第42話 ラスボスと言われる何か

「――ここが......」

サンティール・ゴアーズ。

かつてそこは、魔王と呼ばれる人材がこの世界を治めていると言われていた。

今となっては、この世界は色々と分断され、その国には女神と呼ばれる人物がそこの国を治めることになった。

例えば、アークにはロリの燐がいて、さらにミリエンには、メイという小学生の見た目の女神がいたりと......その国によって、女神は全然違ってた。

しかも、法律なども国によって全然違っていた。

サンティール・ゴアーズは、およそ1000年ほど前に出来たと言われている。

そして、アークやミリエンという国は、分断されたのは約200年ほど前と言われている。

今俺は、この世界で最強と言われているサンティール・ゴアーズに足を踏み入れようとしている。

「さてと......ここから先は、不法侵入としてみなされるから、発見次第殺されるから、気を付けて」

と、ミリエンの女神であるメイが忠告する。

「う、うん......大丈夫、ここまでやってきたんだかさ」

と、元々は日本という場所にいた俺こと祐は、その忠告に頷く。

サンティール・ゴアーズには、俺、メイ、燐、イリアと来ている。

「......行くか」

と言いつつも、もう目の前には人だかりができていた。

その人たちが、サンティール・ゴアーズ、略すならサンティの人たちなのだろう。

サンティの入口は、でかい門があり、通常ならその門に看守というか兵士がいるはずだが、もうすでに燐たちがその兵士を片付けたらしい。

なので、あとは踏み入れるだけなのだが......。

「どうしたの?」

と、俺の顔を見入る感じで、イリアが覗いてきた。

「あ、いや......何でもない」

俺はそう言うと、いよいよその門の内側に入って行った。


「案外......大丈夫なのか?」

「そうみたいだねー」

サンティの内側に入ったものの、別にそんな隠れたりする必要はないようだ。

多分......見つかっていけないのは、サンティの兵士なのだろう。

普通に、サンティの民間人の中に紛れ込んでいるから。

まあ、とはいえ、感がいい人は俺たちの事を外の人だと感じ取っているらしい。

でも、そのことを兵士とかに言ったりはしなかった。......なぜだ?

まあ、その方がこっちとして都合がいい。

サンティは、他の国よりも結構大きい国とのこと。

サンティの魔王らしき人物は、ここからさらに端の方にその拠点があるらしい。

と思いつつも、今の時期は春なので、まだ魔王は出てこないらしい。

出てくる時期としては、夏とかってメイが言っていた。

「はぁぁ......こんなに人がいるもんなんだね」

と、ため息交じりで言うメイ。

たしかに、こんなに人がいるのはサンティぐらいしかない。

というか実際全部の国に行ったのかと言われると、全然行ってはない。

「案外大丈夫なもんなんだね~、それで、夏までの間何して過ごすの~?」

と、俺の右腕に抱き着いていたイリアが俺に訊いてくる。

「うーん......とりあえず、泊まれるところ探して、そこで過ごすっていう考えがあるんだけど......燐は?」

「ふぇ?なにがー?」

燐は、サンティの街並みに憧れたのか、キョロキョロとサンティの街並みを見ていた。

「あ、ああ、この後はー......別に、好きな事しててもいいと思うけど。なんだったら、これからグループ決めて、この一週間はそのグループで過ごすっていのはどうかな?」

「なるほど......そんなのもたまにはいいかもね。しかも、今4人いるし」

俺は燐が言ったことには同意だった。

「それはすごい楽しそう~!」

と、はしゃいだような声でそう言う銀髪少女のイリア。

「へぇぇ......燐も意外に言うんだね」

と、感心したように言う漫画とかに出てきそうな、金髪少女メイ。

「まぁ、私みたいな金髪の子がいてもいと思うんだけどなぁ」

「......頼むから俺の心を読まないでくれ」

「あははっ!」

メイは、ほとんどの魔法を使えるといういわば最強と言える女神なのだ。

他人の心を読める魔法も持ってるし......色々と、すごい子だよ。

「それでー、みんなはこの考えに賛成でいいんだね?」

と、今まで街並みを見ていたピンク髪ロリの燐。

燐については、俺の......妹だ。

この異世界では、俺の妹でしかもアークの女神である。

メイと比べてしまうと、魔法もある程度は持っているが、やはりメイには敵わないようだ。

「そんじゃあ、今からでもメンバーを決めるか」

「あ、一つ言っとくけど、決まったらもう変えられないからね」

「「はーい!」」

と、元気な声で言うメイとイリア。

「そんじゃあ決めるぞー!」

俺の一声で、メンバーを決めるやり取りが行われた。


メンバーが決まり、ここからはその二つのグループで移動をすることになった。

1つ条件があり、それは『絶対に捕まらないこと』という条件だった。

どちらのグループというか、一人でも捕まってはいけないという条件の元、俺たちはそれぞれ分かれた。

捕まるとはどういう事かと言うと、簡単に言えばサンティの兵士に見つかるなっていう事。

見つかってしまうと、最初に刑務所らしきところに連れられ、メイが最初に言ったとおり、捕まってしまうとほぼ殺されるらしい。

ある人に聞くと、「サンティの兵士は、魔王の命令で動いているらしい」と、ある人は「その魔王が、気に入らない人だと兵士に殺す命令をするらしい」とか。

ああ、恐ろしい。

サンティの兵士は魔王の命令で動いているらしく、魔王が「この人殺せ」と命じた場合、即座に殺されるとかなんとか。

......なるほど。

ある人に聞くと「俺は、元々サンティの刑務所にいたんだよ。あそこは、地獄だ」とか。

つまりは、魔王が気に入った人だと殺しはしないとか。

「――ちゃん、お兄ちゃんってば!」

「わっ!?」

大きな声と共に、俺はビクッと体が動いた。

そして、ゆっくりと顔を上げると、そこにはピンク髪ロリの燐がかわいい顔しながら俺の事を呼んででいた。

「もぅぅ、お兄ちゃんってば、こんなとこで寝てたら、いつ兵士が来るか分からないでしょー?」

と、小さい声で言う燐に対して。

「す、すいません......」

俺も小さい声で謝罪した。

結局の所、俺は燐と組むことになり、今いるのはサンティにある酒場。

酒場と言っても、燐は普通にジュースらしきものを飲んでいた。

どうやら俺は、少しの間寝ていたらしい。

「わっ......!」

と、燐が小さく声を上げると、なぜか燐はテーブルの下に潜り込んでしまった。

俺はどうしたんだろうと思いテーブルの下をのぞくと、燐が俺の脚の裾を引っ張っていた。

多分、この下に潜れという事だろう。

俺はそのことに素直に応じて、テーブルの下に潜り込んだ。

(ど、どうしたんだよ......いきなり、テーブルの下に潜って)

(い、いや、その......なんか知らないけど、酒場の入り口から兵士が入ってきたからさ......)

(あ、あー......それって、もうヤバくね?)

(だ、大丈夫でしょ......ここに隠れてれば、兵士が去ってくれるまで大丈夫だと思うし......万が一見つかっても、こっちにはスリープとか、テレポートとかもあるし......)

(......最初から使ったらいいのでは?)

(そ、そんなこと......ダメでしょ、第一に私の力が無くなるし......)

(あー......なるほど)

数分ほど燐と、テーブルの下で話をしていると、ふとこんな話が耳に入ってきた。

「......あのさ、なんか分かんねぇけど、この国に不法侵入した人がいるとかって聞いたんだけど......知らない?」

「不法侵入ー?......いや、しらねぇなぁ」

「そっか......ありがとう」

(おい、燐......もう、俺たちバレてないか?)

(そ、そんなはずは......!そもそも、ここに来るまでの間兵士なんか見なかったし......それに、メイとイリアがそんな兵士に見つかるはずないし......もし見つかったとしても、メイの魔法でなんとかなってると思うし......?)

(うーん......?どうなってんだ......もしかして、兵士も魔法を使えたり?)

(そ、そんなはずは......!)

と、今まで超小声だった燐が次第に声を大きくしていった。

(と、とにかく、落ち着いて......)

(......ふぅ)

落ち着いたのか、燐は一度深呼吸をした。

「あのー、ここら辺で不法侵入した人を探してるんですけど......ご存知ないですかね?」

「いや、知らないですけど......」

(......やべぇことになってきたぞ......!)

(ああ、ええと......し、仕方ない......テレポート!)

俺と燐は、燐の魔法により数メートル先の家の前にテレポートをしててその兵士たちから逃れられたのだ。






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