武器はラッキースケベだけの俺ですが、妹はノーカンだっって言われてしまった。

武器はラッキースケベだけの俺ですが、メイドとラッキースケベが起こらない!


 ラッキースケベは数あれど、全てに共通することが2つある。それはラッキーとスケベ。この2つが同時になければ、ラッキースケベとはならない。


 もし泉の底から神様が出てきて「あなたの落としたのはラッキーですか? それともスケベですか」と聞いたら、俺は絶対にこう答える。「私は決してラッキーもスケベも落とさない。だがもし、落とすなら同時、拾うのも同時です」と。


 断言する。俺が求めるのはラッキースケベ。ラッキーでもスケベでもない!




 撮影は30分ずつ、1対1で行うことになった。部屋と衣装はくじ引きで決める。こうすることで不可抗力を起こさせやすくした。


 これは、天井知らずのラッキースケベに挑んだ俺と7人の女子の物語だ。


 ここで俺は、ラッキー振りを遺憾なく発揮する。引き当てた部屋と衣装の組み合わせは、如何にもなシチュエーションばかり。あらゆるラッキースケベの可能性が追及されているのが、お分かりいただけるだろう。


 トップバッターはゆめ。部屋はキッチン、衣装はメイド服。


「やったな、ゆめ!」

「うん。私にはコレしかないもの」


 この組み合わせで何も起こらないなんてことはありえない! 俺もゆめもそう思っていた。ゆめは積極的に俺をおもてなししてくれた。その合間に数十枚もの写真を撮った。それはいい。今日のテーマはラッキースケベだ。


「お待たせ致しました、清ご主人様! オムライスでございます」

「いいねぇ。ゆめの作ったオムライスはサイコーだよ」


 絵を描いているとケチャップが爆発! ベトベトになった衣装を恥ずかしがりながら脱ぎ捨てるゆめ! そんなシチュエーション、ありだ! けど、焦らしプレイが如く、オムライスでは何も起こらず。ケチャップが酸っぱい。


「お次はコーヒーです。ミルクをたっぷり入れますね」

「あまあまなコーヒー、大好き! ゆめのラテアート、大好き!」


 手を滑らせるゆめ! コーヒーが俺のズボンにかかる! ゆめが熱がる俺のズボンを脱がせる! これもありだ! けど、ゆめは手を滑らすようなドジっ子ではなく、俺はバラの絵が描かれたコーヒーを美味しくいただいた。


 そのあとも、ありそうでないラッキースケベ。おかしい。この流れで何も起こらないだなんて、おかしい。どうしちゃったんだ、俺! 幸運の女神様、俺をお護りください!


 そして、残り時間が5分を切ろうかというときのことだった。もう諦めていた。ダメだと思った。そんな矢先に、ゆめが脚を滑らせた。危ない! 俺はとっさにゆめを支えようとした。2人はもつれ、床に倒れ込んだ。


 そのときに、俺たちはキスをした。完全不可抗力のキスだった。


 それは、めっちゃ甘酸っぱいキスだった。ミルクのように甘く、ケチャップのように酸っぱい。まさに、メイドさんならではのキスだった。調子に乗って、3分間も続けてしまった。


 スケベを通り越したキス。ラッキーキスだ。単なるスケベではない証拠に、キスしているときの俺は、ゆめのことしか考えていなかった。ゆめもそうだったと思う。相思相愛の、愛情たっぷりのキスだった。階段を登った気分だ。


 ジリジリとベルが鳴った。撮影終了の合図だ。結局、俺とゆめにラッキースケベは起こらなかった。起こったのは、ラッキーキスからはじまるマジキスだった。そして、もう1人。怒ったのが、次を勤める麻衣だった。


____________

ここまでお読みいただきありがとうございます。


この作品、登場人物、作者を応援してやんよ、少し気になるって方、

♡や☆、コメントやレビュー、フォローしていただくとうれしいです。


励みになります。よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る