ぼくの話⑯

「修学旅行…お、おれ…1回も行けなかった…!卒業式…だって、ゔっ、1回も出てない…!みんなが、やってた学校生活…おれも、おれもやりたかった…!だから、だから…!!」


過ぎ去ってしまった日々はもう取り戻せないけど、新たな道は開ける。誰だったかそう言っていた。

ぼくは不登校児で引きこもりで特別なものなんて何も持っていないけれど、ぼくだって出来るってことを証明したい。


「なるほど、そういう事だったんだね…。だから、定時制にこだわってたんだ。」

通信制とかよく分からないけど、番組で見た定時制では卒業式があった。

本当だったら体験するはずだった学校行事、やりたいんだ。


「お父さんやお母さんにも、それを話してみたら?きっと、納得してくれるよ?」

「ぼくが、また、いじめられてたって…聞いたら、きっと、きっと泣いてしまうから…あんまり…話したく…ない…。」

「そっか、なら話したくなったら話そう。心の準備、していこっか。」


ぼくの心に巣食っていた鉛が消えていった気がした。

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