第2話 妹?が出来た俺

「ふぁぁ......」

俺はジュースを飲んだ後しばらくこの家の内装などを見ていた。

すると突然大きな欠伸が出た。

「なんだか眠そうだねー」

「え?あ、まあ......」

「どうする?このままアークについて見てもいいし、なんなら今から寝る?」

「んー......まだアークに来たばっかだからな......もうちょっとだけアークについて見てもいいかな?」

「分かった、それじゃあついでにご飯でも食べる?」

「あーいいね」

アークに来てから大分時間が経った。

ここに来てからご飯を食べていないので腹が減っていた。

ジュースくらいしか飲んでいない。

「それじゃあいこっか」

「うん」

そして同じく燐は俺の腕に抱き着いてくる。

これはもう脈ありとして考えてもいいのかな......。

いや、ここでは抱き着くのが普通とか言っていたような......。

まあどちらにせよ、俺は抱き着かれるのは嫌じゃない。

とりあえず俺たちは外に出た。


外に出るとすっかり暗くなっていて街灯がちらほらと点くようになっていた。

外を出歩く人は昼間と比べ大分減っていた。

「ていうかここの季節は?」

「季節?......たしか春だったような?」

通りで少し寒いと思った。

ここに来る前つまり日本にいたときは夏だったのだが......。

「もしかして寒い?」

「え?ああ、ちょっとは......」

日本にいたときは夏だったので、当然半袖短パンの俺にとって少し寒かった。

「うーん......それじゃあ服買ってく?」

「いいの?」

「うん!お兄ちゃんの為だもん」

燐はそういうと近くの服屋を指さした。

「えーと......?」

「あれはキールっていう店だよ」

「へぇぇ......」

その後俺はそのキールとかいう服屋に入り長袖長ズボンを買った。

買ってくれたのは燐で、服を選んでくれたのも燐だった。

「なんか色々ありがとうな」

「別にいいよー、それにお兄ちゃんはここに来たばっかだし、ここの通貨知らないもんね」

「たしかに......」

燐が服を買う時のお金は日本円ではなかった。

ほんとに異世界なんだなって俺は思った。

「それじゃあご飯でもいこっか?」

「う、うん」

俺は燐に手を引かれご飯が食べれるところまで歩いて行った。

俺も燐にご飯とか奢りたいなと思った。

普通はご飯とかって男子が奢るもんだけど、ここでは燐が奢ってくれる?らしい。

なんか色々と燐に感謝しないとな......。

お金が手に入ったらいつか燐に感謝しないとね。

「ここだよー」

そんなことを考えていると燐の声が響いた。

「へぇぇ、ここが......」

見た目は普通の家だった。

喫茶店とかかなーと俺は思っていた。

とりあえず俺と燐はその店?に入って行った。


「いらっしゃいませー......あ、燐じゃない!」

「あー......ちょ、ちょっと離して......!」

店に入るとその店員は燐に抱き着いていた。

するとさすがの燐も嫌そうにしていた。

「まったく......どうしてそんなに私が来るといつも抱き着くのかな......」

「可愛いんだもんっ」

たしかに燐は可愛い。

可愛いけど......燐の事についてはあまり知らない。

「あれ?そこのお兄さんは?」

「ああ、この人は私のお兄ちゃんだよ」

燐はそういうと俺に抱き着いてきた。

「ていうか燐ってお兄ちゃんいたっけ......?」

「んーとね、今まではいなかったけどなんか路肩にお兄ちゃんがいたから」

「どういう?」

困惑するのもそうだろうな。

俺もここに来たときは困惑したもん。

今の状況でその困惑は違うな。

「とりあえず裏の方に来てくれる?」

「な、なんで......?」

燐は俺の後ろに隠れてしまう。

「そのことについてだよ」

「あー......なるほど」

「ほら来て?」

その後、燐は裏の方(バックヤード的な?)に連れて行かれた。

「はぁ......」

俺はとりあえずカウンターの椅子に座った。

「ずいぶんお疲れなんだね~」

椅子に座っていると前の方から声が聞こえた。

顔を上げると、そこには銀髪美少女が立っていた。

「お兄さんはエッチな事好きかな?」

「え、なん......なんで?」

突然のことに俺はびっくりする。

「ああごめんね~、私性欲が強いってよく言われるんだ~」

「へ、へぇぇ......」

「とりあえず何食べる?私食べる?」

「いや、君は食べないけど......」

「もぅ~、お兄さんって鈍感だな~。そこは食べたい!言う所だよ~?」

「そ、そうなんだ......」

俺はこの子の話についていけなかった。

「とりあえず、水と......ええと、これを一つ」

「はーい、それじゃちょっと待っててね~」

注文を頼むと、その少女は厨房の方へと消えて行った。


数分後。

「はいどうぞ~」

頼んだ水と......これはなんていうんだ?

「あ、あのさ......この料理って何?」

「ああ、それはギッチっていう肉の料理だよ~」

「ギッチ?」

「あれ?お兄さんってここの人じゃないのか~、通りでね~。うーんと、ギッチっていうのは、簡単に言えばモンスターの肉だよ」

「なぜにモンスター?」

「ありゃ~そっからか~、それじゃあそっから話していくね~」

その少女はそういうと椅子を持ってきて俺の前に座った。

「それじゃあ話すけど、ご飯食べてていいよ~」

「あ、どうも......」

俺は水を一口、そのギッチとかいう肉を一口。

「どうかな?美味しい?」

「ん......?ああ、たしかに美味いね」

「ほんと?良かったよ」

ギッチとかいう肉は......鴨肉に近いかな。

味は違うけど触感とかは鴨に近い。

水はただの水。(そりゃあそうだ)

「それじゃあ、モンスターについて話していくね」

それの話は三十分ほど聞いた。


「で、最後にギッチっていうのは中くらいの方に入るかな?」

「へぇ......あ、それとここのアークの住人はどうやってお金稼いでるの?」

「うーんそうだね......もちろんモンスターを討伐してお金を稼いでる人もいるし、他には家事とか私みたいに店で働いて稼ぐとかかな~」

まあつまりはほとんどは日本みたいに稼げるってことだね。

一部違うのは、モンスター退治ぐらいが違う所かな。

その少女の話をまとめてみると、モンスターには強さがあること。

その強さは、十段階くらいあるらしく、俺が食べたギッチは四か五くらいに入るとのこと。

一段階~三段階くらいまでは比較的弱いモンスターで、例えば精霊とか草や木など。

草とか木もモンスターになることもあるらしい。

弱いモンスターは、あまりお金を稼ぐのには向かないらしい。

初心者とかにはその弱いモンスターで頑張って稼いでねくらいらしい。

次に四~六くらいは、強いモンスターらしい。

弱いのを一とすると、三か四くらいらしい。

まあでもそれでも比較的に弱そうだけどね。

例えば、水の精霊とか俺が食べたギッチとか。

ギッチは、四足歩行のいわゆる馬みたいな見た目のモンスターとか。

馬なのに鴨みたいな触感したけどね。

次に七と八ぐらいから気を付けないと最悪死ぬとか。

一~六は比較的安心して倒せるらしいが、七と八は安心して倒せる相手じゃないって。

例えば、鎧の敵とか全身炎の奴とか。

で次は九と十。

これに関しては、あまり倒せていないらしい。

もちろん敵が強くなればなるほど、お金は稼げる。

ただ、九は倒した人はいるけど十はいないらしい。

それほど強いっていうのが分かる。

十は自分のレベルが最低五十くらいないと瞬殺されるとか。

まあでも俺はモンスター退治はしないかな......。

「お兄ちゃん!」

「うお!?」

すると今までいなかった燐が急に出てきて俺はびっくりした。

「お兄ちゃんは何食べてたの?」

「なんかギッチとかいう肉」

「あーあれね......美味しかったでしょ?」

「う、うんまあ.....」

「さてと、じゃあ私もギッチの肉頂戴!イリア?」

「え?ああ、ギッチの肉ね......」

「あの子イリアっていうんだ......」

「そうだよー。あの子可愛いでしょ?」

「あ、まあ......」

ていうか何の話してるんだ。

「あのさ、俺勝手に食べてたけど......っていうか何飲んでるの?」

「え?何が?」

すると燐はビールらしきものを飲んでいた。

「飲みたい?」

「うーん......俺はいいかな」

「あーそうそう、お金のことに関しては心配しなくていいからね。ていうか、存分に使っていいから」

「ほんとに?ていうか燐ってなんの仕事してるの?」

「私は......ええと......」

そこまで言うと燐は言葉に詰まらせた。

「あ、あの......誰にも言わないでよ?」

「う、うん......?」

「私、女神なの」

燐は小声でそう言った。

「女神......?」

「女神といっても普通の女神じゃなくて、属性があるんだー」

「へぇそうなんだ......」

女神とお金って関係してるのか?

女神だからお金を存分に使っていいという......。

「妹が女神ってすごいな......」

「そうだねー、お兄ちゃんが外の人っていうのもある意味すごいけど......」

「あははっ......」

「はいどうぞ~、ああそれと燐あの件については?」

「え?......あーあれね、大丈夫だから。私がやっておいたから」

「ありがとう~」

イリアはその後厨房の方に行ってしまった。

「あの件と言うのは?」

「え?にひひ......秘密ー」

「なんだよー......」

「にひひっ......」

その後、俺たちは楽しくご飯を食べた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る