乙女心は今宵も夢を見る。

 大好きな人と共に笑い、共に歩む、そんな希望に満ちた夢を……。







 

――――

ここまでで、第2章!

次回からは第3章です!!

以下のあとがきも、お読みください!!


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