親バレしてしまった俺ですが、妹はノーカンだっって言われてしまった。
お母さん、笑顔だった。年齢を感じさせない。自分でいつも制服を着ても通用するって言ってるけど、嘘じゃないのかもしれない。
「お母さん、思うの。清くんには選んでもらわないとって!」
選ぶ? 俺が? 何を?
「だって、清くん。今のままでは重要犯罪人ですもの!」
重要犯罪人? 俺が? どうして? けど、今、選べって言われたら俺は迷わずゆめを選ぶだろう。たしかに俺の脳内美少女判定野が美少女度90024を示すまりえもいい。けど、料理が不味いのはいただけない。
「えっ、どうして? 7股セーフじゃないの?」
麗が言った。忘れてた。俺の妹にして美少女度90007は立派だけど、麗はやっぱり妹だ。わざわざ選ぶ必要はない。
7股セーフ。スマートシティでは7人以上の異性と結婚することが許されている。それを、7股セーフっていうんだ。2股から6股は禁止事項で、違反すると厳罰になる。スマートシティでは常識。
「麗。お母さん、思うの。兄妹はノーカンだって」
たしかに。兄妹では入籍できない。7股セーフは結婚が前提。
「そんな……じゃあ私は清兄とはねんごろになれないの……。」
麗! ねんごろって、そんな恐れ多いことを考えてたのか。
「そうねぇ。お母さんはいいのだけれど、世間的にはね。諦めてちょうだいね」
「そっ、そんな……。」
「麗。お母さん、思うの。麗はそろそろ病気をなおすべきだって!」
「いやよっ! 私、病気なの。清兄の最良の女でいたいの!」
そういえば、麗の病気ってなんだったっけ。思い出せない。
「じゃあ、清くんが8人のなかから選ぶってことで、ケッテー!」
えっ、何が決まったの? 8人って、増えてるし!
「お母さん、思うの。清くんは選ばなきゃって!」
「で、どうして8人なんだよ?」
刹那、お母さんは俺にキスをした。オトナキス! 全身の力が抜けて、全く抵抗できない。いや、俺の気持ちは完全に求めている。気持ちいい! お風呂に入って身体がお湯に沈んでいくような、朦朧となる感覚だ。
俺は、お母さんを1人の女性として求めようとしている。そんなのって、マズイんじゃないっ!
他の7人が顔を真っ赤にしているのが横目に見える。それくらい俺とお母さんのキスは、様になっていたんだと思う。
その出来事は、ほんの数秒のことだった。けど、他の誰よりも深かった。立ち尽くす麗とまりえとゆめ。肩を落とす居候3人衆。
俺はキスが終わってからも呆然としていた。ふとお母さんを見ると、美少女度が99999と表示されていた。まりえさえも軽く上回る数値だ。
「そんな。どうして、お母さんまで……。」
「勝てない。まりえじゃおばさんに勝つのはムリ……。」
「ありえない。ありえないほど深い……。」
「私たちは、とんでもないものを……。」
「目醒めさせてしまった……。」
「……あまりにもロック過ぎる!」
決めた! お母さんだ! 俺の恋人はお母さんだ。俺が選ぶのは、お母さん! 今のお母さんを見たのでは、他のみんなも納得するだろう。
けどたったの独り、葵だけがお母さんに立ち向かった。
「お母さん、貴女はもうオワコン! 現在は私の時代だからっ!」
そのとき、葵の全てが変わった。顔立ちが凛々しくなった。それに合わせて髪はさらさらに。身体付きも大きく変わり、腕も脚もより細く長く華奢になった。極め付けがおっぱい。元々立派だったけど、さらにゴージャスになった。
その直後、何かが俺のおでこにジャストミートした。
「イテッ!」
俺は痛みにおでこを左手でおさえながら、右手でポトリと落ちたそれを拾い上げた。小さくて丸い半透明のそれには、4つの穴が開いている。糸くずがくっついている。ボタンだ。でも、誰の?
「あっ、ごめんね、清くん。飛んじゃった!」
声のする方を見ると、そこには仁王立ちした葵がいた。胸のボタンが引きちぎられたようになっていて、ポッカリと空いている。そこから覗くようにブラジャーからはみ出したゴージャスなおにくが溢れている。
俺のおでこに直撃したのは、葵の胸のボタン。パイ圧によって弾け飛んできたものだった! 久々のラッキースケベだっ!
そのとき、麗とまりえが言った。
「あっ、愛ちゃん!」
「愛が、どうしてここに……。」
愛というのは、麗やまりえの商業モデル仲間。モデル名は愛川愛。活動時間が1日3分限定という激レアの存在。それが今、俺たちの前にいるなんて! どうやら葵が愛だったようだ。
桁違いの愛。1日3分ながら、この数値は凄過ぎる。俺の脳内にある美少女判定野はお母さんを軽く上回る。
「.9e+99!」
0.9かける10の99乗! 桁違いも大概にしてほしい。けど、決めた! 俺はもう決めた! 葵がいい。いや、愛川愛がいい!
ところが、それを拒む者がいた。
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