この島にはブス神様がいることも知った俺ですが、オーガニックな日焼け止めを手に入れました。
俺が見たブス神様の姿。それはこの島のブスだった。めっちゃブス。脳内美少女判定野が叩き出した数値はERROR。測定不能だ。ヴワァーってなったときのお母さんと同じ。この島のブスは、めっちゃ美少女!
「驚きました。本当に気絶されないんですね!」
いや、気絶しそうだよ。美し過ぎて、ひれ伏したいくらい。
「大丈夫ですとも。こんなに美しい方に会ったのははじめてです」
「まぁ。心を覗き見てくださるのですね!」
そうそうそう。ブス神様はブスだけど心は美しいという設定と理解。
「はい。俺は決して見た目で人を判断したりは致しません!」
「なんて豪気な! なんと頼もしいお方なのでしょう!」
「御手洗清です。御名をお聞かせください」
「私は、第163代ブス神様、浅草紀子。のりのりです」
のりのり。いい名前だ。
「かっ、かわいい名前ですね!」
のりのりは顔を赤く染めた。そして、俺にキスをした。これが最後の儀式なのか。とろけてしまいそうだ。けど、そうなってはきっと、3人を傷つけてしまうだろう。ブスだから気を失ったんだと思うだろう。それは避けたい。
だから俺は頑張った。どんなに気持ちよくても、決して気を失わないように。その甲斐あって俺はのりのりのくちびるが離れるまで保ち堪えることができた。
「何ということでしょう。では、これより最終儀式をはじめます!」
えっ? 最終儀式って、今のじゃないんだ! じゃあ、一体どんな儀式なんだろう。俺がそう思っていると、真智と公央とのりのりの3人が俺をお湯の中に連れ込んだ。そして一斉にヴワァーってなり、俺の身体を3人で包み込んだ。
うわぁーっ、気持ちいいーっ! 意識が飛びそうだよーっ! けど、それはできない。それだけは。そんなことをしたら、3人を悲しませる。俺の3人がかわいいって思う気持ちに嘘はない。だから俺は頑張った。
そしてある考えに至った。防戦一方ではジリ貧。一か八か攻めるべき! 3人を受け入れるだけじゃダメ。3人を求めてこそ俺だ。俺は御手洗清だ! ということで、俺は先ずは真智にキスをした。
「清くん。真智。ずるいわっ!」
「公央、我慢なさい。真智はマシなブスなのですから」
公央ものりのりも動揺している。共に過ごしてきた仲間が目の前でキスしてるんだからだろう。けど、1番動揺していたのは真智だった。だから俺は、真智から離れ、公央に向かった。そして、キス!
「どういうこと! 公央にまで、公央にまでキスするなんて!」
「あぁ、清くん。もう私の相手は終わってしまったのね……。」
3人の動揺はさらに激しくなった。特にのりのりはよだれまで垂らしている! 神々しいよだれ姿だ。神の姿とは到底思えない。動揺というよりは興奮に近い。しかたないなーっ。俺は公央からのりのりにスイッチ!
「あわわわわーっ。ブス神様と清くんがキスをなさっている!」
「まだ儀式の途中だというのに! 清くんはもう私たちの心の中!」
そう。このときの俺には3人の心の中が手にとるように分かる。3人とも卑屈になるあまり俺に対して遠慮がある。けど、キスは1対1。周りを気にせずに目の前の俺を求めてしまうんだ。しょーがないなーっ!
儀式は終わった。
「本当に清くんには驚かされます」
「私たちみたいなブスの前でも意識を保つのですから」
「清くんこそ、本当の神様かもしれませんね」
あははっ。俺が神様って。何の神様だろう。ラッキースケベの神様だったらワンチャンあるかも! けど、今の神様は、ブス神様。俺は、神様にお願いした。
「そうだ。神様お願いです。俺、日焼け止め探してるんです」
「日焼け止め、ですか。だったらここの温泉に浸かれば日焼けしませんよ」
「あっ、ブス神様。清くんにはまあまあブスのお連れさんがいるんですよ」
「えっ、何それ? 初耳! 真智ったら抜け目ないなぁ」
言われた真智はにっこり笑って、俺のデバイスを勝手に取り出した。そしてそれを俺に渡した。俺はそれを受け取り、写真を表示して3人に見せた。
「何? この子たち。連れてきてちょうだい!」
「イタイおばさんもいるわ……。」
それ、お母さん。おばさんなんて言ったら怒られるぞ。
「清くんは本当に見てくれを気にしないんですよ」
真智がフォローにならないフォローをしてくれた。のりのりと公央は目を輝かせて言った。ついていけない。
「だったら、ここの温泉を持っていってください!」
「砂浜に戻ってすりすりしてあげるといいですよ」
「すりすりって……。」
「いいですか。全身くまなくすりすりしてあげてくださいね」
俺は2リットルの瓶3本の温泉を持ち砂浜に帰還した。すりすりするために。
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