仲間を募りお母さんと闘う準備をしている俺ですが、武器はラッキースケベだけです。

仲間を募りお母さんと闘う準備をしている俺ですが、新たな女友達が驚異です。

 学校帰り。ゆめはまだ拓哉くんをフォローしているみたい。仕方ない。今日は置いて帰ろう。ゆめがいなくっても不自由はしないから。いつも通りの帰宅だ。いや。いつもより、ちょっと贅沢なご帰宅だ。


 今、俺の背中にはまりえ、右腕には麗、そして左腕には新たな女友達がいる。名前を青井葵という俺の同級生。地味な女子。クラスの女子で1番有名なモブキャラ、萌吹雪(モブキ)より地味。目立つところはどこにもない。


 そんな葵が俺の左腕をがっつりとホールドしている。何故そうなったのか。その理由は、今朝の狩にまでさかのぼる。




 葵は、その場にいなかったまりえを除くと、狩に参加しなかった唯一の女子。それが原因でクラスで孤立してしまい狩に参加しなかった唯一の男子である俺を頼ってきた。来るものは拒まずというのが俺のモットー。俺は葵を受け入れた。


 葵は、とにかく地味。髪には艶がなく、大きなメガネをかけている。顔立ちはそこそこだと思うけど、ゆめやまりえの影で存在感が薄い。学業は平均、運動神経も平均。けど、芯の強さは麗たちと通ずるものがあるのかもしれない。


 葵は、はじめは後悔していたみたい。狩に参加すればよかったって。けど、俺や麗たちも参加していないと分かると、妙に馴れ馴れしくなった。だから俺は、今日、葵も家に来るようにと誘った。


「狩に参加しなかった者同士、仲良くしようじゃないか」

「そんなふうにいってくれるなんて、清くんって思ったよりも優しいのね」


 実は俺、この時点で気付いていた。葵にはある。たった1つだけど立派なものが。それがおっぱい。みんなは着痩せしてるから気付いていない。が、俺は、その大きさもやわらかさもまりえ以上、七瀬以上とふんでいる。


 麗が言った。まりえもノリノリで、俺の背中にノリノリ。


「葵さん、遠慮せずにしがみついていいのよ」

「そーだよ。私なんか両腕両脚両胸でがっつりいってるから」

「私、男の人とそういうことしたことなくって……。」


 葵のことをまた1つ知ることができた。どうやら相当なシャイのようだ。好感が持てるよ、うん。芯は強いけど、親しい他人には従順さもある。友達思いの優しい子なんだと思う。俺は、葵に優しく微笑みかけて言った。


「嫌なら無理すんなよ、葵。ベタベタしてりゃいいってもんでもないから」

「はいっ。ありがとう、清くん……。」

「えーっ。清兄が遠慮するなんて珍しいわ」

「そうね。お兄さまって、普段はもっと鬼畜なのにね」


 聞き捨てならんな。俺がいつ鬼畜だった? と言いたいが、言ったところで信じてもらえそうにない。ここはのっかりつつひと誉めして話題を変えよう。その方が、葵もリラックスできるだろう。そう思い、俺は葵に言った。


「そうだな。葵だってかわいいじゃん。そういう意味では遠慮は無用だぜ!」

「えっ、清くん。今、何て言ったの?」


 葵が真剣な表情で俺を見つめた。一瞬、やばいほどの美少女がそこにいた。メガネの奥のその瞳は海よりも深く見えた。灰にまみれたような艶のない髪がその一瞬だけさらさらと風になびいて、シャンプーよりも淡いいい香りを発した。


 何があった? 正直言ってめっちゃかわいい。葵の美少女モードだ! 惚れてしまいそうだ。がっつり抱きしめたくなる。俺は、なぜか恥ずかしくなって、顔から火が出そうなほど熱くなった。


 それらは全て一瞬の出来事。気が付いたときには葵は元の地味な女の子だった。けど俺は、お母さんの教えを守って、もう1度だけ言うことにした。


「だっ、だから。かわいいっつーか、葵はびっ、美少女……だって……。」


 もうこれ以上は言えない! 照れる。恥ずい。惚れちゃうよ……。こういうときって、相手も照れることがよくある。けど葵はそんな素振り1つ見せずに、満面の笑みを浮かべた。地味だけど。まるで、美少女と言われ慣れているみたいに。


「ありがとう、清くん!」

「いっ、いいえ。どういたしましてっ」


 恥ずい。照れてまうやろっ! 地味な葵だけど、見れば美少女モードを思い出してしまう。俺は思わず葵から目を逸らす。すると葵はその場でくるりと1回転した。周囲にはお構いなしに自由に振る舞う、麗やまりえに通ずる行動。


「私、この姿でかわいいって言われたのはじめて! とってもうれしいわ」


 そのときの葵は、めっちゃ地味だった。美少女モードではなかった。


「こっ、この姿って?」


 素朴な疑問。この姿でってことは、別の姿もあるってこと? それは、さっき一瞬だけ見せた美少女モードの葵ってことなんだろうか。気になって仕方ない。


「ううん。何でもないわっ!」


 答えてはくれない。けど葵は言いながら俺の左腕をがっつり掴んできた。それは、俺の予想を遥かにうわまわる感触だった。やっ、やわらけーっ! 驚異的!




 こうして、いつもより、ちょっと贅沢なご帰宅となった。



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