妹よりも好きなものがある

らかん

第1話 異世界に飛ばされた俺氏

「あ、あの、大丈夫?」

「......へ?」

目が覚めるとそこはベッドではなく路肩にいた。

周りを見て見ると大勢の人が俺に視線を向けていた。

コイツ何してるんだというような目つきで。

そこへ一人の女の子が俺に手を差し伸べてくれた。

「あ、ありがとう......」

俺はその手を掴み立ち上がるとその女の子にお礼を言った。

「いいってば、それよりお兄さんはどこの人?」

「え?どこの人って日本人だけど......」

「に、日本......?」

するとその女の子は日本を知らないような口ぶりだった。

「えっと、逆に聞くけどここは?」

「ここはね、アークっていう場所だよ」

「アーク......?」

俺は聞いたことない名前に困惑した。

「あ、もしかしててお兄さんって外の人だったり?」

「外の人とは?」

「つまり、この世界の人じゃない人を私たちは『外の人』って呼んでるの」

なるほど、それじゃあ日本も外の人と言う風にとらえられるのか。

「それだったら俺は外の人っていうことか......」

普通に考えればそうなるだろう。

「そっかー、それじゃあこの世界に関しては分からないってことだね」

「ちなみにこのアークっていう場所はどんなところだ?」

俺はそういうと女の子は少し考えて、

「簡単に言うと、市街地とか街っていう所かな」

簡単にまとめすぎた。

「そっか、ちなみに俺の名前は祐。君は?」

「私は、燐だよ」

なんか俺が住んでいた所(日本人)みたいな名前だな」

「そうかな?ここでは、漢字とか使うのが普通だから」

「へぇ......それじゃあさ、この街案内してくれる?」

「良いけど......お兄さんって住むところある?」

「ないです」

そりゃあそうだよ。

だって目が覚めたら路肩にいたんだから。

「そっか......うん、分かった、それじゃあ私でよければアークっていう街案内してあげるねっ!」

「お願いします!」

俺は燐にそういうとなぜか燐は俺の腕に抱き着いてきた。

「え、えっ?」

勿論俺は困惑する。

「え?どうしたの?」

燐は不思議そうに俺を見る。

「い、いや、何で抱き着くのかなって......」

「ああ、嫌だった?......アークでは恋人とかは普通だからさ、お兄さんだったらいいかなって思って......」

「あー......俺としては別に嫌じゃないから」

「ほんと?」

すると燐の表情がぱあぁと明るくなった。

そして燐はまた俺に抱き着いてきた。

「それじゃいこっか」

わずかなふくらみが腕に感じられた。

その後、俺は燐にここアークについて色々と教えられることになった。


「それでここが雑貨屋、喫茶店......宿とかかな。まあ、後で入ったらいいよ」

「なるほど......」

街案内をしているときも、燐は俺にくっついていた。

とりあえずアークと言う所は、日本みたいな感じなんだな。

普通に喫茶店もあるし、噴水とか......。

「それじゃあ次行きたいところある?」

「次?......あんまりないかな。後でまた来ると思うし、その時に見ていければいいかな」

「そっか、それじゃあお兄さんの家紹介するよ」

燐はそういうと、一度俺から離れ歩き出した。

俺は燐について行った。

今の時間帯は......昼間?というより昼間にしては若干空が暗くなっていた。

ちなみに正確な時間は分からない。

ここで燐について紹介させてもらう。

見た目はロリ美少女。

ピンク色の髪で、青い眼をした幼女だった。

日本みたいに、スカートで半袖を着ていた。

そのスカートが丈が短く膝よりもちょっと上の方だった。

「ここだよー」

そんなことを考えていると、燐が指差した家の方を俺は見た。

「なんかでかい家だな......ほんとに使っていいの?」

「うん!ほら入ってよー」

俺は燐に言われるがままに家の中に入った。

「とりあえずリビングの方行っててねー」

「あ、うん......」

玄関から入ってちょうど右の方にリビングがあった。

とりあえず俺は燐の言われた通りリビングで待っていた。

「ん、よいしょっと......これ飲む?」

少し待っていると、燐がそんなことをいいながら何か持ってきた。

「こ、これは......?」

「えっとね、これはジュースだよ飲む?」

その飲み物は、結構な赤色をしていた。

いわゆるトマトジュース的な感じの色だった。

俺はトマトはそこまで得意ではない。

「あ、じゃあ、もらいます......」

俺はそういうと、燐はその赤色の飲み物をコップに移すと俺の前に置いた。

「......」

とりあえず俺は匂いを嗅いでみた。

とくに匂いは無かった。

「ん......?」

そして俺はその飲み物を飲んでみた。

「どう?美味しい?」

口に入れたときはあまり味は無いのだが、ほのかに甘い味が口の中に広がっていった。

「美味しい......といえば美味しいけど......?」

「けど?」

「うーん......まあでもこれはこれで美味しいかな?」

「ほんと?」

正直、日本の俺の口にはあまりあわなかった。

でもたしかにそのほんのり甘い感じは良かった。

どちらともいえないかな?

「それで、俺はここに寝泊まりしていいんだね?」

「うんそうだよー。今日からお兄さんは私の家族なんだから」

「......?」

家族とは?

「だからよろしくね。お兄ちゃん」

なるほど、今日から俺はここの家の人になったのか。

「つまり俺はここに住んでいいと?」

「そうだよー」

今日から俺はここに住むことになった。

俺は当分日本に帰れないのなら、ここに住むしかないよな。

しかも俺に妹が出来た。

やっぱ異世界っていいな。

「それじゃあ今日からよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくねお兄ちゃん!」



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