第41話 奴隷がいてもやってほしいことはあまりないのが現実

「ど、どうかな?」

「え、あ、うん、いいよ」

「そ、そっか......」

さて、朝ごはんを食べ終えて最初にしたことは、

「あー......やわらけぇ......」

燐の膝枕を堪能すること。

昨日はソラの膝枕を堪能したので、今日は燐の膝枕。

膝枕をしてもらって思う事は、妹の膝枕っていいな......。

まあ、それは人によるだろうけど......燐の場合、すごい柔らかくていい膝枕だ。

「ちょっと、このまま寝ていい?」

「あ、うん、気が済むまでどうぞー」

「ど、どうも」

こんなにも快く受け入れられていいのだろうか。

......まぁ、燐がいいって言うからそのまま寝るけどさ。

俺は、頭に柔らかい膝の感触を感じながら眠りに落ちて行った。


「んん......」

時刻は、昼ぐらい。

大体、2時間ほどは寝ていたのだろう。

「......というか、何してるの?」

「えっ?あ、耳かきだよー」

「......そっか」

目が覚めると、俺は燐に耳かきをされていたらしい。

「――これでいいかな、はい、終わったよー」

耳をほじられる感覚は無くなり、俺はその場から頭を起こした。

「なんか......ごめんな、その、暇だったろ?」

「ううん、そんなことないってば」

燐は笑顔でそう言ってくる。

「というか、お兄ちゃんってば、変な寝言言ってたよ?」

燐は少し笑いながら言う。

「えっ?そうだったの?」

「うん、例えばー......ちっぱいとかって言ってたよ?」

「......記憶にない」

そもそも、寝言って自分では分からないものである。

「ちっぱいっていうから、もしかして、私のおっぱい食べたいのかなって思っちゃったー」

「あ、あはは......」

というか、どうしたらそんな考えになるのだろうか......。

「あ、あの......」

と、今までずっと黙って俺の方を見ていたソラが口を開いた。

「どうしたの?」

「わ、私、アークの街なみとか見てみたいんです」

なるほど......それは良いかもしれない。

「そんじゃあ、行くか?」

「あ、うん。それじゃあ、行くよー」

「は、はい......!」


そしてやってきたのは、アークの商店街というのか。

時刻は、少し空が暗くなっている感じだった。

「へぇ......こんなのがあるんだ......」

ソラは、売ってあるものを珍しそうに取っては見ていた。

ここの商店街は初めて来たのだが、色々と売ってるんだな。

......まあでも、周りからの視線が......痛い。

「と、とりあえず......ソラは、欲しいものとかある?」

俺は、周りからの視線は気にせずにソラに訊いてみた。

「あ、ええと......これとかどうですかね?」

「これは......?」

ソラが手に取ったものは、何かのペンダントらしきものだった。

「へぇ、ペンダントか......うん?......高くね?」

そのペンダントの値段を見てみると、まさかの......十万イリーという値段だった。

「あー......そのペンダントってね、何かの力を持っているとかされてるんだってー」

「どうして、そんなのが商店街に?」

「まあ、昔は、ここって闇市場とかされてたからねー」

おいおい、それってやべぇじゃん。

そのペンダントの形としては、なんというか、小さいランタンのような形をしていた。

その中に、なにかの力が......?

「まあ、欲しいっていうなら私が買ってあげるけどー、でも、取り扱いには気を付けてね?」

「あ、はい......ちなみに、そのペンダントってどんなものなんですか?」

「んー......まあ、普通につけてればペンダントだけど......特定の事を思ったりすると、最終的には、付けてる人自身が死ぬからねー」

なんと恐ろしい......というか、燐は笑顔でそんなことを言ってるけど、それはヤバいものじゃないか。

「そんじゃあ、買ってくるねー」

「は、はい......」

そして燐はその店でそのペンダントを買いに行った。


「お兄ちゃん、今日はー、私とエッチしよー」

「待て待て待て待て!?どうしてそうなる!?」

あの後、ペンダントを買ってもらってソラはものすごい嬉しそうにしていた。

そして、ソラは早速そのペンダントを付けてみると、意外にその力というのは発動はしなかった。

そして、商店街で少し買い物をした後、ソラと燐と一緒に家に帰宅したという訳。

そしてなぜか俺は、燐とエッチしそうになっている。

「というか、どうした?」

「えっ?なにがー?」

「なにがって......その、急にエッチするとか言い出してどうしたんだよ......というか、女神とエッチするのはダメとか言ってたろ?」

「まー、そうだけどー......なーんか、お兄ちゃん見てるとそんなことを考えるようになっちゃってさー」

......原因って俺?

ちなみに、ここは俺の部屋だ。

俺の部屋で、燐は俺のベッドでゴロゴロしている。

「で、今日も、俺と一緒に寝たいと?」

「んー、それも考えたんだけどさ、なんかー、毎日一緒っていうのもなーって思っちゃって」

「俺と寝るのが嫌になったの?!」

「ち、違うってば!......その、やっぱり、一日おきとかで寝た方が、なんか飽きないというかさ......と、とにかく!お兄ちゃんと一緒に寝るのが嫌っていうのは一回も思ったことないから!」

と、ベッドから急に起き上がって言う燐。

「そ、そっか......」

俺としては、燐に嫌われなくて良かったと嬉しく思ってる。

「と、とりあえず......私、お風呂入って寝るねー、あ、良かったらお兄ちゃんも入るー?」

と、部屋から出ようとする燐がそんなことを言い出した。

「うーん......今日はいいかな」

「そう?ふひひっ......!私は、いつでもいいからねー」

そして、燐は髪をなびかせてお部屋から出て行った。

「いつでもか......なるほど」

なるほどって言っても、燐と一緒にお風呂に入ってイチャイチャするっていう訳じゃないからな?

「あ、あの......祐様?」

数分後、部屋のドアが開いたと思ったら、パジャマ姿のソラがいた。

多分、風呂上りなのだろう。

だって、髪濡れてるし......しかも、めっちゃいい匂いするし......!

「ど、どうした?」

俺は、その様態に翻弄されるが、ソラがここに来た理由を訊いてみた。

「あ、あの......祐様と一緒に寝たいと思って......」

「俺は別にいいけど......」

そう、別に一緒に寝てはいいのだが......その、女の子と一緒に寝るとなると少し興奮してしまう。

「あ、ありがとうございます......っ」

ソラは、若干微笑んでそう言ってくれた。

「ふぅ......」

俺はちょうど眠かったので、そのままベッドに入ると、ソラは少しおずおずと俺のベッドに入ってきた。

「あったかいです......その、祐様の布団......」

「そ、そうか......?」

女の子と一緒に寝るというのは、いつも燐とはやっているが、人が変わるだけで、こんなにも雰囲気と言うものが変わるものなんだな......。

「というか、気になってたけど......その、敬語っていうの出来れば、燐が喋っているように出来る?」

「あ、ええと......た、多分できますけど......その、嫌でした?」

「そ、そう言う訳じゃないけど......その、やっぱり敬語じゃない方が、友達というかさ、そんな感じが出てくるからさ......」

「あ......じ、じゃあ、祐さん」

すると、俺の左手が柔らかくて暖かいものに包まれた。

「えへへっ、手繫いじゃった......」

なるほど、ソラは俺の手を握ってくれていたのか......ありがたい。

「なんだよ、出来るじゃん」

「あ、そ、そうだね......じゃあ、これからよろしく、祐さん」

「うん、こちらこそ」

そして俺は、空いていた右手で優しくソラの頭を撫であげた。

「ふぅ......それじゃあ、おやすみ」

「う、うんっ、おやすみ......」

夜のおやすみを交わして、俺はソラに手を優しく握られたまま眠りに入っていった。





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