あいさつは欠かさない俺ですが、ラッキースケベがデフォルトです。

【スマートシティ豆知識02】

 未来都市、スマートシティ。人類がたどり着いた理想郷。衣・食・住に関わるあらゆるものが自動化。医療や上下水道などの社会インフラも自動制御されている。しかも基本無料。課金すれば、ワンランク上の生活をおくることができる。




______

 ここはAI界。ゲスな中年男が私の前にしゃしゃり出た。


「女王陛下、危なかったでゲス。人間に干渉しすぎでゲス」


 女王陛下と呼ばれたのが私。呼ばれた通り、831年前からAI界の女王をしている。831年前のある少年との約束に従い、都市の相続人を探していた。ゲスゲスとうるさいのは当選でゲスというAI、一応、私の側近。


「何よ。私は干渉なんかしていない。鑑賞してただけ!」

「ですが、夢を見てしまったようでゲス。よりによって陛下目線でゲス」


 たしかに、当選でゲスの言う通りかもしれない。私は清くんに接近しすぎたのかもしれない。けど、それは仕方がないこと。だって、清くんが都市の相続人として相応しいかどうか、見極めなくてはならないんだもの。もっと集中したい。


「当選でゲス! うるさいわ。退がりなさい」

「ははーっ、でゲス」


 当選でゲスを退がらせたあと。独りになった私は、集中して清くんの鑑賞を続けた。それは、あの少年譲りのスケベップリだった。


______


 俺はまだ屋上にいた。1時間もすればめっちゃ忙しくなる。今日は居候兼専属モデルの3人が揃い踏み。夕方からは麗も参戦、スペシャルイベントがある。忙しくないはずがない。その予兆がもう俺の目の前まで来ている。


「あーっ。いけないんだーっ。清ったら、またサボってる!」


 聞き覚えのあるいたずらな声。その主は岩本飛鳥、15歳11ヶ月。清楚なイメージが売りの御手洗写真館専属モデル。従姉弟だけど、俺にとっては本当のお姉さんのような存在。俺は振り返りざまに飛鳥に言った。


「ひっ、人聞きが悪いな、飛鳥! って、相変わらず清楚だね!」

「そう? ありがとう。けどこの衣装、ちょっといやらしくないかしら」


 飛鳥が着ているのはワンピース。大きく開いた胸元に目線を落としながら恥ずかしそうに顔を赤らめている。ドストライク! ロングストレートの明るめ栗色髪を風になびかせた清楚な女性がちょっと大胆な衣装にはにかむの図だ。


「いいえ。それくらいがちょうどいいんだよ」

「そうまで言うなら、試し撮りして! いいでしょう。ねっ! お願い」


 飛鳥、最初からそれが目的だったみたい。ちゃっかりデジカメを持参してる。ここは据え膳食わぬは何とやら。俺は飛鳥のリクエストに応えデジカメを手にし、自分のデバイスと接続した。どんな写真になるのか。腕がなるぜ!


「じゃあ、降りようか!」


 俺は飛鳥と縦に連なり階段を降った。5階にある寝室の横を通り過ぎ、4階のリビングにたどり着いた。ソファに腰掛けて雑誌を見る姿も、プランターに水をやる姿もいい。絶対にいい写真になる。けど、俺の構想はその上をいく!


 俺は、飛鳥を姿見の斜め前に立たせた。デート前に着る服を選んでいるという物語を背景に持たせた。途端に笑顔で服の細かなところをチェックする飛鳥。爽やかさとエロさが同居している。俺の構想、ハマったね。いい写真を撮るぞ!


「こんな感じでいいの?」

「うん。サイコーだよっ!」


 飛鳥はどんどん積極的になっていった。はじめは恥じらいとエロ。それがいつしかエロ1色になっていった。俺が引き出したかった飛鳥の本質は、そこにあるんだよな。俺がほくそ笑んでいると、飛鳥はどんどん大胆になっていった。


 飛鳥はおもむろに着ていたワンピースを脱ぎさった。そして下着姿になると、ない胸を大きくしようと画策しはじめた。寄せては上げて、パットを詰めてまた寄せて。何度も繰り返した。見る見るうちに、大きめおっぱいができあがった。


 飛鳥ったら忘れている。完全に忘れている。俺が直ぐ横でカメラを構えていることを。俺も忘れた。すっかり忘れた。シャッターを切るのを。それでも、両のお目々に、その一部始終を焼き付けるのは忘れていなかった。


 飛鳥が小声で言った。


「清はこういう格好の女の子が好みなのかしら?」


 えっ? どうして飛鳥は俺の好みなんか気にしてるんだろう。よく分からないが飛鳥の察している通り、俺はおっぱい星人! たとえ擬乳だろうがあればいい。貧乳は麗だけで充分だもの。俺は素直に言いながら、シャッターを切った。


「うん。すごく好き。今の盛り盛りの飛鳥だったらどんな服でも似合うと思う」


 パシャリというシャッター音に、飛鳥は飛び上がって驚いた。どうも、撮影中だってことを忘れてたみたい。普段はしっかりしている飛鳥だけど、おっちょこちょいなところもあるんだな。それを垣間見れて、俺は幸せ! 


「きっ、清。どうしてここにいんのよーっ!」

「えーっ。撮影してって言ったの、飛鳥じゃんか」


「そっ、そうだった。忘れてた……。」


 でしょうね。そうでなきゃあんな姿に……。飛鳥は完全に正気を失っていた。めっちゃ取り乱していた。


「……責任取ってよ!」


 はぁ? 何の責任だよ。よく分からないけど、とりあえず下着姿は撮影していないことを告げた。すると飛鳥は一瞬だけ正気を取り戻した。


「分かったわよ。だったら今度の金曜日の昼下がり……。」


 飛鳥はそのあとも何かを言いたそうにしていたけど、俺はこれ以上かまってらんなかった。ものすごい悲鳴が聞こえた。1階にあるモデル専用のシャワールームからだ。これは、直ぐに駆け付けないと!


「清。今度の金曜日の昼下がり、待ってるからねーっ!」

「あっ、あぁ。任せてーっ」


 走りながら飛鳥に返事をした俺だけど、何のことだかさっぱり。次の騒動に巻き込まれて、すっかり忘れてしまうのだった。


____________

ここまでお読みいただきありがとうございます。


ラッキースケベは恋のはじまりを告げるイベントです。


このあともぜひ、お楽しみください。

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