木曜日の放課後はお祓いに行こうと思っていた俺ですが、お祓いはもう必要無さそうです。
俺が様子を見ていると、巫女さんの顔が見る見るうちに青ざめていった。これはまずい!
「巫女さん。頑張り過ぎですよ。身体が冷えてしまってます」
うんともすんとも言わない巫女さん! 本格的にまずい。俺が巫女さんに近付いてみると、巫女さんは立ったまま気絶していた。直ぐに助けなきゃ! 誰かが近くにいればいいけど、こんなときに限って誰もいない。
しかたがない。ここは俺独りで何とかしなくては! 俺は直ちに巫女さんを背負った。爆圧が俺を襲う。けど楽しんでいる暇はほんの少ししかない。体温低下は脳や臓器の機能障害に繋がりかねない。急げ、俺!
俺はエロを封印。巫女さんを助けることを最優先に行動した。
まず、巫女さんの装束を脱がした。ブラジャーもパンティーもだ。今は緊急事態。仕方のないことだ。そして自分の装束も脱ぎ捨てて、それで巫女さんの身体を拭った。やわらかいところはフェザーに、そうでもないところはゴシゴシと。
これは全て、あくまでも緊急対応。俺は決して楽しんではいない。その証拠に、俺はマッパではない。パンイチだ。楽しむのが目的なら、普通は脱ぐだろ!
俺の素早い措置で巫女さんの体温がこれ以上下がることはない。けど、まだ体温が低い状態なのに変わりはない。そこで俺は、巫女さんを抱きしめた。ひんやりとした爆圧が俺を襲う。それはつまり巫女さんの体温が上昇している証拠。
ただ抱きしめているだけでは時間がかかる。俺は運動エネルギーを熱エネルギーに変えるべく、巫女さんの身体を抱きしめたまま摩った。こうすることで、体温の上昇値が上がる。何とかなりそうだ!
数分後、ようやく巫女さんが気付いた。よかった。巫女さんは冷静で、俺のことを怒るでもなく、優しく微笑んで言った。
「修行者さん。ありがとうございます」
巫女さんは言い終わると俺にキスをした。あれ? くちびるはまだ冷たい。危ない危ない。もし巫女さんからキスしてこなければ見落とすところだった。
巫女さんとのキスはそう長くはなかった。俺も巫女さんもやや興奮していたので、体温が速く高くなったんだ。
こうして、俺は巫女さんを救出することに成功した。そしてそっと俺が着ていた装束を羽織らせてあげるのだった。
落ち着いてから。巫女さんが言った。
「ありがとうございます。この御恩は決して忘れません」
「いや、いいんですよ。助かって本当によかった!」
そのあと、巫女さんは意外なことを言った。
「月曜日のことです。私、急に狩られたんです」
あれ、それって麗がはじめた盗撮ヤローの狩と同じ日じゃない。
「原因は兄の暴挙でした」
まさかっ。もし俺の予想が当たっているのなら、巫女さんの苗字を俺は知っている。水野さんだ。これは、確かめる必要がある。
「お気の毒です。けど、どうしてここに来たんですか?」
「はい。それは、マリア様の思し召しです」
は? 俺が来たのは神社。教会ではないのに。
「マリア様がこの神社で巫女をするようにとお示しになったのです」
なるほど。そういうことか。巫女さんが続けた。
「そうすれば、ここに10年来の想い人が助けにくるとのことでした」
えっ? それが俺ってこと? それとも巫女さんってさらに危険な目に合うのかなぁ。それに、俺は10年前にこの巫女さんに会ってるだろうか。会ってないよなぁ。全く覚えてない。やっぱり人違いかな。巫女さんはさらに続けた。
「私はその方に一生を捧げるつもりです」
随分と思いつめちゃってるな。巫女さんだってまだ若いのに。俺と同い歳だもの。けどそんな気持ちになるのも分かる気がする。狩られてしまったんだから。Fランク確定なんだから。巫女さんがさらにさらに続けた。
「ですから、貴方についていくわけには参りません。ごめんなさい!」
えっ? なんだ、今の。俺、告ってないのにフラれたってこと。スッゲー悲しい。スッゲーダメージを喰らった。ま、笑って許すしかないな。それより、巫女さんの苗字を聞き出さないと。もし、水野さんなら……。
「そういえば巫女さんのお名前は?」
単刀直入に言った。
「はい。私は水野茶緒といいます」
水野。やっぱりそうだ。あの金髪ロングストレートの爆乳は惜しい。けど、あまり拘らないほうがいい。名乗るのは辞めておこう。
「水野さん、10年来の想い人に会えるといいですね!」
「ありがとうございます。茶緒でいいですよ、トイレさん!」
なぬっ。聞き捨てならない。俺のことトイレって言った。御手洗だよっ! そういいたかったけど、それだと俺が麗の関係者だってバレちゃうかもしれない。ここはスルーしかない。しかたない。
「いいえ」
このあと、茶緒の身元に関する衝撃的事実が明らかになった。
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