第35話 クリスマスはケーキじゃないだと......
外は相変わらず、真っ白な世界に覆われていた。
つまり、道路一面が雪で真っ白になっているという事。
「あっ、あれ何?」
燐がそう言いながら指を指すので、俺は指を指した方を見てみた。
「あれは......雪だるまか」
道路脇にあったのは、小さな雪だるまだった。
というか、雪だるまって......俺以外にも、異世界に迷い込んだ人っているのだろうか?
「なにこれー?」
燐はその雪だるまを触りながら言う。
「ああ、それは雪だるま」
「雪だるま?」
「うん、ほら、こうして雪を固めて......それを、二つ作ってから、合体させると......こんな感じになるんだよ」
「へぇぇ、そうなんだ!」
俺はその場にしゃがみ込み、雪だるまを作って燐に見せてあげた。
燐は興味津々に、俺が作った雪だるまを見ていた。
「今雪を固めて作ったでしょ?それがだるまだから、雪で作っただるまってことで、多分雪だるまって名前が付いたんだと思う」
「そんな由来があるんだねー、お兄ちゃんはすごいよっ」
「あははっ、そんな事無いけど......」
とはいえ、そう言われて嬉しいことは嬉しい。
それに、あまり褒められたことが無いので、ちょっと照れくさい。
「雪だるまかー、これって今しか作れないんでしょ?」
「そうだね、冬の時期しか作れないし.....それに、あったかい所ではすぐ溶けるからね」
「なんでー?」
......雪が溶けることが知らないロリって......。
まあ、それはそれで可愛いんだけど......。
「なんでって......というか、雪って氷と同じだからじゃない?」
「ふーん、そうなんだー」
なんか、もうちよっと説明した方が良かったかな?
......うーん、いいや。
「俺も小さい頃はこういうのは作ったな......」
「そうなのー?」
燐は俺を見上げて聞く。
「え、まあ、うん......雪だるまとか、スキーとか......あと、雪合戦とかね」
「雪合戦ー?なにそれ、面白そうー」
「まあ、楽しいと思うよ......」
「じゃあ、また今度雪合戦しよーよ」
「え?あ、うん、良いけど......」
「それじゃあ、ほら、家に帰ろうよ」
燐は、俺に小さな手を差し出してきた。
「うん」
俺はその小さくて暖かい手を取ると、一緒に家まで歩き出した。
「お楽しみのー、ご飯たいむぅー」
「わ、わーい......」
「もっとはしゃがないとダメだよー?」
「わーい!......」
やっている自分が恥ずかしくなってくる。
なぜか俺は、燐に言われたことをしなきゃいけないことになっている。
「最初はー......はい、どうぞー」
「ど、どうも......」
まず出てきたのは、多分......鳥かなんかのやつ。
あのほら、クリスマスでいう骨付きの鶏肉......みたいな感じ。
「わぁ、美味そう......」
「ふひひっ、それじゃあ次ー」
次のものは、野菜関係のもの。
「――それで最後がー」
「......これは?」
見たことのないようなものが出来た。
これはどう説明したらいいのだろうか......。
「これは、ショッピングで買ったモグっていう......まあ言っちゃえば、内臓って感じかな」
「内臓......?ちなみに何の?」
「うーん......多分、鳥とかじゃないかな......」
多分って怖い。
「と、とりあえず......いただきます」
ちなみに、この料理はすべて燐が作ったものである。
めちゃくちゃいい匂いの骨付き肉を一口。
「うおっ......うまぁ」
一言で片づけてしまった。
簡単に言えば、ほんとに鳥のような触感で、そんなクセと言うかそう言うのは無く、非常に美味しい料理だった。
そして、問題であるこの内臓と言う名の何か。
「......」
正直な所、内臓と言うのは食べたことが無い。
なので、少し怖いと思いながらもその内臓をちょっと食べてみた。
見た目は、言ってしまえば鳥のレバーとかそういう色。
食べたときの感触は、すごい柔らかかった。
初めて内臓を食べたけど......以外に美味しいもんなんだな。
味としては......ちょっと苦いかな。
「どうかなー?お兄ちゃんの口に合う?」
「うん、ちょっと苦いけど、でも美味しいよ」
「えへへっ、それは良かったよ」
その後は、燐と楽しくおしゃべりしながらクリスマスを過ごしていった。
「今日は、特になんかしたって訳じゃなかったけど......でも、楽しかったよ。ありがとな燐」
ご飯を食べ終えた俺は、キッチンで皿を洗っている燐の頭を撫でた。
「うんっ、私もすごく楽しかったよ。本当だったら、友達とかをいっぱい誘おうとしたんだけど......メイに関しては、教会でやることがあるって言うし、イリアだと、店の当番たからーってことだし、クーリンもイリアとおんなじ意見だったから......」
「あー......それは、残念だったな......来年こそだな」
「そう、だね。でも、私にはお兄ちゃんがいたから、すっごい楽しかった」
燐はそこで一旦言葉を切った。
「......ありがとう、お兄ちゃんっ」
燐は俺の方に振り返って、満面の笑みで俺に一言言った。
「......あははっ......」
俺は笑った顔を燐に見せ、もう一度燐の頭を撫でてあげた。
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