第33話 温泉で俺がいた世界の事を語る

さて、温泉内もといロビーにやってきた俺と燐、そしてイリア。

ここの温泉は以前にも来たことがある、言うならば、混浴温泉である。

......いや、混浴って......。

まあ、そのことには触れないでおこう。

以前来た時もそうだったが、ここの温泉はすごい広いのだ。

ロビーもそうだし、温泉内もすごい広いので、伸び伸びと湯船につかることが出来る。

「あははっ、くすぐったーい!」

「おい、あんまり暴れるなって......洗いにくいだろ?」

「だってぇ、くすぐったいんだもんっ......」

「はぁ......」

小さなため息を着く俺。

今いるのは、温泉内?と言うのだろうか。

あの、シャワーとかある......。

とりあえず、俺は燐の背中を洗っている所。

背中を洗っているだけなのに、なぜか燐は色々と動く。

理由としてはくすぐったいという事なんだが......どういうことだか。

別に、脇とかはやっていないはずなのだが......?

ちなみに、イリアについては先に湯船につかっていて、俺と燐の事を見ていた。

「......早いな......」

俺と燐がここに来た時には、イリアは湯船につかっていたのだ。

魔法なのかは分からないが......とりあえず、イリアの背中は洗えないらしい。

いや別に、洗えなくて悲しいとかじゃないからな?

「......ほら、腕上げて」

「んー」

燐はそう言うと、素直に両腕を軽く上げてくれた。

細くて柔らかい腕を手で洗っていく。

「んっ......」

燐は時々声を出していた。

ほんとに肉が付いているのかと疑いたくなるような腕。

そして、脇の方を触っていく。

「ひゃっ......!」

と、可愛い声が燐から出た。

「あ、ご、ごめん......」

「......だ、大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから......」

「......」

俺は、変な所は触らないように脇、腕などを洗っていく。

俺はふと、イリアの方を見て見る。

イリアは、なにか羨ましそうに俺の事を見ているような気がした。


「はぁぁ......いいね......」

湯船につかった俺と燐。

あの後は、普通に洗い終わりシャワーで流してあげた。

まあ、俺は自分でやったけど......。

「そういえば、お兄ちゃんってここに来る前ってなにしてたの?」

「え?何してたって言われても......」

突然燐がそんな質問をしてきたので、俺はその質問の意味があまり分からなかった。

「だから、お兄ちゃんは別な所にいたんでしょ?」

「あ、あー、そういう事......」

なんか、一番最初に燐と出会った日を思い出す。

あの時は、なぜか知らんけど目が覚めると路上には居るし?しかも、妹が出来るし?

その妹っていうのが燐で、燐は女神だし?

......今考えてみると、すごい出会い方だったよな。

もうちょっと、別な出会い方の方が良かったなって思う。

例えば......公園とかさ。

よくあるでしょ?いや、よくあるかは分かんないけど......。

公園で一人ベンチに座っていると、一人の女の子が声を掛けてくる......とかさ。

いや、そんなこと現実では起きる訳ないか......。

そもそも、知らない人に声かけるとか危ないしさ......。

......話がそれた。

「あたしも聞きたい!」

「あ、うん、まあいいけど......」

というか、いつもならゆっくり喋るイリアなのに、今となってははっきりと喋る子になっていた。

「そうだな......まあ、簡単に言うなら、普通の高校生ってとこかな」

とりあえず俺は、燐とイリアにも分かるように簡単に言ってみた。

「ということは......学生ってこと?」

「うん、そうだね」

「へぇぇ、そうだったんだ、てっきり大人なのかなって思って」

「そんなこと......」

実際の所、年齢としては17である。

だから、高校2年生だ。

「お兄さんは、その元々いた世界でどんなことをしていたの?」

「うーん......まあ、基本的には学校行ったり、休みの日は家でゴロゴロしていたり......あと、ちょっとバイトしてたかな......コンビニの......」

「バイト?」

イリアはバイトについて知らないらしい。

「イリアは普通に店で働いてるじゃん?」

「うん、そうだけど......」

「うーん、何て言うかな......つまり、学校に通いながら働く......みたいな?」

多分、バイトっていうのはそんな感じだと俺は思っている。

「そんな仕事ってあるんだ!」

「うん、俺の世界ではそれが普通と言うか......」

「その他にはー?」

そして燐が追加で質問してくる。

「他?他にあったかな......あ、そうだ、ちょっと小説を書いていたこともあったけな.....」

「小説?あの、文章だらけの?」

「そうだよ、まあ別に小説については、出版したりはしてないんだけど......一応、趣味というか......」

そう、小説を書いていた時期が俺にはあった。

「いつか、この小説売り出したいなー」といつも思っていたほどだった。

「そっか......うん、ありがとお兄ちゃん」

「いやいいって、それに、俺も昔のことを思い出せたから良かったよ」

「そんな時期があったんだね~」

「まあ、うん......」

気づけば、長い時間湯船につかっていたらしい。

「よし、そろそろ上がるか」

「あ、うんー」

「そうだね~」

俺は二人の美少女と一緒に湯船から上がり、脱衣所で服を着て、そこから出た。

「あとは......帰るだけか」

「そう、だね......」

「どうした?」

「えっ?何が?」

「いや、その......なんか物寂しいような感じがしたから......」

「そ、そんな事無いって!ほ、ほら、早く帰ろっ?」

「あ、うん......?」

なぜか燐の顔は、若干赤くなっているような気がした。

......のぼせたのかな?

「お兄さん~」

すると、イリアが俺腕に抱き着きながら言う。

「な、なに?」

「お兄さんの家に行ってもいい~?」

「うん良いけど......というか、実際は燐の家なんだけど......」

とりあえず、俺たちは温泉を後にして家に帰った。











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