平穏に暮らしたい一般市民の俺ですが、王様になろうと思います。
世界三大〇〇
平穏に暮らしたい一般市民の俺ですが、妹の幼馴染の反抗期が心配です。
平穏に暮らしたい一般市民の俺ですが、あいさつは欠かしません。
【スマートシティ豆知識01】
未来都市、スマートシティ。人類がたどり着いた理想郷。たった1本のAIがたった1人の人間のために作り出した、おかしな都市の総称でもある。その数は地球上に9000を超えて存在する。育児支援・観光複合型の東京もその1つ。
夢を見た。俺がAI界の女王。たくさんの家臣AIに囲まれている。俺は彼らに次から次へと無理難題を押し付けた。みんながそれを1つひとつ現実へと変えていった。その結果、出来上がったのがスマートシティ。
なんだ、これ? 俺は変な夢から覚めるなり、朝食を摂ることにした。
スマートシティ東京。秋葉原駅徒歩5分。華やかなショッピング街と閑静な住宅街の狭間にひっそり佇む5階建てのビルが俺の実家。リビングも寝室もバスルームもめっちゃ広い。見晴らしのいい屋上も! といってもこれ、全部撮影用。
俺の実家はフォトスタジオ、御手洗写真館。便所じゃないよ! 御手洗は俺の苗字。先祖代々この地でフォトスタジオを経営してる。今は31代目にあたる俺のお父さんが経営している。居住スペースは7DK、リビングはない。
食事のあとは店の手伝い。通勤時間は0分。最初のミッションはスタジオの掃除。この時間は静かでいい。あと1時間もすれば、観光に訪れた人の往来が激しくなる。先に起きていた妹の麗が、軒先を箒で掃いているのが見えた。
「おはよう! 麗。今日もかわいいね」
「清兄、ありがとう。けど、おそようだよ」
麗は俺より20ヶ月下の14歳3ヶ月。当スタジオの専属モデル。商業モデルもこなす。お母さん譲りの素敵な笑顔で人気は高く、いくつもの雑誌の表紙を飾る。麗の笑顔は、課金の対象ってこと! そして、いつも俺をやる気にさせる。
「屋上、磨いといて!」
「もちのろん」
俺は麗の笑顔に見送られ、掃除をするために屋上へと向かった。
このビルにはエレベーターがない。何でも、先祖にへたれがいてエレベーター恐怖症だったらしい。ったく、どんなやつだよ!
俺は1人がやっと通れるほどの狭くて薄暗い階段を駆け上がった。その途中、2階と3階の間の踊り場で、お父さんとすれ違った。危うくぶつかるところだったけど、身体を巧みにくねらせて避け切った。
「清。危ないじゃないか!」
「ごめんごめん、急いでるんだ。屋上を掃除するんだから」
階段は降り優先。お父さんに雷を落とされる前にと、俺は猛ダッシュで階段を駆け上がった。逃げ脚の速さなら任せて! それに、掃除をすることをさりげなーくアピるのも忘れちゃいないぜ。
この階段、5階までは本当に暗くて危ない。太陽の光が差し込んでこないから仕方がないんだ。けど5階から屋上へと続く階段は天井がなくって、明るい。もう直ぐ太陽の下に出るんだって実感する。
俺は大袈裟にバタンと音を立てて屋上の扉を開けた。迎えてくれたのは、フレッシュな5月の風とぽかぽかでまぶしい陽光。超絶気持ちいい! もう1つ俺を気持ちよくさせてくれるものがあった。爽やかな声! 隣のビルから。
「清くーん、おはよう!」
声の主は入谷ゆめ、15歳11ヶ月。俺と同い年で同じ月生まれの幼馴染。隣にある洋食屋『入谷食堂』の看板娘。黒々とした長い髪と同じ色の大きな瞳がチャームポイント。今日は店の手伝いの日。メイド服を着てるから直ぐに分かる。
「おはよう、ゆめ。今日もかわいいねっ! その服、よく似合ってるよ!」
「もっ、もう。清くんってば、揶揄わないでよっ!」
このやりとりは、「その服、よく似合ってるよ」を除けば日課。俺は『女子を見たらとことん褒めるのが男子の仕事』というお母さんの教えを守っている。それで周りの女子は無限の輝きを手にして、いつか俺に帰ってくる! らしい。
俺のたゆまぬ努力の甲斐あって、俺の周囲にはかわいい女子が多い。その筆頭は麗だけど、ゆめも捨てたもんじゃない。最近では、ゆめを目当てに入谷食堂を訪れる人が増えてるって聞く。お母さんの教えは信憑性が高い!
「清くん。仕事が終わってからでいいから、ね。お願い!」
ゆめがしおらしい。言いたいのは、俺に写真を撮影してほしいってこと。俺の趣味はお父さん譲りで写真撮影。俺はこくりとうなずいて返した。それで満足したのか、ゆめはご機嫌そうに入谷食堂の屋上から去っていった。
屋上はのどかでいい。眠くなるほど気持ちがいい。1人きりの空間を思いっきり楽しもうと、手摺りに寄りかかって寛いだ。そのときにふと、今朝見た夢のことを思い出した。あれは一体……。考えても仕方ないか。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
新連載、スタートです。
ラブコメ×SF 一途な男のハーレム建設譚になる予定です。
是非、お楽しみください。
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