第23話 夏祭りと言う名の何か

「お兄ちゃん!!」

燐の一言が家の中に響き渡った。

この世界に来てから数か月経った日。

俺はベッドというか布団で寝ていた。

今の時期は夏らしいので、タオル一枚で寝ていた。

すると燐の一言が響いたって訳。

俺は目を開けると、毎度のことながら燐は俺の上に跨っていた。

......しかもパンツちょっと見えてるし......。

「なんだ......?」

眠い目をこすりながら言う俺に対して燐は明るく言った。

「今日は、花火大会があるんだよ!」

「へ、へぇぇ......」

まだ頭が覚めていない俺はそんな返事をした。

ミリエンに行ったときに言ったが、この世界にも夏祭りとかあるらしい。

(それを書くなら異世界じゃないほうがよかったんだろうな......byゆん)


さて、朝起きて俺が向かったところはイリアがいる店だった。

というか、この店ってどういう店なんだろうね。

ただ単にイリアが居る店だとは思っているけど、そもそも何の店なのかがいまだに分からん。

「あれ、今日はどうしたの~?」

いつもの柔らかい口調で言うイリア。

「いや、ちょっとね......」

俺はそう言いながらカウンターに座った。

「イリアちゃんちょっと」

「あ、はいは~い......お兄さんちょっとごめんね~」

イリアはそう言うと、呼ばれた席までゆっくりと歩いて行った。

今日は、人の数はそこまで多いとは言えない。

逆に少ないとも言い難い。

イリアはめずらしくせっせと働いていた。

いや、いつも働いているけど......。

「おまたせ~、それで今日はどうしたの~?」

イリアが帰ってくるまで数分。

俺はここに来た理由を思い出した。

「あーそうそう......その、時間を止められる薬と言うか魔法って無いですかね......?」

「時間を止められる魔法~?うーん......ちょっと調べてくるね~」

「あ、うん......」

イリアはそう言うと厨房の方に行ってしまった。

なぜその話をしたかと言うと、前にミリエンにクーリンと燐と一緒に行ったときに、時間を止められる魔法は無いかなと思ったんだ。

なので魔法をよく知っているのはイリアだし、なので今日ここに来たんだ。

「えーとね~、あることはあるらしいよ~」

イリアは厨房の方から出てきたと思ったら、右手に分厚い本を持っていた。

「はいこれ~」

イリアはその本を開くと、たしかに時間を止められる魔法があることは分かった。

「でもね~、この魔法なんかボスを倒さないと手に入れられないんだって~」

ボスか。

これは、女神と結婚することに関係するのだろうか......?

前に燐が言ってたのは、ボスを倒すと女神と結婚できると言っていた。

更にイリアの話を聞くと、ボスを倒すとその時間を止められる魔法を手に入れられると。

結局は、ボスを倒さなくちゃいけないらしい。

いや別にいらないなら倒さなくてもいいと思うが......でも、倒さなくちゃいけないような気がする。

「なるほど、分かったよ。あ、それと今日、花火大会があるって燐が言ってたから良かったら来る?」

「えっ?いいの~?」

「うん、多分燐もいいと思うし......」

「分かったよ~」

俺はそこでイリアと別れた。


「へぇぇ......これが異世界の花火......」

花火が鳴り響く中俺はそう呟く。

今いるのはアークにある......ええと......分からん。

なんか広い場所。

とりあえず俺は今こうして花火を見ている訳だが......。

「わぁぁ......」

燐とイリアは上の方をずっと見ていた。

俺はその二人の横顔を見ていると、やっぱり可愛いと思った。

「......どうしたの?」

「え......?あ、いや......」

俺は燐と目が合った。

急に目が合うもんだからドキッとする。

「ふひひっ......」

すると燐は俺の腕に抱き着いてきた。

なんか、カップルみたいだな......。

「......おっと......」

そして次にイリアも俺の腕に抱き着いてきた。

その後は、燐とイリアに抱き着かれながら花火を見たのだった。


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