第34話 家に帰っても流れるのは時間だけ
家に帰宅した俺とイリアそして燐。
イリアに関しては、家に帰宅するや否や、ソファーですぐ寝てしまっていた。
俺は、イリアが風邪をひかないように毛布を上からかけてあげた。
「さてと......」
さてと、と言ったものの何をするかは分からない。
というかそもそも、何かをする予定はない。
「あ、そうだお兄ちゃん」
すると、台所にいた燐が俺の方に向かって来た。
「次の週に何があるか分かる?」
「次の週?......いや、わかんないけど......」
12月の行事と言えば?
クリスマスイブ、そしてクリスマス、あと大晦日とか......。
その中で言うと、クリスマスが一番ありそうだ。
......いや、それは俺の世界だからであって、ここの世界ではそれは無いんじゃないか?
「答えは?」
俺は一応、燐に答えを聞いてみた。
「正解は、クリスマスでしたー」
......合ってたわ。
「そ、そっか......クリスマスね」
「だから、クリスマスになると、いつも食べる食べ物があるんだー」
ケーキとかかな。
「どんな食べ物?」
「それは、クリスマスになれば分かるよ」
「えー、今教えてくれても......」
「だーめ、今教えちゃったら、クリスマスの楽しみがなくなるでしょ?」
燐は、指でバッテンを作って言う。
「そ、そうか......」
俺は少し悲しいような感じになった。
「んんっ......むにゃ......あはっ、おいしそぅ......」
イリアの方を見てみると、イリアは何か寝言を言っているようだった。
「かーわいっ」
燐がそれを見て言ったこと言葉には、俺も同感だった。
そして月日は流れ、気づけばクリスマスになっていた。
「早いな......」
月日が流れるのは早い。
だから、時間を有効に使わなくてはならない。
といいつつも、俺は全然有効的には使っていなかった。
「はぁ......あんまり、何もしなかったな......」
俺は小さなため息を付くと、右腕に抱き着いていた燐が強く抱き着いてきた。
「お兄ちゃんあったかーい!」
「そうかな?」
今いるのは、日本でいう所のショッピングモール。
ショッピングモールで何をしているかというと、クリスマスに食べる食べ物とやらを買いに来ている所。
「そう言えば、俺って燐と付き合ってるの?」
「えっ?どうしたのー?」
「あ、いや......疑問に思ったからさ」
「あー......私は、お兄ちゃんと恋人になっていると思ってるけど......」
「あ、そうなんだ。それは、まあ、良いけど......」
というか、付き合うような契約というかそんなのを交わしていない気がする。
まあいいけど。
「お兄ちゃんは、恋人は嫌?」
「うーん......人による。というより、大体の人はそう思う気がする......」
「そうなんだ!お兄ちゃんはどう思ってるの?」
「......知ってるくせにー」
「ふひひっ!」
俺は、燐の頭を強く撫でた。
燐はそれが嬉しかったのか、なぜか笑っていた。
俺は妹が好き。
でも、それ以上......というのか、妹よりも好きなものはある。
「さてとー、それじゃあ買い物するよー」
「はいはい」
燐が先導する中、俺は燐の後をついて行くことになった。
10分ぐらいが経った。
「それじゃあー、帰る?」
「うん、特に欲しいものとか無いし......」
クリスマスに食べるものとは?
それは、今夜のお楽しみ。
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