順調に大人への階段を登っている俺ですが、親バレしてしまいました。

 ま、マジかよ! これってほとんど告白じゃん。キスの催促じゃん! 最速ルートじゃん! 俺はテンパってたけど、葵のことが気になった。俺以上にテンパッているに違いない。


 俺たちのこと、やっと仲良くなれた友達って思ってくれてるのかもしれない。そんな葵に冷たくはできない。けど、キスはどうだろう。


 キスするのなんて、しっかり気持ちを確かめ合ってからか、もしくは、不可抗力のラッキーキス以外にない。中途半端な気持ちでのキスはいかん。遺憾だ! けしからん。


 俺の気持ちはどこにある? 地味な葵とキスしたい? それともしたくない? YESかNOなら、間違いなくYESだ。泉から神様が浮上してきたら、YESって言う。キス、したい!


 だって、キスのときにおっぱいのやわらかいのも伝わってくることは、七瀬やまりえで実証済み。あれ? それってラッキースケベじゃん? キス目的で胸の感触は不可抗力じゃん! 無理があるかな……。けど、キス!


「じゃあ、しよう! キス、しよう!」


 俺は自分の気持ちに正直にそう言った。そして、上着を脱いだ。パンイチになった。だって、葵は下着だし、同じ格好でないと失礼かなって思ったから。


「ねぇ。私に服を着せてくれるという選択肢はなかったの」


 ごもっとも。葵は冷静に俺のブリーフを見ている。けど、それはない。


「そんなことしたら、衣装のままキスした他のみんなに失礼じゃん!」


 俺の理屈、通れ! 願いが叶ったのか、葵は俺に都合のいい勘違いをした。


「清くんって、優しいのね!」

「よく言われる、かな」


「みんなと、30分も!」


 間違っちゃいない。6人と合計で30分だから。


「まぁね!」

「清くんって、モテるの?」


「まぁね!」

「清くんって、エロいの?」


「まぁね!」


 今更隠せない。俺は、エロエロエロエロ大魔神だっ! 経験人数6人の強者だ! ドヤッ!


 こうして俺は葵とキスすることになった。愛を誓いあってのマジキス。ラッキーキスとはわけが違う。俺はいきり立っていた。直後、俺は今までのキスがお遊びということを思い知った。葵はうるうるしっとりくちびるの持ち主だった。


 やわらかいくちびるは、とろりととろける。全く質量を感じない。どこまでも溶け込んでいくようで、どんどん求めてしまう。


 やわらかいおっぱいは、ペタリとへばりつく。ものすごい重量感。どこまでも尊くして至高で、ついつい拝みたくなってしまう。


 パンイチだからか、刺激は素早く伝わる。同時多発的に刺激が大量生産され、俺の脳で大量消費される。俺は、身体のいろいろな部分をエロエロに反応させた。もちろん反射もある! これから先は葵の顔だけで条件反射しそう!


 30分はあっという間だった。興奮の連続だった。ベルが鳴っても俺と葵の求め合う力は衰えていなかった。




 気付いたときには周りにみんなが集まっていた。最も聴き慣れた声が俺の名を呼び、ようやく俺はそれに気付き、我に返った。


「あらあら、まぁまぁ。清くん、お母さんお顔真っ赤になちゃう!」

「おっ、お母さん……。」


 この状況で、お母さん。これはまずい。はずい。


「清くん。お母さんね、とりあえず今の状況、説明してほしいわ」


 母さんの目は優しかった。


「清くん。お母さんね、今の姿の葵さんとの交際は、認められないわ」


 ほとんどはじめましての葵。お母さんの評価は妥当かもしれない。お母さんは人一倍美意識が高い。地味な葵では納得できないのだろう。




 俺は正直にキスに至った経緯を説明した。パンイチになったことも、撮影せずに30分間ずっとキスしていたことも。


「きっかけは、まりえとのキスを目撃した葵が、勘違いして……。」

「うんうん。」


「葵が、俺にキスをおねだり……っていうか、キスしようって言うから」

「うんうん。」

「ちょっと待って! それじゃまりえがキスしたのも悪いみたいじゃない」


 まりえが本気で怒り出した。俺の言い方が悪かったんだと思う。あのときの俺は、まりえのことしか頭になく、夢中でキスしてた。そんなまりえを裏切るようなことを言ってしまった。


「清くん、まりえちゃん。お母さんね、悪いと思うな!」


 断定された。お母さんにそう言われると、誰も言い返せない。


「だったら、飛鳥だって! キスしてたわ」

「ええっ! そんな。けど、七瀬も!」


 あとは連鎖反応。


「麗だって!」

「麻衣も!」

「ゆめも!」

「そっ、それじゃあ清くんって……。」


 最後はゆめがそう言い、音頭をとった。誰がどう聞いても、俺が悪い。俺は、穴があったら入りたい。耳をふさいだ。けど、はっきりと聞こえた。7人がピタリと声を揃えたから。


「7股じゃないのっ!」


 人聞きの悪い……。ほんのちょっと、くちびる同士が触れ合っただけでしょう。


____________

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