ラッキースケベがデフォルトの俺ですが、パワーアップキッドも搭載済です。
【スマートシティ豆知識03】
未来都市、スマートシティ。人々はAIによって格付けされる。最高ランクはS3。S2・S1を含めSランカーっと呼ばれ、贅沢三昧の生活をおくる。A・B・C・D・Eは庶民的で、最下位のFランカーは悲惨な生活をおくる。
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私が見たのは、清くんの日常。恐ろしいことに、これが日常なんだ。そう思ったのは、私だけではなかったみたい。
「さすが女王陛下でゴメス。よく見つけたでゴメス。恐ろしい日常でゴメス」
そう言いながら私の前に現れたのは、当落線上でゴメス。私の側近の1本。当選でゲスと落選ごめんのあいの子AI。豪くんのために作ったマッチング機能で私が2本をマッチングした。わざわざ落選でごめんを作ってね。
「そうでしょう。豪くんの相続人に相応しい少年でしょう!」
「豪くん、懐かしいでゴメス」
そうね。豪くんと最後に言葉を交わしたのは、831年前だもの。懐かしくないはずがない。私は、とりあえず当落線上でゴメスを退がらせた。そして独りになって続きを食い入るように見た。ぞくぞくしながら!
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1階からの悲鳴は断続的だった。2階まで降りていくと、言っていることがはっきりと聞き取れるようになった。声の主も分かった。七瀬だ。シャワールームへと直接向かった。狭い階段を転げ落ちるようにして走った。
「キャーッ! むっ、むしーっ!」
扉の前までたどり着いた。水音がしないところから使用中ではなさそう。俺はたかを括って擦りガラスの扉を開けた。少し前までは使っていたのか湯気が立ち込めている。嫌な予感とともに視界を下にすると、女の子座りも鮮やかな裸体。
「どうしたの七瀬! 今日もナイスバディ! って、タオルタオル!」
小川七瀬、15歳11ヶ月。居候兼専属モデルの1人。銀髪が醸し出す高貴さとふくれっ面のあどけなさを併せ持つ。オトナな容姿を武器にクールに決めたポージングが大人気。けど本当は誰よりも乙女で臆病。ときどき大胆。
小さいタオルだと、七瀬の胸は隠せないのを俺は知っている。俺は慌てて大きめのタオルを探しだし、七瀬に渡した。七瀬は左側だけ隠して余った布を無駄に垂れさせる。右側はがら空きだけどもやと影で見えないのがちょっと、惜しい。
「清くん、助けてーっ」
害虫かと思ってのぞき込むと、いたのは小さなてんとうむし。撮影用の花にでも紛れていたんだろう。シャワーのホースを枝と間違えてるのか、とことこと登っている。そして頂上に達するとその羽をばたつかせ、飛び立った。
「キャーッ! 清くん、清くーんっ! 助けてーっ!」
もっとばたついたのが七瀬。こちらは飛び立ったのではなく、俺の左腕に飛びついてきた。爽やかなシャンプーの香りが鼻を、しっとりとした温かさが左腕を、心地よーく刺激した。床を見れば、大きめのタオルがそこにあった。
「なっ、七瀬! なんて格好……。」
俺はその言葉を最後に、鼻から血を豪快に吹き出して、一時的に気を失った。
目覚めたときには、七瀬の水着姿を撮影することになっていた。てんとうむしの襲来から守れなかった罰なんだと。どういう理屈だよ。思わなくもないけど、ゆっくりと償わせて頂くことにした。
水着での撮影には、水がつきもの。撮影用のバスルームは予約が入ってるから使えない。となると撮影場所はここシャワールーム。いやいや、薄暗いのが大問題。そこで俺は七瀬を連れて屋上へと逆戻りした。ある子を連れてね。
「まりえちゃん! かわいいっ!」
七瀬がまりえちゃんと呼んだのは、俺が飼っている金魚。琉金というもっとも金魚っぽい品種。撮影の小道具でもある。屋上は熱く、まりえに負担をかけるといけない。ここは1発勝負だ。七瀬も協力してくれて、うん。大成功!
俺は、撮影が終わると直ぐに撤収作業をした。そのときに七瀬が言った。
「清くんって、胸の大きい女の子は好き?」
なんて直球! 俺はおっぱい星人であることを隠してなるべく無難に答えた。
「大好きだよ。年頃の男子は、みんな好きだと思うけどなぁ」
「そう、なんだ。うん、ありがとう!」
七瀬、今日もお仕事がんばって! 頼むからハプニングだけは起こさないで。俺は人知れず祈っていた。祈りが通じたのか、それからの現場は忙しこそすれ、大きなハプニングがないまま午前の3部は終わった。
気が付けば、もう昼食の時間。神谷食堂の仕出し弁当をゆめと一緒にモデルさんやカメラマンさんに配布。おしぼり、お茶を用意。後片付け。そして午後の準備。スタジオの運営には、休憩中も息吐く暇がない。
まだまだ続くんだ! 忙しいのも、ラッキースケベも!
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
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