また厄介な女子が選択肢に加わってしまった俺ですが、オムライスにはケチャップが1番だという結論に至りました。
また厄介な女子が選択肢に加わってしまった俺ですが、前向きに楽しむって決めたのです。
ついに来た! 金曜日の昼下がり。俺の家の前には1台のバス。9人の女子と俺とその他3人が集まった。この際、お母さんも女子でいい。
バスに乗った俺を待ち構えていたのは、大きなルーレット。赤と青、2つの矢印が付いている。赤が俺の右、青が左に座るらしい。俺は、ほんの戯れに言ってみた。
「矢印が足りないぞ。俺は誰の膝に座ればいい? 誰を膝に乗せればいい?」
「そうだそうだ。俺たちの横も公平に決めてほしいものだよ。な、安田!」
「有馬くんの右に安田くん。その右に拓哉くん。その右に有馬くんなのよ」
有馬が悪ノリしてきたのには、お母さんが丸いソファーのような座席を指差して対応した。その座席はお母さんの手元のスイッチで機械音と共に上昇。俺たちの席からは見えなくなった。完全に隔離されるようだ。
「素晴らしい! 展望席付きバスなんて、さすがはおばさんだよっ!」
そう言っている有馬の頬は濡れていた。
1度降ろされた展望席に3人が腰掛けると、再び上昇。見えなくなった。その間に黒と黄色の矢印が追加された。これはっ! 俺はあんまり喋らないほうがよ
さそう。黒は俺を膝に乗せる人、黄色は俺の膝に乗る人。
ルーレットを回した結果、俺はお母さんの膝に乗り、右腕を葵、左腕をまりえ、膝に茶緒を乗せることになった。これって……。昨日のお祓い以来、俺のラッキースケベは冴えまくっている。バスの中はおっぱいまつりだ!
バスでの移動は40分。AIによる自動運転。水入らずの空間となった。展望席からの眺めもきっと素晴らしいんだろうな。そんなことを考えていたけど、俺の顔はものすごく歪んでいた。だって気持ちよすぎるんだもん。
まじめなはなし、俺の膝の上が茶緒でよかった。お姫様抱っこみたいに腰掛けているからおっぱいが当たって気持ちいいのもある。それ以上にみんなが茶緒を取り囲んでいて、たくさんおしゃべりしていたのがうれしい。
「10年前って、未就学ってことよね」
「七瀬っちの言う通り。神社で巫女服着てたら、清くんに叱られて!」
「俺がちょうど着付けを習っていた頃だったんだよ」
「ってことは清兄は茶緒ちゃおの着付けをしたかったの?」
「ふうーん。怪しーいっ!」
「麗、飛鳥。違うよ。あくまでも着付けそのものがしたかったんだ」
「清坊、隅に置けないなぁ!」
「そうね! お母さん覚えてるわ。清くん、生まれたときからモテてたわ!」
「なんてったって、お兄さまは匂いがいいもの!」
いやいや。みんなのシャンプーの混ざった匂いもサイコーだよ! 兎に角、40分は有意義であっという間だった。ゆめが珍しく静かだったのが気がかりではあったが。
飛行機のシートは固定されてるから、バスのようにはいかない。お隣さんが1人いるだけ。それが麻衣だった。
「それにしても、まさか金曜日の昼下がりに出発とはな!」
「えっ? なんかありましたっけ」
「清坊、本当に忘れてんだな!」
「ごめんごめん。俺、この旅行に賭けてるんで!」
「まぁ、おばさんにあんな風に言われちゃ、そうなるわな」
「そうそう。で、なんだっけ?」
「撮影だよ。オレたち3人の!」
撮影? そうだった。俺、たしかに約束した。飛鳥と。
「あっ、あーっ。思い出した!」
「それはそれは。ありがとうございます」
他にも色々と思い出した。
「あれっ? そういえば俺、ゆめとも約束してた。麗ともだ!」
「えっ? どういうことだ?」
「思い出したんだ。金曜日の昼下がり、撮影するって」
「はぁ。ダブルブッキングどころじゃないんだな……。」
おっしゃる通りです。けど、母島に行くことになってよかった、よかった。あれっ! ちょっと待てよ。撮影! そうだよ、撮影だよ! 俺なりにこの旅行を盛り上げるには、これしかないじゃん! 俺は張り切って言った。
「ねぇ、麻衣。あとで写真撮らせて!」
「もちのろん! 今直ぐでもいいくらいだぜ」
「いいや、俺はまずゆめを撮るって決めたんだ!」
「そうか……清坊が決めたんなら、文句はない」
俺は直ぐに立ち上がり、ゆめを撮影した。そのあとは麗、そして居候3人衆。それからまりえ、葵、茶緒にお母さん。ついでだけど有馬と安田と拓哉くんも写した。そしたら拓哉くんが俺に対抗してカメラを持ち出してきた。
「麗ちゃん。写真撮らせてっ!」
麗はにっこり笑って言った。
「いいわよ、お友達価格で。1枚2万Pってとこかしらっ!」
みんながどっと笑った。俺もつい笑いそうになるのを堪えてみんなの笑顔を撮影した。移動時間でさえ前向きに楽しむことができた。
パシャ______
と、麻衣が俺にカメラを向けていた。
「清坊ばかりが撮ったんじゃ、清坊の写真が残んないからな!」
それが呼水となってみんなが一斉に俺を写しはじめた。そして俺はその姿も撮影した。なんか、楽しい!
気が付けば飛行機は父島についていた。ここから母島までは船での移動。
「お母さん、奮発したの。この船は貸切。今日は、ここでお泊まりよーっ!」
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