第7話 妹は何を望んでいるのか

ティールの街から出た俺達。

来たときはタクシーで来たのだが今は歩き。

なぜかというと、もうタクシーが出ていなかったから。

「なあ燐?ほんとにこのまま帰るのか......?」

俺の疑問はそこだった。

もうすっかり暗くなってしまったのにそこまで家に帰りたがるのかと。

「あ、い、いや、その......ティールに泊まるより家に帰った方がなんというか安心するでしょ......?」

「そ、そうか......?」

一応俺はその答えには納得はした。

「そ、それに......アークに帰るまでに色々と見たりできるから......ね」

「う、うん......?」

俺は思った。

いつもの、はしゃいだような燐じゃないと。

なぜだ?

「あ、そう言えば、ティールでダンジョンとか行かなかったな......忘れてた」

「あーダンジョンね。たしかに行くって言ってたような......」

俺は完全にダンジョンや地下に行くことを忘れていた。(作者はそれ書くの忘れていました......byゆん)

おっとここで作者が......。

っていうのはどうでよくて。話を戻そうか。

「まあ今行っても生きて帰れないと思うしね」

「たしかに......」

帰りの道を燐が俺に抱き着きながら帰っている。

「あれっ、こんな暗かったっけ?」

燐がそういうので俺は燐が見ている方を見た。

「ほんとだ」

街灯は一応あるものの、電気は全くついていなかった。

「んもぅしょうがないなー。......リーン」

燐の周りに数個青い炎が出てきた。

「これで大丈夫だね。っとお兄ちゃん、その炎触るとやけどするから気を付けてね」

「あ、うん......本物なんだ」

とりあえず俺と燐はその炎と一緒に帰り道を歩いた。


「ほんとにこっちでいいのか?」

「あ、うん。大丈夫だよ」

俺はほんとに帰れるのかと心配になっていた。

「......っていうか、女神のお前が外に出歩いていいの?」

「大丈夫、だって私が女神だって事アークの人たちは知らないから」

「そっか......で、あとどのくらい?」

「んーと......あと2、3分くらいかな」

それくらいなら良かった。

とりあえずアークまでもうちょっとでつくらしいので、疲れているけどそれも頑張った。

「ついたよー」

数分歩くとそこにはアークの門があった。

「なんか閉まってない......?」

「え?......あー、もう......どうしよ......」

「え、開けるとダメなの?」

俺は普通に開けていいと思いその門に手をかけた。

「あ!だ、ダメなの!」

すると門に手をかけていた俺の手にガシっと燐の手がかかった。

「えと......ごめん」

俺は門から手を離した。

「......どうする?」

「このままじゃ帰れないね......」

「ていうか、何で開けちゃダメなの?」

「えっと、開けちゃうとブザーというかさ、そういうのが鳴るんだよ......」

あー、一応理解した。

つまり、アーク以外の人が入れないようにブザーが仕掛けられているとか......っていう事だろうな。

「......」

俺と燐は門の前で立ち往生していた。


「あーあ、今日はあんまりよくない日だったなー。いい人が来ないし......」

門の前で立ち往生すること数分。

その時、門の中から人の声が聞こえた。

「なんか声聞こえない?」

「私も思った......」

「ん......?なんか人の気配が......?いやそんなことないよね~」

その人はそう言いながらキョロキョロと周りを見ている。

ちなみにアークの中は街灯が点いていた。

なのでもうちょっと門に近づけば俺たちが見えるかもしれないというのに......。

「あれ......?あの炎は......まさか燐?......そ、そんな事......あった」

その人は俺たちがいる門の近くにやってくると、やがてその正体がわかった。

その人は......イリアだった。

銀髪美少女イリアが。

「なにしてんの~?」

「さっきティールにお兄ちゃんと行ってねー。それと、門開けてくれない?」

「はいは~い、んしょっと、これでいい?」

イリアはそう言うと門がゆっくりと開いた。

「ありがとー」

「それとさ......燐のお兄さん借りていい?」

イリアはニコッと燐にそう言うと燐は、

「え、えっとー......な、なん、なんで?」

戸惑いながらそう言う。

「なんでって......今日はいい人が来なかったからさ~。だから、良い人っていうと燐のお兄さんくらいなんだよね~」

「あー......」

燐は何かを察したらしい。

俺は分からないが......。

「それだったらー......ね?」

「ほんとにいいの?」

「うんっ、それだったら私も一緒にできるからねー」

「それじゃあよろしくね~」

イリアはそう言いながら俺の腕に抱き着いてくる。

「え、ええっ?」

もちろん俺は困惑する。

燐たちはヒソヒソと何かの契約と言うかそういうのを交わしたらしい。

「にひひっ、お兄ちゃん覚悟しててねー?」

覚悟とは......?

もしかしたら、俺は燐に叱られるとか?それ以外だと、燐はドS疑惑があるのでそういうのをされたり......?

色々な考えがある中、俺の腕は燐とイリアの小さなふくらみで支配されていた。


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