20話 考えれば考えるほど分からなくなっていくものだ

「お兄ちゃんっ!」

「うおっ!?」

後ろから抱き着かれ俺はバランスを崩しそうになる。

「......って燐か......」

「ふひひっ!びっくりした?」

「え、あ、まあ......って、メイもいたんだ......」

「どうやら、君たちは仲がいいみたいだねー」

「え?そ、そうなのか......?」

「あー、お兄さんは実感してないんだー。ふーん」

嫌味を言われてるのか俺は?

「別に嫌味を言ってるんじゃなくて、羨ましいなぁって思っただけ」

メイはそっぽを向いて言う。

「......俺の心を読まないでくれますかね?」

「んー......それは無理だねー」

結局俺の心は読まれ続けるみたいだ。

「それじゃあ......ミリエンはまだ見てる途中だったり?」

「あーうん。そうだよねお兄ちゃん?」

「え、あ、うん......?」

「そっか、それじゃあモンスターでも狩ってくる?」

「あーモンスターか、いいねー」

燐は嬉しそうに言うが、俺は良くは無い。

そもそもモンスターを倒したのって......いつだっけ。

モンスター狩りなんか久しぶりだし......魔法を使うのも久しぶりだし......?

「それじゃあ行こうよー」

「あ、おい......っ」

燐は俺の腕を摑み歩き出していく。

そこで違和感を感じた。

さっきまでいたイリアがいなくなっていることに。


ミリエンという国......というか場所は、およそ500年ほど前に出来た場所である。

というか何の話をしているか分からないと思うが......一応説明させてくれ。

一応アークが200年ほど前に出来た場所。

最初に行った場所はティールで、ティールが100年ほど前?らしい。

というかこの話はイリアと話をしているときに出てきた話である。

あの......メイと燐が家というか建物から出てくるまでの間に話していたもの。

イリアはああ見えて、実はすごい人なんだよなぁ......性欲強いけど......。

で、俺が目的にしている場所はサンティール・ゴアーズは、1000年ほど前に出来た場所らしい。

古くから恐れられていたサンティール・ゴアーズ。そこにはこの世界最強と言えるモンスターがいるらしい。

その名前が......


「サイガウィザードだね」

「そうそう......って!また俺の心を読んで......」

「あははっ!お兄さんって面白いねー」

「............」

今メイが言った通り......サイガウィザードと言われる巨大なモンスターらしい。

とてつもない防御力でいくら強い魔法でも一発では死なないらしい。

まあでも俺の目的はそこにいる『ボス』を倒す事。

長い旅になりそうだ......。

攻撃力はそこまで無いものの、圧倒的な防御力なので疲れ果てた人を一気に倒すというのがそのサイガウィザードのやり方らしい。

「はい、ついたよー」

メイがそう言うので俺は顔を上げた。

「......また森?」

「そうだねー、まあでもあの少女はいないから安心してね」

「は、はぁ......」

「それじゃ行くよー」

メイが先に行くので俺と燐はメイについて行くことにした。




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